狐は守り続けたい   作:メヴィ

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幸福(こふく)様の名前は狐(こ)福(ふく)をかけたみたいにしたかったんです…つまんないですよね……


家話

 その日の夜、夕飯を作っているといずにぃから話をされた。

 どうやらワンフォーオールの事をかっちゃんに話したらしい。

 オールマイトに貰ったことはぼかしたみたいだけど、オールマイトからはお叱りを受けたらしい。

 

 「当たり前でしょ……まぁあんなに凹んだかっちゃんは初めて見たけどね。これでやっといずにぃのこともライバル視してくれたんじゃない?」

 「そ、そんな…僕なんて、まだまだかっちゃんの足元にも…」

 

 その言葉にボクはムッとした。いずにぃの自己肯定感覚が低いのは前からだけど、今回はかっちゃんが敗北を認めたんだから。

 

 「いずにぃはもっと自分を認めてあげなよ…言い方は悪いけどさ、今まで場外だったいずにぃがかっちゃんとやっと同じ土俵に立ってるんだから、それに、今の自分を認めないのはワンフォーオールを認めてないのと同じだよ?」

 

 今のワンフォーオールはいずにぃの個性なんだからと付け足して言うと、いずにぃは持っていたお皿を落とした。それは尻尾でキャッチできたからいいけど、落とした本人は口を開けてポカーンとしていた。

 

 「……いずにぃ?」 

 「……ぁご、ごめん!うん…そうだよね…!」

 「……納得してくれたなら良いけどさ?早くご飯食べよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 それからお風呂に入り、いずにぃに手伝って貰いながら尻尾を乾かしている時に幸福様の事を思いだしていずにぃに言ってみると

 

 「大丈夫?のぼせてないよね…?」

 「何でマイク先生と同じ反応するの……?」

 

 心配そうに首やおでこを触ってきた。先にお風呂に入っていたいずにぃの手はすこし冷えてて気持ちいい。まぁそんなことは置いておいて、

 

 「ボク真面目に言ってるんだけど……」

 「ご、ごめん。でも内容もそうだし、ゆずって普段そう言う冗談とか言わないからさ…いたッ!?」

 「ぼごはばびべびふぃべひぇるほ!!(ボクは真面目に言ってるの!)

 

 再びおでこを触ろうとしてきたからおもいっきり噛むとすこし血の味がした。さすがに怪我をさせたい訳じゃないから噛んだまま舐めて傷口を修復した。

 

 「ゥ"ウ"ウ"ウ"ウ"ゥ"…」

 「ご、ごめんって…」

 

 一分程噛みついた後、ソファに座っているいずにぃの膝にお腹を乗せるようにしての寝転がってドライヤーでボサボサになった尻尾をいずにぃの前に出すと苦笑しながらブラシをかけてくれた。

 

 「……今までさ、いずにぃと一緒にボクの個性について調べた時って何回かあったよね?」

 「え?…あぁうん。そうだね」

 「今考えたらその時に狐火とか、妖術とかさ、色々のってる文献あったのに、何で今までそれを再現とかしてみよう!ってならなかったんだろうって、いずにぃのノートにも、そう言うの書いてないでしょ?」

 「ッ!!た、確かに!何でだろう……も、もしかして」

 

 ピタリとブラシをかける手が止まってチラリといずにぃを見ると、驚いた顔でボクを見ていた。

 

 「「幸福様がその時から干渉してたんじゃないか」」

 

 同時言って、暫く間が空いた。

 

 「……」

 「あはッ、まぁだからどうすれば良いとかわからないんだけどね」

 「いやそうなんだけどさ……だとしたらさ、何のためにそんなことしてたんだろ?だって、今日はあっちから干渉してきたんだから何かしら目的があるはずだから、幸福様が空狐だとしてもゆずに干渉し続ける意味は同じ狐関係「あ~もう知らない知らない!」

 「考えたって仕方ないんだって…あと、貧乏揺すりしないでよ…」

 

