ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

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職場の先輩達が次々と辞めていき忙しくなる中、『碧の仮面』の配信とガルパン最終章が、最近の私の支えになっています。


最終試練 烈空の試練(中編)

 メガレックウザの特性『デルタストリーム』によって、乱気流が吹き荒れる。彼の専用技である“ガリョウテンセイ”によって、ポケモントレーナーであるハジメ達はほぼ壊滅状態に陥ってしまう。香織や雫たちが倒れた仲間達を回復させている間、光輝と龍太郎が戦うことになった。

 

「龍太郎、あくまで時間稼ぎだ! 俺たちまで倒れたら香織達の負担が増えてしまう!」

 

「回避優先って事だな! 脚力には自信ある!」

 

「キュアァァァァン!!」

 

 レックウザが吠え、“かみなり”を2人に落とそうとしてくる。光輝たちは二手に分かれるように回避したことで直撃は免れるが、落雷の轟音と衝撃は心身を揺さぶってくる。

 

「(俺は慢心してたんだ。俺なら何でも出来るって。だからこの世界の人たちも救えるって、そう思い込んでいたんだ)」

 

 学業では好成績を残し続け、運動も苦戦したことがない。光輝は言わば「失敗したことがない人間」だった。だが、自分とは別の強みのあるハジメ達の姿を見て、そしてこのように強大な存在を相手にして、ようやく実感できたのだ。

 

「(俺は勇者でも何でもない、只の人間だ! 香織が南雲に惚れてる事に……嫉妬もした!)」

 

 怯ませて技を封じさせようと近付くが、メガレックウザは“ドラゴンテール”を振るってくる。回避しきれないと判断した龍太郎は、タンク役であった事を活かして受け止めようとするが、威力を押さえきれずに吹き飛ばされてしまう。

 

「ぐぁぁぁぁぁ!?」

 

「龍太郎! ぐうっ!」

 

 吹き飛んだ龍太郎を、光輝は身体を張って受け止める。お互いに地面をゴロゴロと転がった。

 

「すまねぇ、光輝……!」

 

「謝らなくて良い。とにかくレックウザの気を引こう。聖剣が通じれば良いけど……」

 

 聖剣を構えてから魔力を込める。これから放つのは自身の切り札。だが、メガレックウザに通じるかどうかと言う不安もあった。

 

「けど、やるしか無い!」

 

『む……!? そのオーラ……まさか!』

 

「うおおおお! 天っ、翔っ、せぇぇぇぇぇん!!」

 

 聖剣が輝きを放ち、光輝は一気に振り下ろす。光のオーラによって、まるで刀身が伸びたかのように見えるそれをメガレックウザに向けた。

 メガレックウザはというと、まさか人間がフェアリータイプの力を扱うとは思わなかった。その僅かな動揺によって反応が遅れてしまう。

 

『ぬおおおおおお!?』

 

「え!?」

 

「効い、た……!?」

 

 天翔閃がまさか効くとは思わず、放った本人もポカンとしてしまう。メガレックウザは姿勢を立て直すと、光輝にテレパシーを送る。

 

『人間よ、特別に教えよう。お前の持つその剣は、偽りの神によって造られし物。その剣に秘められし力、それはフェアリーの力である』

 

「聖剣がフェアリータイプの力を……?」

 

『真なる神が所持するプレート、その力が込められた物だ。もっとも、プレートその物が剣になっている訳では無いがな』

 

「(そうか! オルクス大迷宮でハガネールに聖剣が効かなかったのは、この剣の攻撃がフェアリーの技として放たれたからか! 教えてもらったタイプ相性だと、フェアリーに鋼タイプは効果が今一つだからな……)」

 

 ゆえに、とメガレックウザは声を続ける。

 

『我に傷を与えたことに敬意を表し、この技を見せよう』

 

 メガレックウザは天に向かって咆哮する。次の瞬間、空が光り始めた。

 

「これは……!?」

 

 光輝が龍太郎を庇った瞬間、辺りに“りゅうせいぐん”が降り注いだ。

 

 

 

 

 

「う、ぐ……」

 

「光輝くん、良かった!」

 

「香織……? 俺は……うぐっ!」

 

「無理しないで。光輝くんのお陰でみんなを回復させることが出来たから」

 

 目を覚ました時、光輝は香織から回復魔法を受けていた。隣では龍太郎が眠っており、彼も手当てを受けたらしい。

 

「天之河くん」

 

「南雲……」

 

「ありがとう」

 

「……あぁ」

 

 ハジメが礼を言い、光輝も短く返す。ハジメも彼の戦いを見て、光輝に信頼が芽生え始めていた。

 ハジメはこちらが攻めてくるのを佇んで待つメガレックウザを見ながら、攻略方法を考える

 

「恐らく、今がチャンスだ。“ガリョウテンセイ”と“りゅうせいぐん”……あれ程の強力な技を出し続ければ、力が弱まっている筈」

 

