霧隠れにある名も無い森、ここには今戦闘の音が響いている。
打撃による鈍い音、刃物がお互いぶつかり合う時の金属の音、人の声など様々だ。
その音の原因は、俺と黄薇の二人だ。
「おらぁ!!黄薇ぁ!もっと体全体を使って全力で避けろ、全身全霊でな!
全然足りねぇぞ、俺に傷を与えるのに実力も経験も地力も気合も集中力も何もかも全部、全部足りねぇぞ!!片足で綱渡り一キロやるくらいの集中力は見せやがれ!
ほら、咄嗟に防御するときの体制がおかしい!」
「っ…、さすがにそれは無理だよ!コウにぃ…未元物質はずる過ぎるよ!?
この世にない物質って…忍術は簡単に突破されるし…体術でも結局防御したってダメージが芯まで来るよ!?」
そんな文句を言いながら俺の意見をしっかり聞いて少しずつ動きが良くなっていく。
「防御したって体内の水分を揺らしてダメージを与えてるからな。体を頑丈にする以外に対策はねぇよ。雷影にフルで今の攻撃をやっても、あいつの体は素で頑丈だから無意味だけどな。ほら…簡単な対策があるだろ?
どうした、もうばてたか?
さぁ、覚悟は良いか?…まぁ、とりあえず一発喰らっとけ」
俺達がこうやって戦っているのは、…まぁハッキリ言えば修行だ。
なに、いじめじゃないかって?何を言ってるんだね、しっかりとした修行だ。
元を辿れば、黄薇が言い出した事だ。大体コレを始めてから何時間か経ったから…四時間位前か?
――――――
あれからまたまた飛んで大体半年くらい経った。原作から八年前になり、黄薇も大分育って八歳だ。更にかわいくなt……ゲフンゲフン…、大分育った。身長もある程度伸びて、前は一応少女と称していたが、幼女の域だったのに対しかなり延びて少女と呼ぶべき姿になった。まさに美少女だ、黄薇mjd可愛い。
あれからは何か無かったかって?何も無かったが、まぁあえて言うなら、それなりに…いや、かなり仲が良くなった。俺も黄薇もこの愛情が親愛などから来てるものではなく正真正銘の、恋人という愛情から来た事は分かってるからだ。
なに?ロリコン野郎だと?俺は中学生という年になってないなの手を出すほど腐ってないさ。黄薇もそんな知識一切知らない…筈だ。
最近は忍びとは会わない。そうそう会ったら忍んでないけどな。
それで、黄薇が急に言い出した。
「コウにぃ、修行しよう!!」
「……待て、修行はいつもしてる筈だろ?」
前の様に倒れるレベルで修行はしていないが、それなりにやってるつもりだし、元がいいおかげか伸びも良いのか、実力としては中忍クラスはあるだろう。
「…たしかに毎日してるし、実力も付いてきてる…けど駄目なの。こんなんじゃコウにぃと同じ位置に立てない」
そう言って黄薇は悔しそうに顔を歪める。確かに実力が付いてきた…っと言っても俺からすれば何かされたと認識する前に殺せる。…やる気はないが。
…だが、同じ位置に立てないとはどういうことだろうか。
「…黄薇、確かに俺とお前はかなり実力が離れているが、それでも立つ位置が違うってのは違うだろ?俺とお前の関係はいつでも平等だし、急ぐ事は無い」
俺は思ったとおりの事を述べると、黄薇の表情は一瞬解け…でもまた同じ顔に戻った。
「でも駄目なの、コウにぃと一緒に戦える位置まで立たないと…。
…怖い、コウにぃは優しいし強いしとっても頼りになるよ?…でも、迷惑ばっかり掛けてる。…怖い、怖いの…コウにぃに迷惑ばっか掛けていつか捨てられちゃうのが…。」
その言葉を聞いて、前にあった戦闘を思い出した。
その時、上忍は三人。カカシ級の実力も無く、ある程度時間を掛ければ倒せるが、その時は黄薇も居て危ない部分が多々あり、庇ったりした場合もあった。
何を言ってるんだか…、お前は健気で美しくてかわいくて…そして最も救われたのは俺の方でいつお前が離れるかいつもいつも…今さえも俺の方が不安で一杯で仕方ないのに…。
「おいおい、黄薇、お前に迷惑なんか掛けられてないし、むしろもっと頼れよ?その方が俺は嬉しい。大丈夫さ、お前を捨てる…いや、黄薇は物じゃない、俺の最愛の子であり、俺の元に居なかったら俺がどうなっていたか分からない。俺の一部と言っても過言ではないのに見放す訳が無いじゃないか。
v…だから勘違いするな、そして侮るな。確かに俺は俺で俺のために生きると決めている。だが…だからこそ俺がお前を見放す訳がない。俺の中優先順位はお前の為が一番上だ。
それでも、俺は俺の為に生きる。だからお前が全て忘れようとも、黄薇を守って…お前の為に生きていく…それだけだ。それが俺の為に生きるという事だ…。だから、お前を…黄薇を見放すなんてありえないんだよ。」
「こう…にぃ…、うぅ…、コウにぃ…。
泣きたくないのに、コウにぃのせいで涙が出ちゃうじゃん…。でも…すごい嬉しい…」
どうやら、黄薇の不安が吹っ飛ぶ所が、俺の言葉を聞いて嬉し涙が出てきたようだ。すぐに涙は止まらないが、それでもとても美しい笑顔を泣きながら見せてきてくれる。
「あはは、お前を守るって言ってるのに泣かしている様じゃ守るなんて言えない…ってか?…冗談さ、だから必死に涙拭くなって…。
大体、お前は今すげぇ不安だったとしても、俺の方が救われてさぁ、俺はお前にいつ見放されるか不安だったのは俺の方さ。
俺はお前を傷付けたくない。身体も一応そうだが、無理だし…なによりも心を傷付けたくないのさ。黄薇に見放されるのが恐過ぎて…お前を監禁したいくらいに不安だぞ?」
「っふぇ!?か、監禁!?
