ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

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職場で感染症が流行り人手不足に拍車が掛かり、10時間越え勤務を5日間という中々の地獄を味わいました。




 シュネー大迷宮へと足を踏み入れたハジメ達。その内装はまさに『氷の大迷宮』と呼ぶに相応しく、壁から天井に至るまで全て氷で出来ていた。その透明度は、まるで鏡のように自分の姿を見ることが出来るほどである。

 

「氷の大迷宮というより、鏡の大迷宮だな」

 

「カー○ィのゲームかよ」

 

 幸利と浩介が冗談を言うと、何かの足音が聞こえた。光輝はそれに気付いて2人に、会話を止めるようジェスチャーする。全員が警戒していると足音が徐々に大きくなり、その姿を現した。

 

「ガァブォ……!」

 

「あのシルエット……ガブリアス?」

 

 マッハポケモン、ガブリアス。姿はそれなのだがまるで影のように全身が黒く、目が赤く光っていた。全身からモヤのようなものが揺らいでおり、普通のポケモンでは無いことが分かる。

 

「ガブルァァァ!!」

 

「っ! ミミッキュ!」

 

 ガブリアス(?)が“ドラゴンクロー”を放ってくるが、瞬時に恵里がフェアリータイプのミミッキュを出すことで無効化に成功する。それを皮切りに、全員がポケモンを出そうとした。

 

「行け、サイドン!」

 

「グオォォン!……グル?」

 

 雄叫びを上げてボールから出てきたサイドンだったが、ハジメの方を見て戸惑いの様子を見せる。やがて困惑から不信の目付きへと変わると、ハジメに向かって吠え始めた。

 

「グァァァァン!!」

 

「ちょ、どうしたのさサイドン! ってうわっ!?」

 

「バルゥ……!」

 

「ウゥゥゥゥ……!」

 

 サイドンの咆哮を切っ掛けにバサギリとイワンコまで飛び出して、ハジメに向かって威嚇の声を上げる。

 

「ちょ、ハジメどうした!?」

 

「だぁぁクソ! ガブリアスもどきが来るぞ!」

 

「私達で迎え撃つしかありません!」

 

「ゴルーグ、抑え込んで!」

 

 ユエのゴルーグがガブリアス(?)を剛腕で抑える。そこへ香織がピンプクを出した。

 

「ピンプク、“チャームボイス”!」

 

「プウウウウウウ!!」

 

 そこへパチリスをくり出した鈴が、恵理に声を掛ける。

 

「エリリン。私のパチリス、“じゃれつく”攻撃が使えるみたい! ミミッキュと一緒にやろう!」

 

「…………」

 

「エリリン、聞いてる!?」

 

 だが恵里は、ポケモン達から威嚇されているハジメの方を睨んでいた。

 

「……ごめん、鈴、ダーリン。僕……アイツが気に食わない」

 

 一言だけ謝ると――魔力で“シャドーボール”のような物を作り出し、ハジメに攻撃した。

 

 

 

 

 

 突然の凶行。鈴が、幸利がいち早くその事に気付き、続けて浩介と香織が気付く。

 

「っ!」

 

 ハジメは魔力の塊が着弾する寸前にバックステップで回避し、直撃を免れる。

 

「ちょ、恵里、何してんだ!」

 

「……何のつもりかな、中村さん」

 

 しかし、ハジメは攻撃されたにも関わらず何処か冷静で、恵里のことを値踏みするかのような目で見ていた。

 

「(……何? あの目……ハジメ君じゃない……!?)」

 

 その事に香織が気付き始めた。一方恵里は、ミミッキュとカゲボウズを近くに寄せて警戒しながら、説明し始めた。

 

「僕の天職は降霊術師。だから魂とかそう言うのを見ることが出来るし、ミミッキュ達ゴーストタイプのポケモンと触れ合ったお陰で能力が強くなった」

 

 どういう訳かガブリアス(?)は動きが止まり、その事に光輝達も違和感を強くした。

 

「あのガブリアスもどき、()()の魂と色や波長が全く同じなんだよ! お前は誰だ! 南雲君の体を乗っ取ったお前は、何者なんだ!!」

 

 氷の大部屋に響く恵里の声。静けさが訪れると、やがてハジメ(?)は俯き、体が小さく震える。

 

 

 

「くくっ……! あっはっはっはっはっ!!

 

 

 

 顔を上げた彼の目は大きく見開き、黒い瞳から赤色へと変貌する。

 

「マジかよおい! こんなに早く()の事を見抜ける奴が居たなんてなぁ!」

 

 彼の身体から魔力が溢れ、渦を巻くように肉体を包み込む。それによって生じる強風に、香織達は目を瞑ってしまった。

 風が収まり目を開けると、そこには……変貌した青年が立っていた。黒髪は銀髪に、目は赤く、黒いマントを羽織っている。

 その変化に大きく戸惑い、声を震わせて香織は問い掛けた。

 

「貴方は一体誰……?」

 

「俺か? そうだなぁ……」

 

 少し考えるような仕草をすると、彼は不敵な笑みを浮かべた。

 

ゼンセ、とでも呼んでくれや」

 

 

 

 

 

 暗闇の中、ハジメは檻に閉じ込められていた。目の前には、炎がそのまま人の形を取ったかのような存在が立っている。

 

「しっかし何だこりゃ? 『南雲ハジメの可能性の姿』を取ってみたが、銀髪に赤目に黒コートとか……痛すぎだろ。眼帯と義手も加わったら尚更だな」

 

「此処から出せ!」

 

「我慢しろよ。俺のやることが終わってからだ」

 

 目の前の炎の男はハジメよりも背が高く、男は目線を合わせるように屈んだ。

 

「君は……もしかして、『本来の南雲ハジメ』なのか?」

 

「んー? 何でそう思うんだ?」

 

「両親の影響で、異世界転生やら憑依転生やらの作品にそこそこ触れてきててね。憑依転生系に出て来る問題の1つに、必ずあるんだよ。元々あったそのキャラクターの魂はどうなるのかってね」

 

「ふーん?」

 

「だけど、どうやって身体の主導権を奪える程の力を……!」

 

「あー、違う違う。お前の答えは大ハズレだ」

 

 呆れたように首を横に振る男。

 

「え?」

 

「話すと長くなるから、先に結論だけ話そう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は、()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、ハジメとゼンセの関係を明らかにします。
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