ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

126 / 146
大変長らくお待たせしました……! 体調不良やら繁忙期やら資格試験やらで、ちょっと身の周りが酷いことになってました。


歴史の転換点

 シュネー大迷宮にてプレートを手に入れたハジメ達。クレバスから出ると、突入前は吹雪だった空が快晴となっていた。

 

「うわぁ、凄い青空!」

 

「キュレムの試練を突破したからなのか、それとも偶然なのか……。いずれにせよ丁度いいタイミングだな」

 

 鈴や光輝が空を見てる中、ハジメはふとポーチからプレートを取り出した。鋼、岩、草、炎、水、龍、妖精、氷……これで8枚のプレートを手に入れた事になる。するとプレートは光の球となり、何処かへと向かって1本の光線を伸ばした。

 

「ハジメ君、これって……!」

 

「今までのプレートの共鳴とは違う!」

 

「あの方角、神山があるところです!」

 

 光線の指し示す先は、聖教教会の本部がある神山。ハジメ達が最初に召喚された場所でもあった。

 

「あそこに居るのか? ……アルセウス」

 

 ならばと彼らの動きは早く、飛行船に乗り込みすぐに光線の先へと急ぐのであった。

 

 

 

 

 

 その頃、ハイリヒ王国の宝物庫は大騒ぎになっていた。聖教教会のトップであったイシュタルが昏睡状態となり、元々混乱の最中にあった王国であったが、今回はそれに拍車をかける事態である。

 

「宝物庫内に魔人族が入り込んでいたとは! 衛兵は何をやっていた!」

 

 メルドは怒号をあげながら現場へと足を急がせた。巡回していた兵士から、「魔人族が宝物庫に入り込んでいる」という報告を受けたからである。宝物庫は文字通り国の宝が保管されている場所で、収められている物にはアーティファクトも含まれている。

 

「(この国には魔人族の侵入を拒む結界が貼ってある筈だが、どうやって宝物庫に潜り込んだ……?)」

 

 メルドの脳内で疑問が生まれるが、現実を打開しなければ始まらないとメルドは判断した。いつでも抜けるようにと剣のグリップを握りながら、タックルに近い姿勢で宝物庫の扉を開けた。

 

「動くな!」

 

 瞬時に剣を向ける。そこに立っていたのは、両手を挙げて降伏の格好をする魔人族の姿があった。

 

「……王国最強の騎士が出迎えか」

 

「(両手を挙げているだと? ……だが油断はできん)」

 

 メルドは油断せず、魔人族――フリード達を睨む。彼らはそのような態度に腹を立てること無く、抗戦の構えも見せない。その態度が却ってメルドに緊張を与えていた。

 

『おっ! あった、あったぞ〜!』

 

 そんな緊迫した空気の中を喜びながら飛び出たのは、フリードが連れているポケモン、フーパだった。だがタイミングが悪かった。彼が出てきたのは庫内に収められている国宝の山の中。そこから()()()()()()()()()を持って出てきたのだから、場は混沌とする。

 

「何だ!?」

 

「フーパ貴様っ! 場の空気が分からないのか!」

 

『ありゃ?』

 

「魔人族……! 我が国の宝を奪うつもりか!」

 

 メルドの目付きがより鋭くなり、フリード達もやむを得ないかと魔法の発動準備をした、その時である。

 

 

「お待ちなさい」

 

 

 凛とした女性の声。全員がその声の主に視線を向ける。初めに声を上げたのは驚愕の表情を浮かべるメルドだった。

 

「リリアーナ様!? 危険です!」

 

「メルド団長、落ち着きなさい。話は他の兵士やメイド達から聞きました」

 

 制止するメルドを他所に、フリード達へと近付くリリアーナ。対面すると、彼女の影の中からダークライが現れる。驚きの声を上げたのはフーパであった。

 

『うえええっ!? ダークライ!?』

 

『……久しいなフーパ。その壺がお前の求める物か』

 

『そうさ。あ、言っとくけどな、悪い事には使わないぞ! お前が守ってきた一族に散々懲らしめられてきたからな!』

 

『……ならば良い』

 

「……貴方のお名前を。不思議なポケモンを連れている御方」

 

「……フリード・バグアー。なるほど、そなたはこの生き物たちのことをポケモンと呼ぶか」

 

 あまりの混沌とした空気に、メルドを始めとした人間側の兵士も、カトレアを始めとした魔人族側の兵士も、思わず戦いの構えを解いてしまう。

 

「バグアーさん。話し合いの場を設けたいのです。……私は感じるのです。もしかしたら、この世界の時代が変わるかもしれない。その混乱を乗り切る為には、我々人間だけでは乗り越えられません」

 

「……同意だ。我らもフーパと共に巡った大迷宮にて、この世の真実を知った。永きに渡る怨恨を憂うよりも、今この瞬間の危機の打開が必要やもしれない」

 

 これが、後世のトータスにおいて、歴史書に『時代の転換点』と記される会談の始まりである。

 




次回より本編最終章へ突入します!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。