狐は守り続けたい   作:メヴィ

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マスコミ騒動

相澤先生と一緒に教室をでて相澤先生は職員室へ、ボクは保健室に戻った。

 今日はA組は校内を出るような時間割じゃなくて、ボクはブラド先生に頼まれて戦闘訓練の付き添いや訓練で壊れた建物を修復したりしていた。

 あっという間に午前中が終わってお昼休みの時間になった。

 多くの先生は職員室で昼食をとる。

 コンビニ弁当だったり、ランチラッシュが用意しておいてくれたお弁当だったりもする。

 ボクはランチラッシュが用意してくれたお弁当が好きだ。

 ボクが相澤先生と訓練しているときも良く差し入れを持ってきてくれてたし。

 

 普通に食堂で食べればいいのにと思われるかもしれないけど、それはボクにとってある意味拷問だ。

 簡単に言えば耳が良すぎて食器の音や咀嚼音が聞こえてしまう。 

 動物系個性の人が外食を好まない大きな理由の一つでもある。

 

 「楪、一緒に外で食べないか?」

 「ハウンドドッグ先生」

 「別に外食をって訳じゃない。今日は天気も良いから気持ちが良いぞ」

 

 ハウンドドッグ先生に言われて窓を見ると良い感じの木陰と風が吹いていて確かに気持ち良さそうだった。

 

 「確かに気持ち良さそうですね……うん。じゃあ一緒に食べましょう」

 

 そのまま職員のテラスを開けるとフワッと気持ちの良い風と木の良い匂いがした。

 コスチュームの靴は外中併用だから問題無い。

 そのまま外を暫くま歩いていると二人座れそうな木陰を見つけた。

 ちょうどハウンドドッグ先生はも同じ場所を見ていたみたいでそこで食べることに決まった。

 そのまま座っても良いけど…毛に草とか虫付くの嫌だな。

 

 「何かシートとか敷きます?」

 「あるのか?」

 「まぁ大体のはありますよ」

 

 ストレージから大きめのレジャーシートを取り出して敷いて腰を下ろすと隣にハウンドドッグ先生も座り、包みを開いた。

 ハウンドドッグ先生の昼食お弁当で、毎朝奥さんが手作りしてくれている。

 こう見えてハウンドドッグ先生は既婚者で双子の娘がいる。(名前はカガリとセイラ)

 最初聞いた時は驚いたけど、ハウンドドッグ先生と関わっていればわかるよ。

 ハウンドドッグ先生はものすごくいい人だから逆に結婚してないのかって思うレベルでいい人だもん。

 

 「あ、今日は焼き肉丼ですか?」

 「そうみたいだな。一口食うか?」

 「良いんですか?じゃあ……ランチラッシュのですけど、揚げ卵をどうぞ!」

 「頂こう」

 

 お互いに交換しながらお弁当を食べているとハウンドドッグ先生は先に食べ終わってそのすこし後にボクも食べ終わって最近起きた事を話していた。

 

 「この間、カガリの尾を手入れしていたら下手くそと怒られてしまってな…セイラには上手いと言われるのだが…やはり難しくてな」

 「あ~…そういえばカガリちゃんの尻尾ってボクと同じタイプでしたっけ?」

 

 聞くとハウンドドッグ先生はすこし耳を倒して頷いた。

 尻尾の毛並みのタイプは大きく分けて3つあり、モフモフ、サラサラ、ボサボサに別れている。

 ボクとカガリちゃんがモフモフで、ハウンドドッグ先生の尻尾はサラサラの毛並みだからブラシのかけ方も手入れの仕方も違うから

ハウンドドッグ先生が下手なのはある意味仕方ない事だ。

 

 「ならボクの尻尾で練習します?」

 

 尻尾を一本揺らしながら聞いてみるとハウンドドッグ先生は驚いたように目を丸くしていた。

 まぁ普通は家族か親しい人にしか手入れなんて頼まないのが獣人の暗黙の了解になっているから驚くのも当たり前なんだけどね。

 

 「良いのか?」

 「ボクも前にカガリちゃんとお互いにやったことありますから。それにこう言うのは同じタイプの人が実演しないとわかりませんからね」

 「いやしかし……本当に良いのか?」

 「ハウンドドッグ先生なら乱暴にやったりしないと思ってますから。あ、最初はカガリちゃんにやっているみたいにやってみてください」

 

 ハウンドドッグ先生はボクからブラシを受け取ってすこしおっかなびっくりに尻尾にブラシをかけ始めた。

 ……確かに下手くそだね……逆に毛が絡まってすこし痛いし、カガリちゃんが怒るのも納得いく。

 

 「……どうだ?」

 「まぁ、正直に言えば逆に痛いです__ちょッ!そんなにションボリしないでくださいって!まず、最初はブラシで表面を本当に軽く撫でるんです」

 

 ブラシを持っている手掴んでそのまま一緒にブラシをかける。

 

 「じゃないと外の毛と中の毛が混ざって絡まっちゃうんです。モフモフタイプは意外に外側の毛が乱れてるだけで、中の毛は整ったままな事が多いんですよほら、」

 

 尻尾を少し割って内側を見せるとまっすぐな毛が見えた。

 それを見たハウンドドッグ先生は初耳だと驚いていた。

 

 「外側が整ったら少し力を強くしてブラシの先を中に入れる感じです。そしたらこうやって短くシャッシャッシャッとやって終わりです」

 「なるほど参考になっジリリリリリリッ!》警報!?」

 《セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは屋外に速やかに避難してください。繰り返します。セキュリティ……》

 

 突然警報が鳴り響いて徐々に学校からも騒ぎ声が聞こえてきた。

 セキュリティ3って確か…許可証を持っていない人が校内に侵入した時になるはずだ。ということは、

 

 「侵入者ぁ!?」

 「バウ!(そうだ!)

