ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

108 / 146
お待たせしました。今回よりハルツィナ大迷宮です!


ハルツィナ大迷宮

 フェアベルゲンを進むハジメ達。初めて来た時は何処かピリピリとした雰囲気であったが、今はそのような事を感じさせない。亜人族の子供たちがアゴジムシ同士を相撲させていたり、モグリューと共に畑を耕す男性も居れば、ハハコモリを連れた女性の下に服の修繕を頼む主婦がいたりと、非常に平和であった。

 

「凄いです! こんなに笑顔が溢れてるフェアベルゲンは初めて見ました!」

 

「心の余裕が出来たからかもしれない。奴隷狩りも無くなって、ポケモン達の力を借りて生活が豊かになったからかも」

 

 シアは目をキラキラと輝かせ、ユエはその変わり様に驚きながらも考察を述べる。今回が初めての来訪となる光輝たちも、珍しそうに辺りをキョロキョロと見回していた。

 

「いや、これは凄いな……!」

 

「これぞまさにファンタジー!って感じだね、エリリン!」

 

「ほえー……」

 

 人間たちから褒められるのが嬉しいのか、カムたちも思わず笑みが溢れてしまう。

 

「そう言えばお父様。そのぉ……熊人族はどうなったのですか?」

 

 ハウリア族の処遇を巡って強硬手段に出た熊人族は、ポケモン達を連れたカム達に敗北。これによって、労役の罰を受けていたそうだが姿が見えなかった。

 

「反省の兆しがある者は労役から解放されているが、頑なに拒む者もいる。そういう者たちはまだ共有の畑で労働しているよ」

 

「そう、なんですね……」

 

 考え方が変わるのは難しい。シアだけでなくハジメ達も考えさせる出来事であった。

 

 

 

 

 

 住居エリアを抜け、かつては濃霧に覆われていた道をハジメ達は進む。カム達の言う通り以前来たような霧はなく、まるで挑戦者を歓迎するかのように晴れていた。

 

「ハジメ殿、着きましたよ」

 

「……前来た時と、見た目は変わっていないか」

 

 目の前にある巨木は、本当に迷宮なのかと疑ってしまう程に朽ちていた。だが、メルジーネ大迷宮のように何かしらの術でそう見せているだけなのかもしれない。

 

「ハジメさん、プレートを出してみましょう? 何か反応があるかも」

 

「やってみよう」

 

 シアに促されて、ポーチから今まで集めたプレートを取り出す。するとプレートはハジメの手を離れ、フヨフヨと宙に浮かびながら淡い光を発する。

 

『貴方達を待っていました』

 

「うわっ!」

 

 レックウザもテレパシーで話していたのだが、まだ慣れないためか光輝や龍太郎、恵理や雫に鈴は驚いてしまった。ハジメは苦笑いしながらも、その声の主に答える。

 

「イベルタルとの戦い以来だね、ゼルネアス」

 

『そうですねハジメ。どうやら新たな仲間も得たようで、私は嬉しいです』

 

「僕たちが挑む迷宮は、ここを含めてあと3つ。今の僕たちでこの迷宮には挑めるかな?」

 

『ふむ……』

 

 しばしの沈黙。まさか此処まで来てまた引き返さないといけないのかと思うと、緊張してしまう。

 

『良いでしょう。かの天空の龍にも挑んだ貴方達ならば、この迷宮を突破出来るはず』

 

「っ!」

 

 その瞬間、薄緑色の光が大樹を覆ったかと思うと、朽ちていたはずの木が瑞々しさを取り戻していき、枝が伸びて葉をつけていく。そして木の洞が扉のように左右に分かれると動きが止まった。

 

『さあ、入りなさい。この迷宮を守る騎士たちに会うのです』

 

 全員の顔が引き締まる。そしてゆっくりと入り口に向けて足を進めていった。

 

「シア……ハジメ殿……皆さん、お気をつけて」

 

 カムは心配そうに、彼らの後ろ姿を見送った。

 

 

 

 

 

「結構暗いな」

 

「みんな、足下に気を付けてね」

 

「ハジメ君も気をつけてね?」

 

「木の良い香り〜」

 

「ちょっと鈴、もう少し気を引き締めて……」

 

「なんつーか、どんどん天井が低くなってないか?」

 

「それには同意だぜ清水。狭くてしょうがねえ」

 

「ていうか、いつまでこの道が続くんでしょうか?」

 

「シア、大丈夫。あの先に光が見える」

 

「よっしゃ! 早く出よう!」

 

「待ちなさい遠藤くん! 何が起こるか分からないわよ!」

 

 明かりも何もなく、お互いの姿が見えない程の暗い通路を進む。前方に光が見えてきたことで、早く暗闇から出たいという気持ちが行動に現れてしまう。

 暗闇を走り抜け、目の前に光が満ちる。一瞬だけ眩しかったが、すぐに草木の景色へと変化する。

 

「ふぅー。みんな、大丈――」

 

「うわぁぁぁぁぁ!?」

 

 ハジメが仲間たちの安全を確認しようとしたが、それは光輝の絶叫でかき消された。

 

「え……?」

 

 目の前には、驚いたような顔をしているリオルが居た。

 

「は、ハジメ……なのか?」

 

「え、リオルが喋って……ってその声! 光輝なの!?」

 

「そうだよ!」

 

「おいおい騒がしい……って何だこりゃあぁぁ!?」

 

 呆れたような声をしたワンリキーが、自分の手を見て驚いている。リオル(光輝)は恐る恐る尋ねる。

 

「もしかして……龍太郎?」

 

「おぉ、光輝! てかお前も姿が変わってるのかよ!?」

 

「ま、待って! 取り敢えず落ち着こう!」

 

 落ち着くように促しているものの、ハジメも内心取り乱していた。

 

 

「(まさか僕たち……ポケモンになってる!?)」

 

 

 




大迷宮だしポケダン要素も入れようと思い、ハルツィナ編はハジメ達がポケモンになりました。誰がどのポケモンになったかは、次回冒頭で明かそうと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。