ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

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お待たせ致しました。えっとですね、ハーメルン内のブルーアーカイブ二次創作を読み耽っていたり(原作未プレイ)、モンハンワイルズが発売された事に触発されてダブルクロスをプレイしてたり、仕事面では体調不良になった人の代わりに働いたりしていました。何ならその影響か風邪を引いてしまって咳が止まりません。


解放の時

 そこは、あらゆる時間を司る領域。

 

 そこは、あらゆる空間を司る領域。

 

 そこは、何者にも縛られない掟破りな領域。

 

 その三つの領域が交わる場所にて、ハジメ達の手によって解放されしアルセウスは降り立った。

 

 アルセウスの事を架空の存在と認知しながらも、この世界において命ある者として認めていた魂、ゼンセ。彼は己の命を対価に、もう一人の存在であるハジメを救った。例え短い時間の中での交流であっても、兄ともいえる存在の消失はハジメに大きな悲しみを与えた。

 解放者たちによって迷宮に安置されたプレートを通じてトータスの流れを観たアルセウスは、封印された当初はエヒトを始めとして、思考を放棄し偽りの神を崇める人間にも怒りを抱いていた。しかしハジメとゼンセによってプレートが集まり、彼らの振る舞いを観た。この星に生きるもの達と触れ合い、絆を結び、仲間を増やしていくその光景に、アルセウスの怒りは薄れていった。

 

『(例え世界の必定であろうともゼンセを救えなかった我が、ハジメに対して慰めの言葉を掛けるなど、論外であろうな)』

 

 だからこそ、悲しみに暮れるハジメの事は同じ人間である彼の仲間に託し、己は封印されていた分行動を起こすことにした。

 

『いつまで偽りの鎖に縛られているのだ、我が子らよ』

 

 目の前に居るのは、赤い鎖によって縛られ、人間への憎しみに身を呑まれそうになっている三体の神。だがこの三神の領域には先客がいたようだ。

 

『ディアルガ様! どうかお目覚め下さい!』

 

『パルキア様! 神としての心を失わないで!』

 

『ギラティナ様! 怒りに呑まれてはいけません!』

 

 ユクシー、アグノム、エムリット。アルセウスが三神を生み出した後に生まれた、心を司る者達。眷属とも言える者達が必死に説得をしていた。

 

『苦労を掛けたな』

 

 その言葉に、心の三精は驚きのあまり振り返る。

 

『『『アルセウス様!?』』』

 

『人間たちの手によって、我は解放された』

 

 眷属の説得があっても尚、怒りに呑まれようとしている三神。己も人間を憎んでいた為に強くは言えないが、希望を見つけた以上、放置するわけにもいかない。

 

『お前達ならば偽りの鎖など砕くに容易い筈であったが、我が封じられた事が足枷となったか……。すまない事をしたな……』

 

 アルセウスが封じられ、その生死をエヒトに握られた為に強く出れなかった伝説のポケモン達。己の失態でもあると自省したアルセウスは、プレートの力を解放する。

 

『はぁっ!!』

 

 ただの力ではない。ユクシー達を介して三神に伝えられたのは、ハジメ達の旅路。出会い、絆、和解、仲間との一時の別れと、家族との死別。更には各地を治める伝説のポケモン達がアルセウス達を案じている事も伝えられた。

 

『我ら、は……』

 

『おぉ……こんなにも……!』

 

『ぐ、お、あぁぁぁぁぁ!!』

 

 ディアルガが驚愕に目を見開き、パルキアが人間の可能性に安堵した。そしてギラティナが己を縛る鎖に改めて敵意を向け、鎖に対して力を込める。

 

 その瞬間、三神を縛りし偽りの赤い鎖は砕かれた。

 

『我が主よ。申し訳ごさいません』

 

『そして眷属たちよ。お前達にも苦労を掛けた』

 

 パルキアが怒りに呑まれかけた事を謝罪し、ディアルガはアルセウスだけでなくユクシー達にも謝罪した。

 

『やった、やった! 神様たちが解き放たれた!』

 

『プレートを通じて、私たちも彼らの旅路を知れました』

 

『彼らにもお礼を言わなければ』

 

 そんな中、ギラティナだけはアルセウスに背を向ける。己の領域に帰るために。

 

『……借りは返す。ハジメとやらに、そう伝えとけ』

 

 封印される前の強気な態度で、感謝を示しながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖教教会の神殿から出てきたハジメ達。その先頭を歩くのは、意外なことにハジメだった。たがその目は赤く腫れており、よく見ると袖が濡れている。

 

「……大丈夫、ハジメ?」

 

 ユエが心配そうに声を掛ける。ゼンセが目の前で消えてから、ハジメは今までに無い程に号泣した。両手と膝を突き、大粒の涙で流していたのだ。シュネー大迷宮でゼンセと戦った香織達も涙を流し、恋人である香織はせめてもの思いで彼を抱きしめていた。アルセウスはいつの間にか消えていたが、恐らくその場の空気を読んで彼女らに託したのだろう。

 程なくして、涙を拭い鼻をすすりながらも、ハジメは「行こう」と言葉にし、歩き出したのである。

 

「正直、まだ心の整理と言うか、悲しい気持ちは収まってないよ。でも……」

 

 胸に手をやり目を瞑るハジメ。もう居ない筈なのに、不思議と脳裏に響く、兄の声。

 

「僕の物語はまだ続くんだ。此処で止まったら、それこそゼンセ兄さんにどやされちゃうよ」

 

 溢れた一粒の涙を指で拭い、ハジメは前を向いた。

 




前書きの続きとなりますが、新しい小説のネタも考えたりしてたら遅くなったというのも理由の一つですね。無論、この小説の完結も目指していますので、あくまで息抜き程度かと。

では改めまして次回、とうとう憎きヤツが……!
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