オンバーンを倒して奥へと進むハジメとサイホーン。次のエリアでも、いわば階層主とも言えるポケモンと戦っていた。
「シャアァァァ!」
「僕は回避するから、サイホーンは“じならし”だ!」
「グオオオ!」
相手をするのは、どくトカゲポケモンのエンニュート。ハジメ達を見ると、縄張りの侵入者と認知して襲ってきたのだ。ハジメは回避行動を取りつつ、サイホーンに指示を出す。すると先程までハジメが居たところに、尻尾による“ほのおのムチ”が放たれた。
「グルァァ!」
そこへ、前足を強く踏み鳴らした事で地面が揺れ、衝撃波が生じる。毒・炎タイプであるエンニュートにとって、地面タイプの技である“じならし”は効果抜群だ。
「キ、キィィィ!?」
「サイホーン、気を付けて! やられるフリだ!」
エンニュートがふらつきながらも口に紫色のガスを溜め込んでいるのを、ハジメは見逃さなかった。
すぐに体勢を立て直すと、“どくガス”攻撃をしてきた。今度はハジメが援護する。出口までの距離が分からない上に、ポーチの木の実の数が限られているため、ここでサイホーンが毒状態になるのは避けたかった。
「錬成!」
攻撃手段としての錬成では、穴を開けたり棘を生やす事がメインだった。しかしエンニュートと出会う前までは、その進化前のヤトウモリの群れと戦っている。その中で彼は、防御用の錬成も身につけていた。
それが、足元の地面に魔力を流し込んで即席の壁を作ることだ。ガス攻撃であるため貫通されることなく、霧散していく。
「壁ごと突っ切るよ! “ドリルライナー”!!」
「ゴオオオオオ!!」
「ギイイイイイッ!?」
その名の通りドリルのように回転しながらエンニュートを突き飛ばす。壁に大きく叩き付けられた彼女は、グルグルと目を回していた。アニメで言うなら戦闘不能だろう。
その次のエリアは、当たり一面が砂だった。
「まって、もしかして此処って迷宮として作られたの!?」
ハジメ、ここに来てようやく奈落も迷宮の一部なのだと悟る。とても洞窟とは思えない光景だからこそ気付けたと言えるだろう。
砂漠を見てすぐに、ありじごくポケモンのナックラーが居ないか警戒したが、幸いな事に蟻地獄は見当たらなかった。
「でもナックラーやフライゴンより厄介かも……」
その代わり、砂漠を悠々と泳ぐ鮫のようなヒレが見えた。ハジメの知識の中で砂漠を泳ぐ鮫のようなポケモンと言えば、1匹しか居なかった。
「ガァァァ!」
「やっぱりぃ! フカマルだぁ!?」
りくザメポケモンのフカマルが砂から飛び出して、ハジメの腕に噛みついてきた。魔物攻撃耐性という技能を持っているため大きなダメージは無かったが、それでも鋭い歯が刺さって痛い。
「痛い痛い痛い! 離れてってばぁ!」
腕をブンブンと振って、何とか離すことに成功する。だがハジメ達の周りを、他のフカマル達が取り囲むように砂中を泳いでいた。
「サイホーン、ダッシュ! 数の暴力はキツい!」
「ゴアァ!」
すぐにサイホーンに乗り、ダッシュすることでその場を離脱した。
ところが、そう都合よくいかないのが大迷宮である。
「ガァァァブ!」
「ガ、ガブリアス……!」
フカマルがガバイトへと進化し、そこからさらに進化したポケモン。それが、マッハポケモンのガブリアスである。前世の記憶では、シンオウ地方のチャンピオンであるシロナが使ってくるイメージが強い。
「ガァァァ!」
「ぐっ、は……!?」
マッハの名の通り凄まじいスピードでハジメに迫り、体当たりを食らわせた。魔物攻撃耐性があるとは言え、速度の乗ったその威力に体がミシリと嫌な音を立て、大きく吹き飛ばされる。
「ガッ!? オオオオオ!!」
相棒が吹き飛ばされたことに驚きつつも、“ロケットずつき”で反撃するサイホーン。背後からの攻撃で思わずよろめくガブリアスだったが、すぐに立て直す。
「ガブウウウ!」
「ゴアっ!?」
そして放つ“ドラゴンクロー”に、サイホーンは予想以上のダメージを受けた。
「ぐ、くうっ、錬成っ!」
痛みを堪えて立ち上がったハジメが、“穴を掘る(人間ver)”で足止めしようとするも……。
「ガァブ!」
「げっ! “すなかけ”……って、
砂を掛けられて軽くあしらわれた。
そしてハジメが下した決断。それは……
「サイホーン、戦略的撤退!」
「グオオッ!」
流石のサイホーンも勝てないと悟ったのか、ハジメの案に賛成した。
大急ぎでガブリアスから離れようとするハジメ達。ところが、奴は最後にとんでもない攻撃をする。
「ガァァァァ……!」
「え? 何で口にエネルギー溜めてるの? 明らかに“りゅうのいぶき”じゃないよね!?」
「ガァッ!!」
「ちょ、ま、それ“はかいこうせん”……ギャアァァァァァ!?」
「グオオオオオ!?」
直撃はしなかったものの、ハジメ達はその衝撃で大きく吹き飛んだ。
幸運だったのは、その吹き飛ばされた先が次のエリアに続く道だったことだろう。
勝ち進むばかりではマンネリ化しそうなので、今回は敗北シーンも混ぜてみました。ラストは少しギャグっぽかったかな……? ギャグのノリが苦手な人は申し訳ありません。
次回は奈落探索の後編。毒のエリアと森のエリアになります。