「わ~た~し~が!楪少女を抱えて来たぁ!!」
「オールマイト!ってゆずちゃん先生どうしたの!?」
「朝からずっといねぇと思っていたがどうしたってんだ!?」
「あ、相澤先生許さない……」
「「「「「は?」」」」」
やっほ~皆、楪だよ。オールマイトに助けて貰うまでの午前中ずっと逃走していたからボクの体力はすっからかんです。
とはいえ二日目で授業をサボるわけにはいかないからオールマイトに米俵みたいに抱えられて授業に登場だ。
「楪少女はマスコミに襲わ……インタビューをされていてね。走り回って疲れてしまったようだ!!」
「「「「「今襲われたって……?」」」」」
事実襲われました。インタビューを建前にした言葉の追い剥ぎに!!
というかそろそろ下ろしてくれて良いんですよ…??
そんなことを思っているといずにぃがいつもより大きな声で発言した。
「お、オールマイト!取り敢えずゆず…先生を下ろしてあげませんか……?」
「む!確かにそうだね!え~と………よし!では授業を始めよう!」
((((なんでそこに下ろした???))))
オールマイトはボクの脇にを掴んで猫みたいに持ち上げると教卓の上に上半身をうつ伏せにして足だけががぷらぷらするように下ろした。
すこし息苦しいけどそれ以上に疲れてるから妥協しよう。
「私の担当はヒーロー基礎学!ヒーローの基礎を作るため様々な訓練を行う!範囲も最も広いぞ!そしてこれ!」
「戦闘訓練!!」
「おぉ!?」
オールマイトが突然壁に向かってスイッチを押すと壁からアタッシュケースが入ったロッカーが出てきた。
「入学前に送って貰った個性届けと要望に沿ったコスチュームだ!!着替えたらグラウンドβに集まるんだ!」
「「「「うぉぉおおお!!!」」」」
「うるさい……」
あまりの声量に思わず耳をペタンと押さえるが全く効果が無かった。それに愚痴を漏らしても声量に書き消されてしまった。
「って、オールマイトゆずちゃん先生置いてってんじゃん!?」
「…ぇ?」
歓声が収まってきた頃に芦戸さんの言葉を聞いて首を上げて見渡すと既にオールマイトの姿は無かった。それに絶望していると八百万さんが話しかけてきた。
「楪先生は一体何があったのですか?物凄くお疲れの様ですけれど……」
「……今朝…相澤先生から呼び出されて簀巻きにされてマスコミの生け贄にされて……逃げてた……」
「ま、まさか午前中ずっとですか……?」
「……」
ボクが何も言わずにいると話を聞いてた全員が戦慄していた。
「相澤先生ってかなり鬼畜よね」
梅雨ちゃんって凄いストレートに物事言うよね。
ボクは結局一人でグラウンドβに向かった。途中相澤先生と鉢合わせになり、ボクを生け贄にした代償として一発蹴りでもいれてやろうかと思ったけど
「詫びだ。これで勘弁してくれ」
「?…ッ!……次は無いですからね」
なんと高級チョコレート専門店の"アデライル"が作っているチョコレートバーを数本渡してくれた。
それに甘いのは正義。
アデライルは他にもカロリーや体力を多く使うような個性を持つ人の為にお手軽に高カロリーを摂取できる食品を販売していてプロヒーローにも大人気なのだ。
相澤先生からの
「あ、楪少女!置いていってすまなかった!」
「良いですよ別に
「?そう……か??」
そして残りのチョコバーを食べながら皆を待っていた。
ボクだけ食べているのも何かあれだったから半分オールマイトにあげるととても美味しそうに食べていた。
聞いてみたらオールマイトも甘党らしい。今度マカロンでも作ってお裾分けしよう。
「む、皆来たみたいだぞ楪少女」
「了解です。おぉ……皆似合ってますね」
