結晶から放たれた光が、ガルーラ、アブソル、エルレイドを包み込む。そして二重螺旋のような模様が浮かび上がると、各ポケモンを包み込んでいた光がガラスのように割れた。
そこからあらわれたのは、いつもと違う姿となったパートナー達であった。
「ガルーラ、お前……子供が大きくなったのか!?」
「ガルル!」
まさかの成長した姿に驚きを隠せない幸利をよそに、ドヤァと言わんばかりに胸を張る子ガルーラ。
「アブソル……! 凄く格好良くなりましたね!」
「アブ……」
凛々しくも美しい姿を褒めるシアに、照れたような笑みを浮かべるアブソル。そこにメガシンカ故の苦しそうな顔は見られない。
「より格好良くなったのね……。素敵よ、エルレイド」
「エルッ」
腕の刃が鋭くなり、マントのような物を翻しまさに剣士と言わんばかりの姿になったエルレイド。その姿に雫は感動で涙を浮かべる。
メガシンカへの感動を程々に抑えた彼らは、メガレックウザへと向き直る。
「よっしゃあ! 第3ラウンドと行こうじゃねえか! ガルーラ、“メガトンパンチ”!」
「「ガルァァ!」」
「ゴルーグ、2匹をサポートして。“てだすけ”!」
“てだすけ”の効果によって、2匹の攻撃の威力が上がる。更にメガガルーラの特性『おやこあい』によって攻撃回数も増えた。実質2回分の“メガトンパンチ”がメガレックウザに向かって放たれる。
「グウウウウッ!? キュアァァァァ!!」
反撃として放たれるは“エアスラッシュ”。空気の刃が親子を襲う……事は無かった。
「アブソル、“つばめがえし”です!」
「ブゥアッ!」
素早い動きで“エアスラッシュ”を打ち消していくメガアブソル。そしてメガレックウザと目が合うと、そのまま強いエスパーエネルギーを送った。
『むっ、これは……!』
「反撃させないわ! エルレイド、“かげぶんしん”しながら“つるぎのまい”!」
「エェェル!」
メガエルレイドの分身が360度あらゆる方向に様々な姿勢で、メガレックウザの周りに現れる。小賢しいと言わんばかりにメガレックウザは“たつまき”を発動するが、分身を掻き消すだけで本体には当たらなかった。既にメガエルレイドは、素早さと攻撃力を上げた状態で雫の下に戻っていたのだ。
『“りゅうのはど……ぬおお!?』
「よしっ! “みらいよち”命中です!」
メガアブソルが攻撃を打ち消した際に放った“みらいよち”が、メガレックウザの姿勢を崩した。
『見事! 実に見事!』
念話では褒め称えながらも、口元では“はかいこうせん”のエネルギーを溜めている。復活したハジメはすぐにサイドンとバサギリに指示を出す。
「“ストーンエッジ”を同時に放って!」
岩石の刃が壁となり、メガシンカしたポケモンたちを光線から守る。“りゅうせいぐん”によって力を消耗した状態で放った為か、岩石の壁によって完全に阻まれた。
「今よ! “インファイト”!」
「エルラララララララァ!!」
『ぐっ、ぬぅんっ!』
メガエルレイドのラッシュが決まる。しかし、メガレックウザは尻尾で彼を振り払う。ゴルーグが受け止めることで事なきを得た。
「まだ動けるってのかよ……。ならコイツはどうだ! “れいとうパンチ”!」
メガガルーラによって実質2回の拳が放たれた。ドラゴン・ひこうタイプであるメガレックウザにとって、こおりタイプの技は所謂4倍弱点であった。
『……見事』
――烈空の試練、突破
試練が終わり、元の姿へと戻ったレックウザ。お互いに大ダメージを負う程の激闘だったというのに、念話での彼は笑っていた。
『ふっはっはっは! 見事であったぞ人間よ!』
「つ、疲れた……」
全員、肩が上下するほど息が上がっており、その疲労感は尋常ではない。特にメガシンカしたアブソル、ガルーラ、エルレイドは香織から治癒魔法を受けつつ木の実をかじって、ようやく回復できた。
『試練を突破した証だ。持っていくがいい』
ハジメは りゅうのプレート を手に入れた!
「ありかとう、レックウザ……!?」
ハジメがお礼を言おうとした瞬間、目の前が光に包まれた。
「こ、ここは……!?」
そこは真っ暗な空間。地面はなくハジメは浮かんでいる筈なのに、浮遊感を感じさせない不思議な場所であった。
「プレートが、また何かを見せようとしている……?」
その時だった。赤と黒が混ざるような、不気味な波がハジメを襲った。
「うわっ!?」
『コノ怒リヲドウシテクレヨウカ……!』
『許サヌ、許サヌ……!』
『滅ビヨ、滅ビヨ……!』
「あ、あれは……!」
怒りと憎しみ、そして無念の込もった声の主は、3体のポケモンであった。
時間を司るポケモン、ディアルガ。
空間を司るポケモン、パルキア。
反物質を司るポケモン、ギラティナ。
アルセウスから生み出された3体のポケモンが、身体中を『あかいくさり』によって縛られていた。その怒りのエネルギーは凄まじく、周りのオーラが歪んで見える程である。皮肉なことに、鎖によって動けない為にそれぞれの領域に影響が出ず、未だにトータスは崩壊していないのだ。
「(けど、あの姿は……。不思議のダンジョンに出てきた、闇のディアルガじゃないか!)」
蓄積された神の怒りは、神自身の姿を変貌させてしまっていた。ディアルガの体色は橙色のラインと黒寄りの青へと変わっており、前世の知識で言う『闇のディアルガ』と呼ばれる姿になっていた。残念ながらゲームでは『闇のパルキア』という姿は無かったのたが、ハジメの目の前に居るパルキアも、何処か禍々しい色へと変わってしまっていた。一方のギラティナは、体色の変化は見られない。だがその赤い眼差しに込められているのは、強い怒りだ。
「これは……。早くアルセウスを復活させないと、本当にとんでもないことになるぞ……!」
誰も知らないトータスの危機に、ハジメは顔を青くした。
碧の仮面については、未プレイの方も居ると思うのでまだ感想は言いません。ただ、後編も楽しみだなと思っています。