ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

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お待たせしました。キュレム戦の後編です。


氷の激戦(後編)

 キュレム達との激闘はまだまだ続く。

 

「サイドン、キュレムに“ドリルライナー”!」

 

「ケルディオ、サイドンに合わせて“にとげり”!」

 

 ハジメと光輝が技の指示を出した後、互いに顔を見合わせて頷く。キュレムが尻尾にエネルギーを溜めて“ドラゴンテール”を放とうとするが、そこへ小さな影が高速で接近していた。

 

「「“でんこうせっか”!!」」

 

『グ、オオオオ……!』

 

 イワンコとリオルが、キュレムの下顎に攻撃を食らわせて隙を作る。瞬時に離れると、今度はサイドンとケルディオの攻撃が迫る。しかし立ち塞がるようにフリーザーが割り込み、“リフレクター”を展開した。バリアのように張られた事で、2匹の攻撃は威力が落ちてしまう。

 

「くそっ、もう少しなのに!」

 

「バリアなら任せろ!」

 

「龍太郎!?」

 

 龍太郎がキュレムに向かって指をさすと、ワンリキーが走る。手に力を込めて勢いよく振り下ろす!

 

「“かわらわり”だぁ!」

 

「リキワァァァ!」

 

「キョオオオオオオン!!」

 

 パリンと硝子の割れるような音を響かせるが、フリーザーは翼を羽ばたかせて、“かぜおこし”でワンリキーを吹き飛ばした。格闘タイプに飛行タイプの技は効果抜群。龍太郎の近くまで吹き飛ばされたワンリキーは、そのまま目を回して戦闘不能となる。

 

「くっ、すまねぇ……。だがよくやった!」

 

 その瞬間、フリーザーに何かが投げつけられて墜落してしまう。

 

「クエエエ!?」

 

「レ、ジ、ア……!」

 

 一瞬だけ混乱したフリーザーが周囲を見ると、そこには地面に大きなクレーターを作って倒れているレジアイスの姿があった。レジアイスは低く唸り、怒りをあらわにするかのように立ち上がる。その視線の先には手をかざすエルレイドの姿があった。

 

「作戦成功ね、エルレイド!」

 

「凄く強い“サイコキネシス”でしたね」

 

 ユエのゴルーグと戦っていたレジアイスだが、アブソルの攻撃で姿勢を崩していた。そこへ雫のエルレイドが“サイコキネシス”を応用して浮遊させ、フリーザーに投げつけたのである。

 フリーザーは投げられたお返しにと“ぼうふう”を放とうとするが、ハジメ達の攻撃は止まらない。

 

「ゴォルウゥゥゥゥゥゥ!!」

 

「ゴルーグ、そのまま“ヘビーボンバー”!」

 

 足からロケットのように炎を噴射させて飛んできたゴルーグが、その勢いを利用して“ヘビーボンバー”をフリーザーに食らわせた。ゴルーグは重量がある上に、氷タイプに対して鋼タイプの技は効果抜群。

 

「ク、オォォォン……」

 

 技を受けた勢いで地面に落ちたフリーザーは弱々しく立ち上がると、ハジメ達から距離を取った。

 

『喜べ。一体撃破だ』

 

 キュレムがテレパシーを使ってフリーザーの戦闘不能を告げるが、全員気は緩めない。

 

「レジア、レジアイス!」

 

 レジアイスが“チャージビーム”を撃ってきた。それも一直線ではなく、周囲に拡散する形に変えてきたのだ。

 

「パチリス!」

 

「ゴルーグも!」

 

「ジ、ア」

 

 鈴とユエの声で2匹が前に出るが、レジアイスが狙ったのはゴルーグだった。“れいとうビーム”を瞬時に発射し、ゴルーグを跪かせる。

 

「ゴルーグ……!」

 

「いま回復するよ!」

 

 香織が回復魔法をゴルーグに掛けようとするが、そこへレジアイスが“ふぶき”を放ってきた。

 

「レージーアー……!」

 

『良いだろう、手を貸してやる』

 

 さらにキュレムも同じく“ふぶき”を重ねて放ってきた。これによって範囲が更に広がり、威力も増大。ポケモン達が次々と倒れてしまう。

 

「あぁっ、エルレイド!」

 

「ガルーラ、しっかりしてくれ!」

 

「テッカニンがやられた!」

 

「パチリスが凍っちゃった!?」

 

「なっ、一瞬でこんなに沢山……でも!」

 

 香織は自身の回復魔法とプレートの力を組み合わせて編み出した、『復活の祈り』で倒れたポケモン達を回復させる。

 

『ほぉう……。やるじゃねえか』

 

「レジア、ジ、ア」

 

 レジアイスが両腕を前に突き出した。電気エネルギーを球状に溜め始め、“でんじほう”を撃とうとしてくる。

 

「やらせない! ミミッキュ、“シャドークロー”!」

 

 恵里がミミッキュに指示を飛ばした。滑っているかのように影を伝って移動すると、アッパーカットのように鋭く爪で攻撃。姿勢の関係上、レジアイスはバランスを大きく崩す。

 

「そこだ! サイドン、“ストーンエッジ”!」

 

「グァァァァァァ!!」

 

 勢いよく地面を殴りつけるサイドン。そこから岩石の刃がレジアイスに向かって放たれた。近くにいたミミッキュは素早く退避。巻き込まれることなく、レジアイスだけが攻撃を受けた。

 

「レ、ジ、ア……!」

 

