追記:ドラゴンエナジーに関して誤ってるところあったので、技の説明の箇所を丸ごと消しました。申し訳ありません……
追記2:一部戦闘シーンに矛盾があると指摘ありましたので直しました。
竜の塔の最初の試練は、レジドラゴとレジエレキとのバトル。最初に動いたのはレジエレキだった。
「レ、キッ!」
「っ! 周りが電気で囲まれた!?」
大広間を格子状の電気が覆う。レジエレキの専用技“サンダープリズン”は、ゲームならばターン毎にダメージを与える技である。だが今は、侵入者を逃がさない為に、文字通り檻として放たれた。
「ポケモンを出そう! レジエレキの方は僕のサイホーンとユエのゴルーグをメインに! レジドラゴは中村さんのミミッキュが決め手だ! 何とか引き付けて、混戦を避けよう!」
「分かった!」
「レジドラゴって、見た感じかなりパワーが強そうだな。なら力比べと行こうじゃねえか。ガルーラ、行くぞ!」
「レジエレキ……厄介そうね。行くわよ、エルレイド!」
「ポケモンを持たない私たちは、ハジメ君達のサポートをするよ! いざって時は結界を貼って皆を守るの!」
ポケモンを持つハジメ達はボールを投げ、自分達の相棒を呼ぶ。香織を始めとするポケモンを持っていない人間は、サポートに回ることになった。
レジドラゴを相手にするのは、恵理のミミッキュと幸利のガルーラと浩介のテッカニン、そして自身もポケモンの技を使えるティオだ。
レジドラゴはほんの少し宙に浮かぶと、龍の上顎に見える箇所を光らせてガルーラに迫る。
「レ、ジ、ゴ」
「まさか、“ドラゴンクロー”か!」
「ならば妾じゃな!」
ティオも“ドラゴンクロー”を展開し、レジドラゴとつばぜり合う。だが細身のティオと重量のあるレジドラゴでは力の差が大きく、徐々に押されていく。更にレジドラゴは、特性『りゅうのあぎと』によって、ドラゴンタイプの技の威力が大きくなっているのだ。
「ぐ、くっ! この異常な龍のエネルギー……! まさかこやつの身体は、ドラゴンエネルギーの塊だと言うのか!?」
「ガルーラ、レジドラゴの横腹に向かって“メガトンパンチ”!」
「ミミッキュ、アイツの背中に“シャドークロー”!」
「テッカニン、“こうそくいどう”で距離を詰めるんだ!」
それぞれのポケモン達が、一斉にレジドラゴに攻撃する。ガルーラはその拳を唸らせ、ミミッキュは“ゴーストダイブ”を応用して背後に回り、テッカニンは目にも止まらぬスピードで接近し爪で切りつける。
だが、レジドラゴもただ攻撃を受けるだけではない。始めに狙いを定めたのはガルーラだ。龍の下顎部分が光ると、そのオーラで握り拳を形成し、“アームハンマー”として殴り付ける。ノーマルタイプのガルーラに、格闘タイプの技は効果抜群だ。
「ガルゥゥ!?」
「やっべぇ!?」
更にレジドラゴは、そのまま体を回転させて“たつまき”を発生させる。最も近くに居たティオとミミッキュとテッカニンが、それによって吹き飛ばされた。ミミッキュは単なる風圧で吹き飛ばされるだけに過ぎなかったが、ティオにとってドラゴンタイプの技は少なくないダメージを与えた。
「ぐうううっ!」
「ティオ、大丈夫か!?」
「まだ大丈夫じゃ! お主のテッカニンは!」
「体が軽かったお陰で、風圧で飛ばされるだけで済んだ! 中村、ミミッキュの方はどうだ!」
「特性の『ばけのかわ』のお陰で無傷だよ! でも、そのせいで凄く怒ってる!」
「ミ゛ギュウウウウウウ!!」
ミミッキュは、化けの皮の首に当たる部分を折られると、その折った相手を何処までも追い続ける。恵理のミミッキュも同様で、レジドラゴに対して強い怒りを向けていた。
「レ、ジ、ド、ゴ!」
するとレジドラゴは高く浮かび上がると、姿勢を変える。それはまさに龍の頭とも言える姿で、その口が開かれると、エネルギーを溜め始める。
「あれは何かヤバい……! 絶対に俺たちを纏めてなぎ払うつもりだろ!」
「撃たせてはならぬ! あの光は、ドラゴンのエネルギーを収束させたものじゃ!」
「(あれ? 確かミミッキュの持つタイプって……なら、もしかして!)」
態勢を立て直す間にもエネルギーは急速に蓄積されていき、ついにレジドラゴの専用技“ドラゴンエナジー”が発射された。幸利は大急ぎでガルーラに“まもる”を指示しようとするが――
「ミミッキュ、前に出て!」
「ミキュッ!」
恵理の掛け声によって前へと飛び出たミミッキュ。ドラゴンエネルギーが命中すると思われたその瞬間、レジドラゴの技が消滅した。
「ド、ラ……!?」
「な、何じゃ!?」
「嘘だろ、あんなにヤバそうな技だったのに!」
「ユエさん達の講義が役に立ったよ。ボクのミミッキュ、持っているタイプはゴーストとフェアリー。フェアリータイプは、ドラゴンタイプの技を無効化するんだ!」
まさか技を無効化されるとは思わず、僅かに動揺するレジドラゴ。しかし、覚醒した恵理はそのチャンスを見逃さない。
