狐は守り続けたい   作:メヴィ

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USJ

 「飯田君が非常口?なにそれ、ボクも見たかった」

 

 夕食を食べながらマスコミ騒動の時のことを聞くと飯田君がドアの上に張り付いた事を聞かされ、委員長は飯田君になってもらったことを聞いた。

 飯田君が非常口……違和感ないな。うん。

 

 「ゆずの方は大丈夫だったの?」

 「へーきだったよ、でもマスコミにハウンドドッグ先生と一緒にいるところ写真に撮られた。なんかボクを先生の娘と勘違いしてたみたい」

 「そういえばゆずについての考察でそんな説が……」

 「……え?」

 

 問い詰めた結果どうやらマスコミに追いかけられていた動画や写真が出回って、加えてリカバリーガールの後継者ということも広まって掲示板?やらヒーローサイトでも話題になっているみたい。

 

 そんな中同じ獣系個性であるハウンドドッグ先生が血縁じゃないかって話らしい。

 いずにぃに掲示板を見せて貰うと[ワンチャンミルコ]とか他の獣系個性のヒーローの名前がちらほら上がってた。

 ……尻尾の付け根触りたいとか耳に突っ込みたいとか、いずにぃ以外に言われてると思うと気持ち悪い…ぞわぞわする…

 

 

 

 

 「う~……」

 「ど、どうしたの?」

 

 あれからお風呂に入ってもぞわぞわが残ったままで気持ち悪くていずにぃにくっついてないと落ち着かなくて、ソファに座ってるいずにぃに正面から抱きついている。

 首を軽く噛みながら、掲示板の言葉が喜町悪かったと言うとごめんって謝ってきた。

 

 「…別に、いずにぃが悪いわけじゃ、ないし…いずにぃなら良いもん…」

 「ゆずがああいうの嫌いなのに見せた僕が悪かった」

 「んッ…うゃ……」

 

 撫でてくれている時に耳に手が当たって声が漏れる。

 いずにぃも触るつもりはなかったみたいですぐに耳から手遠ざけようとするのを頭を動かして阻止する。すると「いいの……?」と不安そうに聞いてきた。今は触って欲しい気分なんだよ。

 

 

 恐る恐ると言った感じで耳を両手で触ってくるいずにぃ。

 触られ馴れていなくて不思議な感じだったけど、耳と手が擦れる音と皮膚が薄いからかいずにぃの手の暖かさよく伝わってきてきて心が落ち着いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「楪、ちょっとこい」

 「?はい」

 

 

 相澤先生に言われてついていくとサポート科の倉庫に連れてこられた。中には沢山のアイテムがおいてあって、中にはダンボールに入ったままのもあった。整理しろってことなのかな?

 

 「違う、これらはお前のサポートアイテムだ」

 「………ボク、こんなに頼んだ覚えないんですけど…」

 「根津校長の指示だよ。持てるもんに制限無いんだから持っておきなさい、だとよ」

 「な、なるほど……?」

 「一通り使い方には目を通しておけ。婆さんには話を通してある」

 

 そう言って相澤先生は出ていった。

 軽く50以上あるんだけど……ていうかリカバリーガールに言ってあるってことは、午後の救助訓練までここで…?

 

 「……よーしがんばるぞー」

 

 

 

 「うわこれ……フラッシュバンの追加?スッゴい沢山ある…他には…スタン、スモーク、催涙?ボクを武器庫だと思ってないかな?」

 

 

 

 

 「捕縛用ネット…?射出ランチャーまで…」

 

 

 

 「これは……ウォール、シールド?」

 

 段ボールには英語でそう書かれていた。

 中には一メートルくらいの盾みたいな物と説明書が入ってた。全部英語で書いてあったけど、相澤teacherの鬼指導のおかげでスラスラ読めた。

 

 要約すると『側面下部に衝撃を加えると縦横にシールドが展開されます。展開後回収する場合は上部に衝撃を与えてください。オールマイトの一発くらいなら耐えてやるわ!!』

 だった。いやオールマイトの一発耐えれるなら凄いんだけど、展開と回収が力業……それで良いのかサポートアイテム。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「朝からずっとあそこに居たんですか!?」

 「あはれは、まぁそうですね」

 

 午後になると13号先生が迎えに来てくれて、一緒にUSJ(嘘の災害や事故ルーム)でA組を待っていた。

 

 「校長先生はボクを武器庫か何かだと思ってるんじゃ無いですかね、デイザーガンもありましたよ」

 

 後グレネード一式とかも、付け加えて言えば13号先生は苦笑いをしていた。

 

 「ですがその考えも間違ってないと思いますよ。楪さんの個性は多くの物を運べる。災害時に楪さん一人がいれば、医療器具、食料、更には仮設施設まで」

 「確かに……」

 

 収納の大きさの限界はまだわからないから、施設も収納できるかも……?今度相澤先生に言ってみよう。

 

 

 

 「楪、13号、オールマイトは?」

 「先輩それが、活動限界が来てしまったらしく……仮眠室で休んでます」

 

 相澤先生達が到着して救助訓練の打ち合わせをする。

 ボクと相澤先生が救助者役で、13号先生とオールマイトが救助指南をするはずだったんだけど……教師としてそれはどうなのかな……?