「そうは言うけれど、実際にはどうするの? 私が見た感じではまだまだ余裕そうだけれども」

 

 雫の言葉にハジメは考える。ポケモン達が回復したことで、再び戦うことが可能だ。だがメガレックウザは隙だらけの自分達を攻撃してこない。本当に戦えなくなるまで、試練を続行させるつもりなのだろう。

 すると、光輝が言葉を発した。

 

「南雲……。君なら、もう気が付いているんじゃないのか?」

 

「え?」

 

「あのレックウザというポケモン、姿を現した時は別の姿だった。意味ありげに設置されている、あのクリスタルの光を浴びてから、姿が変わった。その時に君はこう言っていたじゃないか。『メガシンカ』って」

 

「それは……!」

 

「何故その言葉を知っているのかは、聞かないでおく。だが、レックウザというポケモンが強大な姿になれるのなら、南雲達のポケモンも出来るんじゃないのか? メガシンカって奴を……」

 

 光輝の言葉に、全員がハジメに視線を送る。ハジメは俯いていたが、決心したように顔を上げると答えを返す。

 

「確かに、メガシンカと言う現象は他のポケモン達にも可能だ」

 

「じゃあ……!」

 

「ただし! まずあのクリスタルが他のポケモンにもメガシンカを促すものなのか、ハッキリと分からない。次に、メガシンカ出来るポケモンは限られていること。最後、これが一番の懸念事項だ」

 

「……その懸念って?」

 

 ユエの質問に、ハジメははっきりと答えた。

 

「メガシンカは、みんなに見せたサイドンへの進化とは違う。一時的に姿を変えて、強大な力を持たせるんだ。当然だけど、その間にポケモンに掛かる負担は大きい」

 

 話を聞いていた全員が息を呑む。だが最初に声を上げたのは、シアのアブソルだった。

 

「アブッ! アブアブ!」

 

「アブソル……? もしかして……メガシンカするんですか?」

 

 シアの言葉にアブソルは頷く。その真っ直ぐな目を見た瞬間、シアの未来視が発動した。

 それは、メガシンカするアブソルの姿。一瞬だけ苦しそうな顔をするも立ち続ける姿だった。

 

「……ハジメさん。メガシンカ出来るポケモンは、アブソルの他に居るんですか?」

 

「僕たちのメンバーだと、エルレイドとガルーラだね」

 

「そうかい。なら、俺たちもやるとするか! なぁ、ガルーラ!」

 

「ガァルル!」

 

「エルレイド。この試練を突破するためにも、力を貸してくれる?」

 

「エルッ!」

 

「みんな……!」

 

 驚いた様子を見せるハジメに、香織がポンと肩に手を置く。

 

「信じてみよう? それぞれのパートナーと、あれだけ信頼し合ってるんだもん。……ね?」

 

「……そうだね」

 

 そしてハジメは、メガレックウザの後ろにあるクリスタルを睨み付けた。

 

「あれが、攻略の鍵になる筈だ」

 

 

 

 

 

『(やはり諦めぬか。それで良い。それでこそ、我が守るプレートを託すに相応しい!)』

 

 再び立ち上がったハジメ達を見て、メガレックウザは内心で笑みを浮かべる。

 

『(それ故に、我もまだ倒れるわけにはいかぬ!)』

 

 メガレックウザが咆哮を上げると共に、ハジメ達が指示を出す。

 

「サイドン、バサギリ、“ストーンエッジ”!」

 

「ゴルーグ、“シャドーボール”!」」

 

「ミミッキュ、“シャドークロー”!」

 

「テッカニン、ミミッキュに続くんだ。“メタルクロー”!」

 

 守りに徹していたゴルーグも攻撃に加わり、次々とメガレックウザに攻撃が襲い掛かる。

 

「キュルアァァァ!!」

 

 メガレックウザは“りゅうのはどう”で、サイドン達とゴルーグの攻撃を打ち消した。だがミミッキュとテッカニンの接近を許してしまう。

 

『(ぬう……。やはり、“ガリョウテンセイ”と“りゅうせいぐん”の連発は、力を大きく消耗するか……!)』

 

 2匹の爪による攻撃がメガレックウザの体に傷をつける。しかし彼にとってまだ大した傷ではない。

 

「今だ、みんな!」

 

『む!?』

 

 ハジメの声に周囲を見ると、3人の人間が走り出していた。幸利とシアと雫だ。

 

『ほう、気が付いたか!』

 

 普通なら近付けさせまいと攻撃するところだが、メガレックウザは敢えて見逃す。『ソレ』に気が付くことこそが、試練を乗り越える鍵となるのだから。

 無事に辿り着けた3人は巨大なクリスタルに触れる。

 

「ガルーラ!」

 

「アブソル!」

 

「エルレイド!」

 

 

「「「メガシンカ!」」」

 

 

 

 その瞬間、3匹は光に包まれた。




次回、いよいよメガシンカです!
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