最近プライベートでは、YOASOBIの「Biri-Biri」にハマって日本語版と英語版を往復してます。
「ハジメ君!」
ゼンセの姿が消え、それと引き換えに現れた元のハジメ。香織が慌てて駆け寄り優しく抱き起こすと、彼はゆっくりと目を開けた。
「かお……り……」
「ハジメ君、私の事分かる!? 何処か痛い所は!?」
「大丈夫、しっかり香織の事は見えてるよ。痛い所も無い」
「良かった……!」
安心したように涙を浮かべながら、抱きしめる香織。そんな彼女をハジメは抱き返す。他の仲間達も、安堵した笑みを浮かべて、ハジメの元へ向かった。
「よっす、ハジメ。ようやくお目覚めかよ」
「眠り姫ならぬ、眠りの王子様だな」
「幸利……。浩介まで」
「まさかお前が、憑依転生されてる側だとは思わなかったぜ」
からかうような口調で語る幸利だったが、ハジメは申し訳無さそうに顔を俯かせる。
「……みんな、ごめん」
「え? どうしたんですか、ハジメさん」
「偉そうにポケモンの知識を語っておいて、結局それは他人の……ゼンセ兄さんの物だった。僕がゼロから作り出したものじゃない」
他人の物を盗作したという罪悪感がハジメの中にあった。彼とて人間、相手の知らないことを知っている事に対しての優越感というのも、心の片隅にあったのである。
しかし、眉を八の字にしているハジメを、香織は両手で優しく彼の頬を挟んで上を向かせる。
「ポケットモンスターと言うジャンルは、ゼンセさんの物でも無いよ。確かに、遠い世界の何処かに、ポケットモンスターを作った人が居るかもしれない。だけどゼンセさんとハジメ君の、『ポケモンを広めたい』って気持ちは、開発者さんやその仲間達と同じなんじゃないかな」
ハッとしたように目を見開くハジメ。香織と同意見なのか、幸利達も笑っていた。
「要はさ、開発者だとかそういうのじゃなくて、自分は布教者だって考え直せば良いんだよ」
「実際にハジメは、兎人族やアンカジ公国の人たちにポケモンの知識を広めた。それは誇っても良いことだと思う」
「そして、俺達にも相棒としての接し方を教えてくれたんだ。胸を張っても良いんだよ、ハジメ」
「幸利、ユエ、光輝……!」
ハジメの目から大粒の涙が溢れる。すると彼のボールからサイドン、バサギリ、イワンコが出てきて寄り添った。
「ありがとう、みんな……!」
――良かったな、ハジメ。
ふと、自分を守り続けてくれた
ハジメも何とか立ち上がり、ようやく迷宮の奥へと足を進めた。しかし途中から目に見えるほどの冷気が立ち込めてきており、全員に緊張が走った。
「うぅっ、寒い……」
雫が身体を震わせると、服のような物を掛けられる。フード付きの黒いローブの持ち主を見ると、そこには浩介の姿があった。
「ほら、これ」
「遠藤くん……?」
「そうだよ。あ、もしかして俺のこと気付いてなかったり?」
「いやそうじゃなくて。あなたが寒くなるじゃない」
「八重樫さんの方が肌の露出多いじゃないか。たぶんこの先バトルになるだろうから、動けなくなると困るだろ? 後で返してくれれば良いから」
「……ありがとう」
影が薄い筈の浩介だが、雫にとって何故かこの時だけは存在感があった。その様子を面白そうに見ていたのは、恵里と鈴だった。2人はニヤニヤしながら小声で話していた。
「ほほーぅ?」
「面白いカップル誕生かもですなぁ、エリリン」
「今回ばかりは鈴と同意だよ」
そして冷気が一段と濃くなった途端、闘技場を思わせる程の大広間へとさしかかった。その中央には3体のポケモンが待ち構えている。
「キュレム……! それにフリーザーにレジアイスまで!」
『よく来たな、人間ども』
頭の中に響く声。目の前の虚無の龍が、一歩踏み出した。
『本来なら1体ずつ戦う筈だったが、お前の中に居る奴のお陰で予定変更だ。3体で相手してやるからお前ら全員で……掛かってこい』
キュレムの言い終わりと同時に、フリーザーとレジアイスも構えた。
――あれだけやっても離れられなかったか。
――かなり強くハジメの肉体と繋がっちまってるらしい。
――しょうがねぇ。もう暫く見守らせてもらうか。
と言うことで、非常に言いづらかったのですが、ゼンセは死んでません。あまり表に出ることは無いだけです。
何せ、本来ならハジメが死んで憑依する形だったのが、イレギュラーとなった訳です。ましてや、赤ん坊の頃から憑依してたとなれば、肉体との繋がりも大きくなってしまう訳でして。
しかし、何処で出すかはある程度決めてはいます。