 

 「はぁ……じゃ指南は13号に任せる。俺と楪が救助者だ。うし、始めるか」

 

 

 

 

 

 

 「え~、では僕から始める前にお小言を一つ、二つ、三つ……四つ、五つ……」

 「「「「増えた!」」」」

 

 13号先生の個性は《ブラックホール》あらゆるものを吸い込んで塵にしてしまう強力な個性。

 その個性で災害で多くの人の命を助けてきた。逆に簡単に命を奪える個性でもある。

 

 「今の超人社会は一見成り立っているように見えますが、一歩間違えれば容易に人が殺せるような状況にあります。そのような個性を個々が持っている事を忘れないようにしてください」

 

 そして、個性に救助の活用法を見出だしましょう!と声高らかに言った。

 

 「君たちの力は人を傷つける為にあるのでは無い。助ける為にあるのだと思って下さい。以上、ご静聴ありがとうございました」

 

 13号先生が右手を胸に添えてお辞儀をすると皆は拍手で答えた。

 飯田君に限ってはブラボー!と大きな声をだしながら大袈裟に拍手をしていた。

 

 「そんじゃまずは…」

 「ッ!せんせ!!」

 

 ゾクリと、嫌な予感がした後にぶわっと何かが広がる音がして、振り替えるとそこには

 

 「全員一塊になって動くなッ!!」

 

 巨大な靄から数えきれない程のヴィランが出てきていた。

 

 「楪はシールドを出せ!」

 「皆下がって!!」

 

 相澤先生と皆の間に取り出したウォールシールドを叩きつけてシールドを展開させる。

 ガシャガシャと音を立ててシールドの展開が完了すると切島君や上鳴君が興奮した声をあげた。

 

 「うわなにこれかっけぇ!!」

 「てかあれなに?入試みたいなもう始まってるぞパターン?」

 

 そう言って動きだそうとする切島君を尻尾で制する。

 

 「違う……あれは、本物のヴィランだよ…!!」

 「は、はぁ!?雄英に攻めてくるヴィランとかいんの!?」

 

 今もなお黒いモヤからヴィランは出続けている。

 中央には全身に手の人形を着けたヴィランがこっちをジッと見ていた。

 

 「先生、侵入者用センサーは?」

 「勿論ありますが…」

 「……駄目です、学校にも繋がらない…!!」

 「何にせよセンサーも反応してねぇ、連絡も妨害されてるなら、向こうにそういう事が出来る個性ヤツがいるって事だな。バカだがアホじゃねぇ。これは何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ」

 

 轟君が冷静に分析したことを言うと緊迫した空気になった。

 すると微かにヴィランの会話が聞こえてきた。

 

 「情報では13号と後継者、オールマイトの筈なのですが」

 「どこに目ぇついてんだ黒霧、いねぇじゃんオールマイト。はぁ~……ガセネタかよ……」

 

 オールマイトが狙い?それより、何で今日の事が漏れて……とにかく、相澤先生に教えなきゃ

 

 「せんせ、今日の予定が漏れてます。それとあいつらオールマイトが狙いみたいです」

 「なに……?」

 

 先生だけに聞こえるように言うとじろっとボクを見た。

 

 「あの手がいっぱいついてるやつと、黒いもやもやのが主犯っぽいです」

 「…わかった、13号と楪は生徒達を避難させろ!急げ!」

 「せ、先生は!?一人で戦うつもりなんですか!?」

 

 ゴーグルを着けて捕縛布を構える相澤先生にいずにぃが叫ぶ。

 ヒーローオタクないずにぃは相澤先生の抹消と戦闘スタイルを知っているからこそ、心配をしてる。

 

 「正面からの戦闘なんて!」

 「一芸でヒーローは勤まらん。13号、楪、生徒を頼む」

 

 相澤先生は階段から飛び降りてヴィラン達に突っ込んでいく。

 個性を消されて困惑しているヴィランを捕縛布で捉えて次々と無力化させていく。

 

 「凄い…!多対一が先生の得意分野だったんだ」

 「……はやく、避難するよ!」

 「あ、ご、ごめん!」

 

 ……本当は得意分野なんかじゃない。本当に得意なのは奇襲からの短期決戦。あの数のヴィラン相手に短期決戦なんて…

 皆を安心させるために、先生は飛び込んでいったんだ。

 

 「……だい、じょうぶ、大丈夫……」

 

 今、ボク達がやることは、相澤先生に言われた通り皆を避難させること、それが終わったら救援要請……

 

 

 「行かせませんよ」

 

 出口に向かっていると目の前にあの黒い靄のヴィランが現れた。

 

 「皆!耳塞いで!!」

 

 スタングレネードをヴィランに向かって投げる。

 

 「おっと……流石プロヒーローの後継者は判断が早い…」」

 

 ヴィランに向かって投げた筈のスタングレネードは出口近くで破裂した。

 その瞬間に切島君とかっちゃんが飛び出した。

 

 「駄目!」

 「駄目だ!退きなさい二人とも!!」

 

 

 かっちゃんの爆破で土煙が上がってヴィランの姿が見えなくなる。これじゃ、次の攻撃を見ることもすることもできない……!!

 

 「危ない危ない……子供とはいえ、ヒーローの卵……私の役目は」

 

 ぶわりと靄が広がり、ボク達を包む

 

 「散らして、嬲り、殺す」

 

 

 

 

 

 




【メヴィのトリセツ】
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 「続き早くしろハゲ」
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