ナルトの世界で色々してくる   作:マックス

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その内黄薇さんが病むかも。

ついでに、新しく描くとしたら、多分今度のコウキ君は完全外道になります。


カレが病んだら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 血まみれた死体の山の中で、俺は死体を弄くる。

 

 

「………」

 

 何も言わず、ただ無言に手を動かす。

 

 

「………」

 

 肉を裂くと線が切れるような感触が、内蔵を抉ると生温くて少し柔らかい感触が、骨を砕くとガラスを割った感触が、手から伝わる感触が全て快感に変わっていく。

 

 

「……なーんかだめなんだよなぁ、これ」

 

 けれど足りない。生きた身体ではなく死体だからだろうか。悲鳴が、恐怖が、憎悪が、快感が、何もかも足りない。

 

 

 

「…ん?」

 

 

「…ぅ……ぁぁ…?」

 

 声の聞こえる方を見ると、さっきは少しも動いていなかった女の身体から聞こえてくる。どうやら気絶していたみたいで今起きたみたいだ。目の前に俺が居るが、気付かずに立ち上がろうとする。

 

 

 

 意識が朦朧としているため、当然支えが無ければ立てる筈は無く。手を地面に付けて立ち上がろうとする。

 

 

 

――――ベチャッ、と何か柔らかい物を潰した音が鳴る。

 

 

 

「……ぇ?」

 

 

 女はそっと自分の手を見るが、何が起こったのか分からないようで、ただジッと自分の手を見つめるだけ。

 しばらくすると自分の手に付いた物が何か分かったのか悲鳴を叫んだ。

 

「ぅ…ぁ?…っあ、あ…あぁ、……うわあああああああああああああああアアアアアア!!?」

 

 急な事に混乱して、後ろに倒れるがまた内蔵を潰した音が鳴った。

 

「ひ、ヒィ!?な…なにこれ、一体なんなの!!?」

 

 自分が潰した物がまた信じられないのか、首が取れるような勢いで周りを見る。すると、やっと俺が視界に入ったのか話し掛けようとする。

 

「ね、ねぇ…。あなたこの状況が一体なんなのか分かる!?」

 

「…あぁ、当然分かるとも」

 

 ゆっくりと女に近づくと、俺が一体何なのか気付いて絶望の表情に染まっていく。呂律もうまく回らないようだ。

 

 

「あ、あなた…。ももももしかして…」

 

 

「あぁ、テメェ等が“狂人”って呼んでる人間だよ…」

 

 俺の表情は、きっと新しい玩具を手に入れた子供の様な笑顔をしているだろう。それだけで女の心は分からないほどの絶望感に染まっただろう。

 

「…ぁ……、ぉ…ねがぃ……た、すけて…」

 

 涙を流して最後の希望に縋るように声を絞り出す。だが、俺の返答はもちろん決まっていた。

 

 

 

 

「…残念だが、無理なお願いだな」

 

 

 

 女にそれは、死刑判決に聞こえたことだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ●

 

 

 

 

「………」

 

「…ぅ…ぁ……」

 

 女の目には、もう光が宿っておらず諦めた表情をしている。微かに息をしているが、それもすぐに聞こえなくなるだろう。むしろ今生きている事が不思議だ。

 

「…」

 

 珍しく理性を保ってやりたいことを一通りやってみたが、少しも飛ばずに全ての理性が残り続けている。

 

 

 …おかしい、どう考えてもおかしい。

 

 今まで理性が弾けなかった事などほとんどなかった。理性が残った場合でもほんの少しだけだった筈だ。

 だが今は今までにないくらいに、この状況を冷静に見ることができている。…というか、冷静にしか見られない。

 

 

 

 

 試した事と言えば、ほとんどいつもと同じ事だ。最後にやっていった事から、内蔵を潰したり、骨を砕いたり肉を切り、ほとんど拷問のような事だ。

 

 

「……ハァ」

 

 自分の欲を出来る限り満たそうとして、色々な事を試したがまったく埋まらない。むしろ虚しくなるだけだった。

 自分の心がまったく埋まらない理由。何をしても物足りないどころかどんどん悲しく、虚しくなっていく。

 

