では、今日も狂人のお話が始まります。
「コウにぃ、そこで何してるの?」
振り向いたさきには、黄薇がいた。
俺は返り血で濡れている。まるで血のシャワーでも浴びた様に体中は血だらけだ。
「あ”……ああぁ……、きぃ…ら?」
黄薇はボーッと立って、少しずつ俺に近づく。
「黄薇、なんだよ…なぁ?」
「うん、わたしだよ、コウにぃ?分かるよね?」
「……だろうな、俺がお前を見間違える筈がねぇもんな。
あぁ、」
見られた。
「……クソッ」
最悪だ。
一番見られたくなかったものを見られてしまった。こいつにだけは、絶対に見られたくなかったのに。
隠し続けていた、それを見てしまった黄薇。
快楽を得ながら人を殺し、そして食べたという光景を見られてしまった。こいつには極力、俺の裏の部分を見せないで騙し続けていた。しかし、今となってはそれもパァだ。
どうせなら、俺の行動に違和感を何も持たない、そうやって思わせる風にすれば良かった。
コイツは、黄薇は本当の俺を見てはどういうするだろう。
俺を嫌うか?俺を軽蔑するか?偏見するか?忌避されるか?避けられるか?
差別すルか?見下サれるカ?バカニすルか?ケンオスるカ!?キョゼツサレルカ?サゲズマレルカ!?
コバムカ?!ウトマレルカ!?イヤシムカ!?ケギラウカ?イトウカ!?
アァ…オレハドウスレバイイ?コいツハオれノモトかラはなテイくか…?
“それだけは駄目だ。そうだろ?”
あぁ、そうだ、その通りだ。それは駄目だ。
俺から離れるな。逃げるなどこにも行かないでくれ。もし孤独になったら俺はどうすればいい?何も感じれないような日々になるのか?感覚が麻痺していくのか!?…そんな世界にしないでくれ……するな!
もしも、このまま黄薇が俺の元から、俺を嫌悪して離れていくと言うなら…絶対それだけはさせない、絶対に駄目だ。
そんな事をなってしまったら俺はどうなる?
恐れても畏れても悲しんでも悔んでも恨んでも憎んでも嘆いても叫んでも泣いても願っても憂えても狂っても死んでも元に戻らないのなら…そんなことになるなら…ならいっそ…
“いっそ、……このまま黄薇を壊してしまいたい…ここで…コイツを…!!”
あぁそうだそうしよう。俺を嫌わない筈が無い。俺は狂ってる。犯罪者だろ?中途半端に受け入れてもらうだけじゃ駄目だったんだよ。俺の全てを見せても受け入れるはずがないって分かってたじゃないか!
そんな事で…俺は中途半端に心地よい所に居て…黄薇は一生俺のものだ俺から離れるな嫌うな。どこにも行かないでくれよ…なぁ…なぁ…そうだろ…?
いっそ、コイツはここで…黄薇はここで壊してしまおう…なんで気づかなかったんだろう!
“黄薇、お前は一生俺のものだ…死んだ後もずっと…ずっと俺のそばに……!”
俺の口元は裂けるほど歪んでいるだろう。実際にも分かる、俺が狂ってるように笑っているのを。
俺は…こいつを…
「…コウにぃ?」
俺は口元を歪めながら、黄薇に向かって手を伸ばした。