 いずにぃは考察モードになると指を動かしたり貧乏揺すりをする癖がある。ボクが膝に乗ってたりしても問答無用でするから、今みたいな状況だと膝がお腹を刺激してきて痛いんだよね。それに…()()()()()ちょっと危ないし……ちょっと、お腹の奥熱くなってきちゃったな……

 

 「……先、寝てるよ~」

 「う、うん。お休み」

 

 一旦部屋に戻って薬飲まないと……はぁ……早く終わらないかな…発情期…

 ため息をつきながら机から瓶を取り出し、カプセル型の錠剤を3粒取り出して噛み砕いてから水で流し込む。暫くまっているとお腹の熱がだんだんと消えていった。

 

 ボクの個性の【九尾の狐】は動物系の個性で、つまり動物だ。結局は九尾のと付くけど、結局狐で動物だから……発情期がある。

 これは動物系個性の多くの人が悩む事で、過去一時期は発情期の人達の性犯罪、性被害が多かったこともあった程だ。

 だから動物系個性の人の殆どは薬を携帯している。それは錠剤だったり、粉末だったり注射だったり……まぁとても多くの種類がある。

 

 最初は中学生になって、生理が始まったときだった。

 今日みたいに膝に寝転がってて、いずにぃがヒーローノートを書いている時だった。そのころはいずにぃの貧乏揺すりは全く気にしてなかったから特に何も言わないで本とかを読んだり、一緒にノートを書いてたりしてた。

 一瞬だけ、態勢を変えようとした時に膝が丁度子宮がある場所を突き上げて、それがスイッチだった。

 ズンッて響いてどんどん熱くなっていって、体が疼いてそれが凄く怖くて泣いていたのをいずにぃが気づいてすぐに引子さんを呼んでくれて病院に行った。

 その日は粘液を採取して、ホルモン注射をして1日入院。翌日に発情期について説明された。

 発情期には3種類があって、人間の様なトリガー式の発情、動物と同じ季節による発情期、そして、そのどちらも持ち合わせている混合型の発情。

 3つ目が一番厄介で、動物と人間が合わさった個性を持つ人だけがなるもので、動物系個性全員がなるわけではなくて、だいたい1/4位の確率らしい。

 ボクがその混合型だ。

 発情期の季節中はとても発情しやすくて、妊娠しやすい。季節が違っても発情してしまったら、発情期と同じ状態になる。

 

 

 「……はぁ…」

 

 ふと時計を見れば10時。薬を飲んだのが9時20分だっから40分経ったことになる。お腹の熱もすっかりなくなって、逆に寒いくらいだ。部屋を出るといずにぃも部屋に戻ったみたいでリビングは真っ暗だった。

 そしていずにぃの部屋に入るといずにぃはもう寝てた。

 暫くいずにぃの寝顔を見つめてからベッドに潜り込んで定位置(胸と腹辺り)で体を丸めると暫くしていずにぃが尻尾ごと抱き締める。

 いずにぃに包まれるようにして、ボクは眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『~~♪』

 

 青い耳をピコピコと動かしながら桜の木が生えている岩に座る幸福がいた。視線の先には出久の共に寝る楪の姿が映像として写し出されていた。

 

 『いやぁ~相変わらず仲が良いねぇ~♪』

 

 パシュンと映像が途切れる。すると幸福は岩の上から飛び降りて空を見上げる。とても、寂しそうに。

 

 『……なぁんであの子を置いていったかなぁ…次元、なお…』

 

 名前を呼びながら空の星を掴むように腕を伸ばすが、その手は何も掴まずに空を切る。

 

 『…安心してよ。絶対に、絶対に孫が生まれるまではそっちに行かせないからね……手を出してくれるなよマビト』

 

 

 

 

 

 




捕捉説明
 発情を押さえる薬は性欲をほぼ完全に押さえる効果と鎮静作用があります。なので楪は性について知識はありますが疎いところがあるみたいですね。
 恋愛は肉欲と性欲があってこそなので……ね?
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