 片腕で己の身体を支え、倒れ込むのを防いだレジアイス。チラリとハジメ達を見ると、負けを認めたかのようにキュレムの後ろに下がって行った。

 

『残るは俺だけか。だが!』

 

 キュレムが全身から水色のオーラを放つ。その瞬間、シアの本能が危険と叫んだ。

 

「みんな逃げてぇぇぇ!!」

 

 

『凍れ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 静寂。光輝がゆっくりと目を開けると、僅かな言葉しか出なかった。目の前に広がるは……絶対零度の光景。

 

「ハジメ! 香織! みんな!!」

 

 光輝を守るように立つ龍太郎と雫。

 鈴、ユエ、香織は結界を張ろうとしたのか手を突き出していた。

 防御ではなく迎撃で相手の技の暴発を狙ったであろう、ハジメと幸利と浩介。

 何かを叫んでいたであろうシア。

 

 

 光輝とケルディオを除く全員が……人間もポケモンも含めた全員が、氷漬けにされていた。

 

 

『ほう、結界で威力を弱めたか。だが足りなかったようだな』

 

 テレパシーによって響くキュレムの声。この光景を作り出した元凶が、光輝の目の前に立っていた。

 “フリーズドライ”、“ふぶき”、“ぜったいれいど”。これらを全て“こごえるせかい”に乗せて放った、()()()()()()()()

 

「(つ、強すぎる……!)」

 

 ガチガチと歯が鳴るのは単なる寒気ではない。圧倒的な力を目の前にした恐怖、この試練を乗り越えられないのではと言う気持ちから来る不安。この2つによるものだった。

 

『ぐ、ぐ……!』

 

「ケルディオ!」

 

『諦めたくない……! 僕は……聖剣士になるんだ!』

 

「っ!」

 

 聖剣士になる為に、それを認められる為にキュレムに挑むケルディオ。同じ気持ちなのだろうか脚はガクガクと震えているというのに、歯を食いしばりキュレムを睨みつける。その姿を見た光輝は息を呑み、そして旅の目的を、この世界における最終目的を思い出す。

 

「スーッ……ハー……! よし!」

 

 目を閉じ深呼吸する。この場所一帯に立ち込める冷気が彼の迷いを晴らした。

 

「行くぞ、ケルディオ! 一撃で決めるんだ!」

 

『光輝!?』

 

『その力は……!? なるほどな、人間。お前も目覚めたか!』

 

 光輝を包み込む青いオーラ。敵に恐怖を、味方に安堵をもたらすその力は、リオルと通じたことで芽生えた物。それが今、覚醒する。

 

「ケルディオ!!」

 

 彼の叫びと共に突き出された手を伝い、青のオーラ……『波導』がケルディオに届けられる。その思いが反応し、ケルディオにも覚醒をもたらした。

 

『光輝……! よぉし、いっくぞおぉ!!』

 

 角が青く伸び鬣も増え、その瞳に覚悟を宿す。覚悟の姿となったケルディオを見たキュレムは、ニヤリと口角を上げながら冷気を溜め始めた。

 

『これで最後だ! 食らいやがれ、挑戦者ぁ!!』

 

『はあぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

「“しんぴのつるぎ”ぃぃぃぃぃ!!」

 

 

 

 

 

「う、ん……」

 

 ハジメがゆっくりと目を開けると、互いの無事を喜ぶ仲間たちの姿があった。

 

「試練はどうなって……」

 

「ハジメ」

 

 光輝の声に振り返ると、ボロボロな姿の彼が軽く笑いながらハジメの肩を叩いた。

 

「やったよ」

 

「……そっか。今回のMVPは君か、はははっ!」

 

 一言だけで察したハジメは、笑いながらお返しにと光輝の肩を叩く。何すんだよと苦笑しながらもお互いに肩を叩き合い、そして二人して痛みで蹲った。

 

「二人とも何やってるの、もう〜」

 

 香織はそんな二人に呆れながらも、回復魔法を掛けるのだった。そうして全員の治癒が終わったところで、キュレムがテレパシーで話しかけてきた。

 

『お前らならば、神気取りのあのクソ野郎を倒せるだろうよ』

 

「ありがとう、キュレム」

 

『だがその前に、真なる神の子……三柱の怒りをどうにかしねえとな。流石にそこまでは手を貸せねえ』

 

 キュレムはそのまま、いつもの姿へと戻ったケルディオに顔を向ける。

 

『小僧。良い一撃だった。誇りな、この俺様を足元ごと陥没させたんだからよ』

 

『は、はい!』

 

 フリーザーとレジアイスが一行に近付いた。2体の間に浮かぶは、水色のプレート。

 

『受け取れ人間共……いや、ハジメ達』

 

 

 ハジメ達は こおりのプレート を手に入れた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハジメの精神世界。そこに漂うのは、彼にポケモンの知識をもたらした存在、ゼンセ。

 

「よお」

 

「やっぱり。完全には消えてなかったんだね、ゼンセ兄さん」

 

 小さな火の玉に微笑むのは、彼を兄と慕い始めたハジメ。

 

「プレートもだいぶ集まったな。……ふむ、これなら」

 

「兄さん?」

 

 何処か考え込むように、火の玉でありながらスライムのように伸びて体を曲げるゼンセ。

 

 

「なぁハジメ。大昔の世界を見てみないか?」

 

 

 




次回は閑話です。かなりオリジナルというか、私なりの解釈が入っています。主に、プレートに刻まれてる「きょじん」についてです。
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