ところで、私の趣味に溢れてしまったコウ×黄薇の妄想番外編は進んで載せるべきでしょうかね?
目に見えない様な速度で刀が振るわれる。
霧隠れの額宛が壊れながらも、宙を舞う。
「…なっ…?」
しかし再不斬には傷一つ付いていなかった。
「…!?再不斬さん!!大丈夫ですか!?」
再不斬は現実を疑うように瞼を動かしながら、自分がどの様な状態か確認する。白は俺がまだ目の前に居るのを知っていながら、再不斬を心配し駆寄る。
「…多罪コウキ、お前…コレは一体何の真似だ?」
困惑しながら再不斬は俺に質問をしてきた。
「…何の真似っつうのはいくらなんでも、適当過ぎる質問じゃねぇの?」
「…ふざけるな、何故俺を生かしているか聞いてるんだ」
適当に受け流しても再不斬は表情を歪めながら聞いてくる。
少し間を開け、大きく息を吸う。
「再不斬ぁ!!」
「「!?」」
急に聞こえた大きな声に驚きながら、再不斬と白は大人しく話を聞く。
「…再不斬、お前はここで“忍び”として死んだ。
額宛を無くし、確固とされた主張を崩され、実力では負け、殺されかけた。…こんなに弱い者を忍びと呼ぶべきでは無いだろう?」
「っく…」
再不斬は一方的に意見を言われながらも反論できず、俺の言葉全てを受け止める。
悔しそうに唇を噛みながら、手に力を入れて…それでも大人しく聞く。
「だから、忍びである“鬼人”桃地再不斬は今ここで死んだ。」
「っ!?
つまり、お前は何が言いたい?俺はお前に敗れ、プライドをズタズタにされて、忍びとして死んだとお前は言う!!
そのお前は俺にどうしろって言うんだ!!」
怒りの表情を表しながら、再不斬は今にも飛び掛ってきそうな勢いで叫ぶ。
「何、簡単だ。
お前は弱者なら、敗北者なら、忍びじゃないと言うなら…俺が守るぞ?」
その言葉に、再不斬は両目を大きく開いて驚く。
「っ…、お前は俺を一度殺しかけた癖に何を言う!適当な事を言うな!」
「それこそだ、再不斬。お前が一度俺に殺されかけたと思うなら、俺に命を見逃されたと思うなら
その命、俺と共に進め。」
再不斬と白は、俺の言葉を聞いて一瞬呆然としていたが、すぐに口を開く。
「っ……随分と強引な暴論だな、本当に適当な奴だ…。」
今言われた通り、俺の言っている事は全て暴論だ。それでも俺は動じずに言い返す。
「暴論だからこそだ!
じゃぁお前はなんだ?その闇が潜んでいる環境全てから白を守れる自身はあるのか?」
「っ…んなもん、守りきるしかないだろうが…」
悔しそうに顔を歪めながら、なんとかその言葉を絞り出すが、自分でも出来るとは思っていないようで曖昧な言葉だった。
「完全な肯定は無しか…そんなんで守れるn「黙れ!!」…。実際に霧隠れの里はそんなに甘くはないだろう。いつお前が死ぬのか分からないし、死んだら白はどうなるんだろうなぁ?
捨て駒に使われるか?それとも血継限界の持ち主として恨みの矛先にされて殺されるか?」
実際にそうだ、俺は自由気侭に今の人生を歩んでいるが、再不斬はそうは行かない。何度だって無茶な任務を行うだろう。だがそれは本人が一番分かっている。
だが、残された白が一番の問題だ。
ただでさえ危険な状況に晒されやすいのに、再不斬がいなくなったら白がどう扱われるか…。血継限界の持ち主と言うだけで立場はかなり危うく、忍びの才能さえもある。そんな白が再不斬の様な守る人間がいなくなったら、どうなるかなど明白だ。
「では、お前は俺にどうすれば…良いって言うんだ…」
再不斬は俯きながら、頼りない声で話す。
「何回も言わせるな。
だからこそだ、だから俺は言っている。
再不斬、仲間…いや、家族になれ。お前が弱いのなら支えるし助ける。一緒に歩けば割と気が楽になるもんだぞ?」
そう優しく言いながら、俺は再不斬に手を差し出す。
それに再不斬は先程よりも大きく目を開け驚く。
「っな!?