こ…コウにぃ、それは異常だよぉ!あぶのーまるな性癖だよぉ!!」
「っくくく」
冗談を言ったらいつの間にか涙が止まっていた黄薇が慌てだした。それが面白くて笑いを堪える。
…半分以上本気だけどもね?
ん?黄薇の様子が慌てるのをやめて恥ずかしそうに言い始めた。
「そ…それに、監禁するって言ったら…、もしかして本当に危ない、間違ってあんな事やこんな事を…」
………
この年でそんな知識が豊富出ないことを祈りながらも、口を開く。
「…待て、もじもじしながら…だが、どことなく嬉しそうに妄想してるのは無視しようか。だがあんな事やこんな事ってお前の中ではどれだよ、どれ」
「…え?こ、ここでそれを言えって言うの?コウにぃは…。
でもそう言うのなら…、まぁ…?あの…キッス…と…か……おとこと女が間違えるって言ったらナニしかn「おーけーおーけー、大体分かった」」
お前等、最初に俺が言ったことは訂正だ。あんな知識やこんな知識を普通に知ってた様だ。
頭の中でどう受け取ればいいのか…悪かったのか…それとももしもの時の為に良かったのかを考えていたら黄薇が話し出した。
「…コウにぃが私を見放さない…って言うのはわかった…すごい嬉しい。
でも、それでもコウにぃにあんまり迷惑かけたくないんだ。自分の身は最低限守れるくらいには強くなりたい。だから…もっと戦えるように修行はしたいの!!」
「…」
俺はお前に迷惑を掛けられてないと言おうと思ったが、それは黄薇の決意を根本から折る事になるし言っても無駄だろう。黄薇の瞳には堅い決意が映っている。
…まぁ、自衛を覚えてくれるというのなら、迷惑を掛けるとかはともかく、ある程度安心する事ができるし…やめろと言う理由は何も無いのだろう。
「分かった、お前の修行をやろう。ただし、ビシビシ行くぜ?」
「…うん!」
黄薇にそう返事を出すと、早速準備をしだした。…しかし、この俺が黄薇の頼みを断ると思ったのだろうか?…この気持ちはあれか、親ばか的なあれか。そうか。
――――――
っという風になり、ずっと模擬戦で修行をしている。
…何、傷付けたくないのに傷付けてるって?それとこれは違うだろう。本当にそれはそれでこれはこれだ。いらない手加減をすると分かってたら黄薇が本気を出せないし、痛みに耐性がないと動きがそれだけで鈍る。大きな怪我はしないのが一番だがダメージを蓄積して動けなくなる前に、一撃喰らって痛みで動きが鈍るなんて最悪だ。小さな怪我自体はしているがそれは仕方ないだろう。極力怪我はさせないようにしてるし、残る傷なんて少しもさせてないに決まってるじゃないか。この前黄薇に切り傷を付けた奴も、ボコボコにしたしな。
回想をしながら黄薇の懐に入り、軽い攻撃、ただしもの凄く早いパンチを当てる。
「っ…!?っきゃあ!?」
素早い攻撃を受けて、後ろに吹っ飛んだ後に叫び声を上げた。
本当に早く、今の攻撃は一応ダメージを与えないようにしたが、あまりにも早く受けた為、飛ばされたという認識が遅かった様だ。
「…だが、今のを受けた後の切り替えには評価するぞ。今のと同じ事をいつでも出来るようにしろよ!」
「っはい!!」
「よし、未元物質は出してたけど使ってなかったからっと…、未元物質の烈風…いくぞ!せめて最低限の防御はしろよ!!」
「っは…ってえぇ!?っちょぉ!?コウにぃ、さすがにそれはきついって!!」
そんな抗議を聞くわけ無く。後で何かいわれても…知らぬ存ぜぬで通してやるぜ!
さて、修行の時間だ。