グラウンドに来た皆はそれぞれ自分で要望したコスチュームに身を包んでいた。
ロボットみたいなコスチュームだったり洋風の鎧みたいなの、そして
「う、麗日さん……?そのコスチューム……」
「あ、うんもうちょっと細かく書けば良かった~ッピチピチスーツみたいになっちゃった//」
「格好から入るのも大事だぜ少年少女達よ!自覚するんだ!今日から君たちはヒーローなんだと!!最高にカッコいいぜ有精卵共!!」
オールマイトが誉めると皆からは嬉しそうな声が上がった。
そしてオールマイトが今回の訓練について説明を始めた。カンペを見ながら。
今回の訓練は戦闘訓練。生徒がそれぞれ二人一組に組分けされて、ヴィラン側、ヒーロー側に別れて訓練する。
ヴィラン側は核兵器を持っていて、ビルに立て籠っているという設定で、核兵器を制限時間まで守る。もしくはヒーローの捕縛、撃退、戦闘不能にすることでヴィラン側の勝利となる。
対してヒーロー側は核兵器を持ち、籠城しているヴィラン捕まえる為に急遽編成した、所謂有り合わせチームという設定でオールマイトが適当に分けた。
ヴィランからの核兵器を奪還、ヴィランの捕縛、戦闘不能にすることでヒーロー側の勝利だ。
そして別れた組は
A組:緑谷、麗日
B組:轟 障子
C組:八百万 峰田
D組:爆豪 飯田
E組:芦戸 青山
F組:砂藤 口田
G組:上鳴 耳郎
H組:常闇 蛙水
I組:尾白 葉隠
J組:瀬呂 切島
になり、それぞれが自分のペアと話していると上鳴君が近寄ってきた。
「なぁオールマイト先生、ゆずちゃん先生は参加しねぇの?」
「「え?」」「はぁ?」
「いやだってよ、一応先生だけどよ、言っても俺らと同い年だろ?それに昨日の腕相撲で力強いのはわかったけど、どんくらい強いかわかんねぇし」
「いや上鳴、昨日ゆず先生教員免許持ってるって言ってただろ」
上鳴君の発言が他の皆にも聞こえていたのか、いつの間にか集まっていた。
確かに昨日は体力テストして簡単な自己紹介と腕相撲をして終わりだったから……アッ仮免許持ってること言ってなかった……
「HAHAHA!確かに楪少女は
「……特例で、ですけどね……」
一応耳を塞いでおこう……
はぁぁぁぁあッ!?
ボクの予想通り一泊置いてから絶叫が聞こえた。耳を塞いでて良かった本当に。
「おい女狐てめぇ!!どういうこったッ!?何でてめぇが免許を持ってるんだ!?あ"ぁ"ッ!?」
「ちょ!?だから特例でって言ったでしょ!?リカバリーガールの助手みたいなこともしなくちゃいけないからどうしても免許が必要だったの!」
「爆豪少年!楪少女から一旦離れなさい!」
「……ちッ!」
ボクに掴みかかかってくるかっちゃんをオールマイトが制して何とか落ち着いてくれた。
「私から説明したほうが良さそうだね。おほん、楪少女の個性は皆も知っているよう身体強化、治療の両方ができるとても貴重な個性だ。故にヴィラン側に狙われやすいから早急に力をつける必要があった」
「まぁそれもそうかも知れねぇけど、それなら俺たちと一緒でも…」
「確かにそうだ。しかしリカバリーガールも後継者を欲しがっていてね。それに"仮免許を持っている〟という事実だけでヴィランに狙われる危険性が減るんだ。楪少女は去年から私を含めた雄英の教師に指導を受けていたからそれなりの実力もある」
「ま、マジかよ……」
「それ実質先輩じゃね……?」
「ちッ!!」
オールマイトが説明するとかっちゃんは一応は納得してくれたようでボクから離れていった。皆はそれぞれボクのことについて言い合っている。
「ふむ……楪少女!久しぶりに組み手でもしようか!」
「……え?」