 

“原因は、分かってるんだけどな…”

 

 全て何故か分かっている。だが分かっているからこそ何もできない。我慢するしかないのだ。

 まあ前々から我慢は続けていたのだが、それも限界に近づいてきた様だ。他の身体で誤魔化すのも無理になってきた。

 

 

 

 血まみれになった地面に座り込む。汚れるだろうが今回は気にしない。

 

 そこで一つの気配を感じ取る。いつもの様に感じていて、誰よりも近い距離にいる――

 

 

「あれ、コウにぃ…またやってるの?」

 

「……まぁな」

 

 

――黄薇だ。

 

 表情はうまく読めなくて何を考えているか分からない。代わりにいつもより大分落ち着いている。

 

 

「…なぁ、黄薇」

 

「……なに?」

 

 呟く様な一言にも、ちゃんと反応してくれる黄薇。それだけで嬉しい。だが今は細かい思考ができなっていく。

 

 

「黄薇はさぁ、俺の事…好き?」

 

「…うん」

 

 

 少し間を空けるが、しっかりと返事をしてくれる。

 

 

「…俺はさ、黄薇の事が大好きなんだよ。いつもいつもいつもいつもいつもいつもお前の事ばっかり考えてるんだ」

 

「そ…っか、うれしいよ」

 

 黄薇は俺の後ろにいる。だが俺は前を向いたまま話し続けて表情が分からない。だが少しだけ嬉しそうな声が聞こえてきた。

 

 

「でもさ、不安なんだよ」

 

「……っ」

 

「お前が俺の元から離れて行ってしまわないか。それが不安で不安で堪らないんだ。黄薇がいつも俺を見てくれて、笑顔を見るたびにさ、そんな不安は吹っ飛ぶんだ。だけど一人になるとどうしても不安が浮かび上がってくる」

 

「大丈夫、わたしはちゃんとここにいるから」

 

 黄薇はハッキリとそう言い放つ。それだけで嬉しくなっていくが俺の心の虚しさは少しも埋まらなかった。

 

 

 

 

 

 

 ずっと前から黄薇が欲しかった。俺しか知らない場所に、黄薇だけじゃ出られない所に一生閉じこめてしまって、俺がいないと生きられない様にしてしまいたかった。

 

 そんな風な黒い感情を前から押さえていたが、少しだけ俺のタガが外れてしまい漏れだしていく。

 

 

“その顔で泣いてくれたらどんなに良い表情なのだろうか”

 

“悲しみや絶望に染まる表情も見たい。どんな悲劇的な事が起きたらそれを見せてくれるか?”

 

“もしも嫌われたならそれも良いだろう。俺から一生懸命逃げようとする姿はどんな物だろうか。きっと触れてしまったら壊れてしまいそうなくらい脆くなるんだろうな”

 

 

“そんな脆くなった黄薇を…いっその事壊してしまいたい”

 

 

 

 何を考えても黄薇の事しか浮かんでこない。悲しませると分かっているのに、傷付けると分かっているのにどんどん我慢の限界が近づいてくる。

 

 

 

「なぁ、黄薇…」

 

「……なぁに?」

 

 

 返事はするが、黄薇の声が微妙に震えている。そこには微かな恐怖が混じっていた。

 

 できれば俺の言葉に肯定して欲しかった。だが、理性の中では絶対に拒否してほしかった。なぜなら、今どんな形でも“うん”と肯定の意志を示されれば、理性が一瞬で飛んでしまいそうだったから。

 

 

 そうやって悩みながら、俺は一番聞きたいことが、聞いてはいけないであろう言葉が出てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…お前は、俺の物だよな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side 黄薇

 

 

 

 

 

 怖い、ただ純粋にこわい。

 

「…お前は、俺の物だよな」

 

 

 目の前にいるコウにぃが、こわかった。

 

 

 

 

 怖い、といっても何かされるというこわさではなく、むしろ逆。コウにぃが壊れてしまいそうでとても怖い。

 最近のコウにぃは、どこか上の空だった。たまにボーッとしてて、わたしが声を掛けようとするとその前にいしきがもどったりしてた。

 