 「それってまずくないですか!?」

 「バウッバウ!ババウッバウッ!!(数年で初めてだ!)

 

 警備が厳重な雄英に侵入者なんて…もしかして、ヴィラン……ん?相澤先生から着信?

 

 「はい楪です!いまどうなってるんですか?」

 『聞いてたろ今の警報。あれは只のマスコミだよ。ったく、どうやって防壁を突破したんだかな…ハウンドドッグは近くにいるか?いるなら代われ』

 「今代わります。ハウンドドッグ先生相澤先生からでッ!?」

 

 代わろうとして相澤先生の名前を出すとハウンドドッグ先生はボクの手からスマホを奪い取って話し始めた。

 待っていると急に光とカメラの音が聞こえてきた。

 見てみればカメラを持った男が興奮したように叫んでいた。

 侵入者って……あの人かな?

 

 「やったぞ!大スクープだ!やっぱりリカバリーガールの後継者はハウンドドッグの子供だ!」

 「!?!!グルゥァァアッ!!(違うわぁあ!!)

 「ひぃぁぁぁあ!?」

 

 ハウンドドッグ先生はスマホ放り投げて写真を撮ったマスコミを追いかけて走り出した。スマホを拾って暫くそれを眺めていると今度はリカバリーガールからメールが届いた。

 【今の警報で驚いた生徒が大勢怪我したみたいだから早く戻ってきておくれ】

 

 急いで回りの物を収納して保健室に向かおうとすると、廊下は生徒で詰まっていてとても進めそうになかった。

 仕方なく保健室の外に回って窓をノックした。

 丁度リカバリーガールが個性を使ったタイミングで、タコの様に伸びた口をこちらに向けていた。

 

 「ちゆ~…ほらさっさと入ってきなさい。何で窓から入ってくるかね」 

 「廊下が詰まってたんですよ……それより、怪我人ってどのくらいですか?」

 

 聞けば正確にはわからないが聞く限り大勢、だそうだ。

 

 「警報でパニックになって通路ですし詰め状態になったみたいでね。今まできた子達は殆どが捻挫だったよ。さて」

 

 急に立ち上がって保健室を出ていこうとするリカバリーガールを引き留めながら理由を聞くと、怪我人は教室に戻るように指示されたらしい。

 

 「大勢が保健室に押し掛けてきたらキリが無いよ。だから私たちが教室に行って治療した方が早いさね。あたしは1年から回るからあんたは3年の教室からやってくれ。あぁ、廊下で見つけた怪我人は治療して良いからね」

 「わかりました」

 

 3年教室に向かい、廊下にまだいた怪我人を治しながら行くとだんだん人は減ってきていた。

 

 「失礼しま~す、怪我人の治療に来ました~」

 「あ、来たみたいだよ環!すみませ~んこっちで~す!」

 

 呼ばれて行くと、どうやら足を捻挫しているみたいだった。

 修復して顔を見ると昨日保健室に来た先輩だった。

 

 「あれ、昨日の」

 「いやぁ昨日はありがとね!」

 「あ、ありがとうございます……あの、3年の怪我人は僕だけです…ミリオが確認したので…すいませんご迷惑かけて……」

 「あ、そうなんですか?ありとうございますミリオ先輩」

 

 ミリオ先輩にお辞儀をしてお礼を言って教室を出て念のために各教室を確認すると本当にいなかった。  

 そして2年の教室を回っているとリカバリーガールと鉢合わせした。

  どうやらいま回っている教室が最後みたいで二人でやれば3分程でおわった。

 

 「ちょっと校門に行くよ」

 「え?」

 

 いいから早くとリカバリーガールに連れられて校門に行くとそこにはバラバラになった防壁の残骸が落ちていた。

 

 「オールマイトのパンチにも耐えるんじゃ…」

 「その筈さね。けどこれは…」

 「どうしたら只のマスコミにこんな事ができる」

 

 急に声がして後ろを振り替えると睡さんと13号先生を引き連れて校長が来ていた。

 「唆した者がいるね。邪な者が入り込んだか、もしくは宣戦布告のつもりか………楪君。これは修理できるかな?」

 「や、やってみます」

 

 残骸を触って修復を発動させると徐々に残骸が集まっていって最終的に防壁の中央に穴が空いた状態に戻った。

 修復されないってことは……離れた場所にあるか、存在しないってこと?

 

 「楪君、この穴は」

 「たぶん、ですけど残骸が遠いか存在してないんだと思います。後復元するので」

 

 復元しようと防壁に手を当てると睡さんがちょっと待ってと言った後にカメラの音がした。

 

 「一応ね、中央の瓦礫だけが無くなるなんておかしいからね。あ、もう良いわよ」

 

 

 

 

 

 

 「あ、ハウンドドッグ先生ってどこにいますか?」

 「彼なら写真を撮ったマスコミを警察に突き出しに行ったのサ」

 

 ……ハウンドドッグ先生のお弁当箱どうしようかな……午後も授業の予定は無いし……洗っておこうかな。

 

 

 

 




追記
狐は犬科なので動物の犬の言葉がわかります。なのでハウンドドッグ先生のバウバウも理解できます。

 「逆になんでわからないの……?」
 えぇ………
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