「幸利くん! アイツの影に向かって、動きを止めるやつを!」
「影縫いだな! 任せとけ!」
幸利は、自身の技能を応用した影縫いを発動し、レジドラゴの動きを止める。
「ミミッキュ、そのまま“じゃれつく”攻撃!」
「ミッキュウウウウ!!」
ポコスカと言う効果音は可愛らしいが、その実態はフェアリーエネルギーを使い四方八方から殴ると言うえげつない技。ドラゴンエネルギーの塊であるレジドラゴからしたら、たまった物ではない。
「レ、ラ、ド……!」
だがレジドラゴも最後の力を振り絞り、再び“ドラゴンエナジー”を発射しようとする。
「最後の足掻きとやらか! アレを撃たせてはならぬ!」
「やるしかねぇぇ! ガルーラ、“メガトンパンチ”ぃ!」
「テッカニン、“メタルクロー”ぉ!」
「ミミッキュ、 “ウッドハンマー”ぁ!」
ティオは両手に“ドラゴンクロー”を展開し、各々のポケモン達も一斉に攻撃を開始した。もはや幸利達トレーナーの指示は叫び声に近い。
「「「「いっけえぇぇぇぇぇぇ!!」」」」
そしてその叫びは……彼らに味方した。
「レ、ジ、ド、ラ、ゴ…………」
レジドラゴの目にも見える点字部分が、数回点滅する。そして光らなくなると、レジドラゴもそれに合わせて動かなくなった。
レジドラゴとの戦いが始まると同時に、ハジメ達とレジエレキの戦いも始まった。
「電気タイプには地面タイプ! ゴルーグ、“じゅうまんばりき”!」
「ゴォォォォ!!」
腕に地面エネルギーを溜めたゴルーグが、レジエレキに向かって拳を振りかざす。
「エ、レ」
ところがレジエレキは、自身の体からバチバチと火花を散らすと、軽やかに宙を舞って“じゅうまんばりき”を回避した。
「と、飛んだ!?」
「“でんじふゆう”か!」
「レ、ジ、レ!」
そのままレジエレキは、持ち前の素早さでゴルーグに接近。四方八方からの攻撃を始めた。“アクロバット”だ。
「サイホーン、援護するんだ! “うちおとす”攻撃!」
「グオッ!」
しかし、レジエレキは電気で構成されているだけあって、かなり素早い。“アクロバット”を中断するとサイホーンの打ち出した岩を回避し始める。
それを見たシアが、あることを思い付いた。
「雫さん。アブソルと貴女のエルレイドで、あの岩を打ちましょう」
「い、岩を打つ?」
「あれだけ素早いなら、きっと岩をぶつけられたら大きく怯んで隙が生まれると思うんです。サイホーンだけで当たらないなら、私たちも加わって弾幕を張れば……!」
「そう言うことね。分かったわ」
2人は頷くと、ハジメにアイコンタクトを送る。彼はそれに気付くと小さく頷いた。
「サイホーン、“ロックブラスト”。撃ちまくれ!」
「アブソル、レジエレキの背後に向かって“でんこうせっか”! そして飛んできた岩を“はたきおとす”攻撃!」
「エルレイド、あの岩に向かって“サイコキネシス”!」
アブソルが背後にまわり、レジエレキが回避した“ロックブラスト”の岩を“はたきおとす”。さらにエルレイドのサイコパワーによって他の岩も浮遊し、弾丸のようにレジエレキを襲う。
「レキッ!?」
空中でそのような衝撃を受ければ、伝説のポケモンと言えども姿勢を崩してしまう。そこへゴルーグが、逃がさないと言わんばかりにその豪腕でレジエレキを掴んだ。
「捕まえた……!」
「ゴルゥゥゥゥ!!」
「エ、レ、キキキキキキ!?」
乱暴に地面へと叩きつけるゴルーグ。そのまま力尽きるまで繰り返そうとしていたが、レジエレキは“しんそく”を発動して脱出した。彼らから距離を取ると、レジエレキは腕をエルレイドとアブソルに向けた。“ロックオン”である。
「エ、レ、エ!!」
「アブソル、“みきり”!」
「エルレイド、“テレポート”!」
特性『トランジスタ』によって威力の上がった“でんじほう”は地面に着弾する。その場所に小さいながらもクレーターが出来たことが、その威力の強さを表していた。
回避したアブソルはレジエレキの横に、エルレイドは背後にまわっていた。
「“バークアウト”!」
「“サイコカッター”!」
「レ、ジィ……!」
再び大きく怯んだレジエレキだが、今度は“こうそくスピン”を発動。それもただ回転ではなく、その状態で自身を発電。それによって発生した電気エネルギーを広範囲にばらまき始めた!
「だったら私たちが!」
「前に出れば良い!」
アブソルとエルレイドを庇うように前に出たのは、ゴルーグとサイホーン。指示する技のタイプはただ一つ。
「“じゅうまんばりき”!」
「“ドリルライナー”!」
効果抜群の地面タイプ技が、同時に命中した。高速回転していたレジエレキの動きは徐々に遅くなり――
「エ、レ、キ……」
そのまま後ろへ、音を立てて倒れたのであった。
――雷龍の試練、突破
次回は小休止を挟んでから、第二の試練へ……。