 そして、きょうのコウにぃはいつもより不安定になっている。いますぐにでもどこかへ消えてしまいそうだった。

 

 

「……」

 

「…黄薇」

 

 

 …もしもわたしがコウにぃの質問に“ちがう”とこたえたら、目の前でコウにぃ狂ってしまいそうこわい。ならばと、肯定したいが、今のコウにぃがどうしてもこわかった。もしもそうなったらどうなってしまうのか。肯定してもくるってしまいそうだし、わたしは何をされるか分からない。そういう意味でもコウにぃがこわく感じてしまう。

 

 

 だが――

 

「…うん。わたしはコウにぃが望むなら、いつだって、いつでも側にいるよ」

 

――気が付いていたら、こころの声がでていた。

 

 

 わたしの言葉を聞くと、コウにぃはすこしだけ驚いたかおをして、とても嬉しそうに笑った。

 

 

―――そして、自分の言葉に少しだけ後悔した。

 

「……黄薇、おいで」

 

 

――こわい

 

 

「……ぁ…」

 

 

 

 こわい、とにかく目の前にいるコウにぃが今まででいちばんこわくみえる。どんなにつよい殺気を向けられたときよりも、そんな物とは比べ物にならないくらいにこわくかんじてしまう。

 

「…黄薇、こっちへおいで」

 

 見たことないような優しい笑顔で、聞いたことないくらいの優しい声でいいかけてくる。けれど、それがどうしても妖しくみえてしまう。

 

 それにきょうふを感じてしまって一歩下がると、コウにぃは更に嬉しそうに笑った。

 

 

 

「………ぅ…ぁ…ぁぁ…」

 

 ただ、ただ純粋な恐怖におそわれて、本能に身を任せてにげだしたくなる。だが、そんなことをしてもコウにぃにすぐ追いつかれていることは目にみえていた。

 

 

 

「黄薇」

 

 

「…うん」

 

 なんとか喉からことばを絞り出すと、コウにぃの近くによる。

 

 

「…嗚呼、良い子だ」

 

 コウにぃに抱き寄せられ、足のうえに座ると少しだけ強く抱きしめられる。

 

「あぁ、黄薇は本当に可愛いなぁ……」

 

 こうしていると、まだほんの少しだけこわいけれども、手の動きはやさしくてただ単に抱きしめられているだけで安心した。

 

 

 

 

 

 それが一時の錯覚だと気付かずに。

 

 

 

「…コウにぃ?」

 

「黄薇…」

 

 抱きしめられているうでの力が少しづつつよくなっていくのを感じる。

 コウにぃをみるとクスクスと笑っていた。とても楽しそうだけど、それは狂ってるようにも見えた。

 

 

「あぁ、ほんとに、本当にお前は可愛いよ。少し触れただけで壊れてしまいそうな感触。いつだって俺の隣にいて向けてくれるその笑顔、それを見るたびに俺は癒される。それに憑かれない筈がない…」

 

 

 

「ねぇ、コウにぃ?」

 

 コウにぃの言葉はわたしに向けているような、むけていないようなどちらか分からない。ただ、なにか言うとどうじに腕のちからが強くなった。

 

 

「ぅっ…!」

 

 

「…俺はな、貪欲なんだよ。欲しい物が手に入ってももっと良い物が欲しくなる。何か動く時だって楽しくしたいからで、深い事なんて考えてないんだよ」

 

 いたくなるほどにだきしめられながら、コウにぃは気付いているのか気付いていないのか…おそらく気付いているだろうが、しゃべり続ける。

 

 

 

「けどな、お前に関しては別だ」

 

 

 

 背中に、ゾクっと得体の知れない何かが走る。

 

 

「お前がいなかったら、まず駄目ってくらいに黄薇に依存してる。どうして愛しいんだよ。全て、黄薇の全てを見てみたい。

 

 

 

 笑ってる所も、嬉しそうな所も、食べてる所も、悲しんでるところも、驚いてる所も、何もかも見たい」

 

 

 

 コウにぃはいちど言葉を切ると、わたしの肩の傍にかおを近付けて、溜息をするように呟いた。

 

 

「――――あぁ、壊したい」

 

 

 

 

 

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