ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

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本編はとうとう最終章に突入します。完結までもう少し。頑張ります。


足掻く悪意

 シュネー大迷宮をクリアしたハジメ達。集めたプレートが一筋の光を神山に向けて放った事で、彼らはハイリヒ王国の近くまで飛行船で向かう事とした。運がいいのか、シュネー雪原から飛び立ってすぐに追い風が吹き、それが止むことは無かった。まるで『何者』かがハジメ達の道中を支えるかのように。

 

 そうしてあっという間にハイリヒ王国の近くへと着陸したハジメ達だったが、ここから先は別行動となった。光輝、龍太郎、鈴、雫、浩介は王宮に閉じ籠もってしまった他のクラスメイト達に現状を説明しに行くという。

 一方のハジメ、香織、ユエ、シア、幸利、恵里は神山ルートを行くことになった。特に、プレートを多く所持するハジメと、みどりのプレートの所有を認められた香織は重要な役目となるだろう。

 

「雫ちゃん、気をつけてね。その……私、檜山君たちのこと、危ないと思ってるから」

 

「香織もよ。もしかしたら、プレートを奪おうとする奴らが襲ってくるかもしれないから」

 

「ハジメ。……頼んだ」

 

「任されたよ。光輝」

 

 香織と雫は一時の別れを惜しみ、光輝とハジメはグータッチした。

 

「(プレートが今までに無いほど強く共鳴している。……やっぱり、神山に居るんだね。アルセウス)」

 

 

 

 

 

 神山は、正確に言えば神山にある聖教教会の神殿は、ハジメ達がトータスに召喚された場所である。

 

「まさか俺たちの始まりの場所に、戻ってくるなんてな」

 

「けど、あの時と違う事はあるよ。……誰も居ない」

 

 恵里の言葉通り、今の神殿内には誰も居ない。

 教皇であるイシュタルがダークライの手によって昏睡状態にされた。それによって教会内は混乱状態となり、その波紋は教会の息があった街々にも及び始めている。中には野心ある者が教会内での出世を狙おうと不正を働き、その始末にも追われているために、本拠地の人間すら出払う事態になってしまっていたのだ。

 勿論、その事をハジメ達は知る由もない。彼らは高校生。(まつりごと)は専門外なのだから。

 

 プレートの指し示す通りに進んでいくと、とある部屋にたどり着いた。恐らくは懺悔などを行う為の部屋なのだろうが、光の先にあるのは暖炉である。

 

「……こう言うの、隠しルートの基本だよね」

 

「言うんじゃねぇ。シンプル・イズ・ベストって事だろ」

 

 ハジメと幸利が話す間に、プレートに反応したのか暖炉は勝手に横へとスライドする。現れたのは、地下へと続く階段だった。どの大迷宮とも異なる荘厳な空気が漏れ出ており、ハジメ達は唾を飲み込む。

 

「……行こう」

 

 その言葉を皮切りに、一行は地下へと降りていった。

 

「……………………」

 

 その様子を見ていた、醜い火傷を持つ()()()()()()()に気付かずに。

 

 

 

 

 

 地下へと続く階段を降りた先。そこには……

 

「あ、あれが……!」

 

アルセウス……!」

 

 石化したアルセウスが存在していた。ソレが放つプレッシャーは大きく、作り物と思わせる事すら不敬と感じさせるほど。この場に居る誰もが、目の前にある像こそ本物のアルセウスなのだと、確信させられた。

 

「ハッ!? ハジメ君、プレート! プレートを出さないと!」

 

「そ、そうだね! プレートをかざせばきっと……!」

 

 慌ててバッグから、集めたプレートを取り出した……その瞬間である。

 

 

『ハジメ、後ろだ!!』

 

 

 突然頭の中に響く、ゼンセの声。振り向こうとするもハジメが感じたのは、背中から来る金属の冷たさ。そして痛み。そこからドロリとした生暖かさだった。

 

「ガ、フ……!?」

 

 視線を下せば、胸から突き出ているのは剣の先端。

 

「感謝します、イレギュラー。我が主の力……返して頂きます」

 

 銀髪のシスター……ノイントの冷たい声が聞こえた瞬間、ハジメの目の前は真っ暗になった。

 




確かに、ティオによってノイントは撃退されました。しかし「撃退」であって、死んだ訳ではありません。
彼女は過ちを犯しました。よりにもよって、アルセウスの目の前で、ハジメを刺したのですから。
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