…多罪コウキ、お前はそう言うが…何故だ!?俺以外にもお前が戦った奴でもっと優しい奴はいなかったか!?助けるべき者は居なかったn「あぁ、居なかった。助けようとも思わなかった。」っ…」
再び口を開けて叫ぶように喋るが、その言葉を途中で切る。
「俺は今まで殺して来た奴に、強いとか面倒だとかは思った事はあるが、手を差し出したくなった奴はいなかった」
実際にそうだ。今まで何人も殺して来た俺だが、全て弱くて無様で滑稽で…
そいつらを殺すのは楽しかった。そうとしか言えない。
「再不斬、お前は一つ忘れていないか?俺は“狂人”だ。そんなくだらない事を多々思うような奴に見えるか?」
「お前がやってきた事を思い出せば、多々どころかそう思った事さえあるか怪しいな…」
「そこまでハッキリと言うか…」
だが実際、俺はそんなことほとんど思った事がない。こいつ等を抜いて、最愛の黄薇に会った時だけだと思うがな。
「…一々適当な感情論で俺の言葉を否定するなよ?ネチネチしてて苛々するんだよ…。
ん?それともなんだ?」
腰に収めていた刀を再び手に取って、刀の先を白に向ける。目を細めて白の方を見ながら話す。
「守りたい者を守りきらないで後悔しとくか?」
「ってめぇ!!」
傷だらけの身体で再不斬は無理に動こうとするが、うまく動かずに痛みに顔を歪めるだけだ。
「…再不斬、決めろ。
お前が嫌だと言うなら家族にならなくていい。そんな絆いらないからなぁ…。
それでも白だけは連れてくぞ。家族ではなく、何を言われようと“保護”として連れて行く」
俺の言葉に過剰に反応して、怒りの表情を表す。
「っ!?テメェ…いい加減にしやがれ!!」
「冗談じゃない、本気だ。もしここで俺が白を連れて行ったら、これから傷つけずに済むだろう。
だが、それじゃぁ駄目だ。再不斬、白が心まで傷付かずにいるならお前が来なきゃ駄目だ」
その言葉で再不斬の心は揺れる。ただ、ただ白の事を思って、それだけでどうするか心が揺れた。
「…お前はどうして、そんなに俺を引き入れようとする…?」
「…まぁ、あえて言うのなら先に言った通り、心の持った鬼に興味が出た…いや、引き込まれたって所だな…」
「…だが、なぜそこまで仲間ではなく、家族と言う関係に執着するんd「あ”あ~、五月蝿い五月蝿い…。小難しい事ばっか言うな!」」
再不斬の言葉を途中で切ると大人しくなり、もう一度息を吸ってハッキリを言う。
「一々俺に全部言わせんな!誘いたいから誘った!家族と言う結びが欲しかったから言ったんだボケェ!!
無駄な言葉付け加えてもう一回言っとくぞ!
俺と似た者同士で一緒に居られると思ったから誘った!故に、仲間でも親友でもなく!深い心の繋がりができる家族になれ!桃地再不斬!!
深い利益考えるなっつぅの!お互い困ったら支えあえば良いんだから、そんときゃぁそん時だ!」
改めて考えながら言うと微妙に気恥ずかしいので、一気に言いたい事を言った。
俺の言葉を聞いた再不斬は、しばらくしてから後ろを向いて白に話掛けた。
「…。
白、すまねぇなぁ…。どうやらお前の事を道具と言っていたが、そう扱えそうにない…」
「っ!?再不斬さん!それじゃぁ僕はどうy「これからは!」!?」
「…家族として、関わってくれないか…?」
少し不安そうな感情を宿しながら再不斬が言うと、白は驚く。
しかし、急に泣き出し、再不斬の懐に跳んでゆく。
「ぐあ”っ!?」
割と全力で。
「う…うああああぁぁぁ…!再不斬ざぁん!!ぼぐ…ぼぐぅ……。」
嬉しさのあまりに、泣き出してしまった白の顔はぐしゃぐしゃに…だけど、嬉しそうに笑いながら泣いていた。
「白…」
そんな白を見ながら、再不斬は少し笑いながら頭を撫でた。
さて…
「んで、空気になってる俺なんだけどさぁ、どうする?再不斬」
「…あぁ、お前の仲間…いや、同じ様な存在である似た者同士として、家族と言う枠組に入ろう」
再不斬はこちらを向かないで、それでもはっきりとした意志を秘めたような声でそう返事をして来た。
その良い返事に思わず俺の頬が緩む。新しく仲間が増えたいう事実に似合わなくても嬉しい感情がこみ上げてきた。
「…よし!ならば歓迎しよう!これからよろしくな!再不斬!白!
まぁ今から全てそう思わなくてもいいさ。その内そうやって自覚できればいいs「コウにいいいいいいいぃぃぃ!!!」ッゴハァ!?デジャヴ!!」
せっかく俺が二人の歓迎を中二っぽくしようと思った瞬間、隠れていた黄薇が俺の背中にタックルをかまして来た。
あれ?俺これを今さっき見た記憶があるんだが。
「一番!「っぐふぅ!?」空気に!「っぎゃぁ!?」なってるのは…わたしだよぉ!!「ゴハアァ!?」」
俺の対応に空気になっていた黄薇はどうやらそれがものすごい気に食わなかった様で、何回も背骨に強烈な頭突きをしてくる。痛い、硬化したら黄薇がすごい痛がるからできないけど、すごい痛い。たまに斬られるじゃんとか言っちゃ駄目だ。痛い物は痛いのだから。
「再不斬さん…」
「…大丈夫だ、すぐに終わるさ…………多分」
いきなり場の空気が変わったのを二人は、暖かい瞳で俺達を見ていた。