いよいよ此処から、最終決戦編です。
ゼンセの消失に涙を流しながらも立ち上がり、聖教教会の神殿から出てきたハジメ達。
「アルセウスは、ハジメさんの言うディアルガ達を助けられたでしょうか?」
「けど、自分を生み出した存在の無事を知ることが出来れば、きっと……」
シアとユエがディアルガ達を心配する中、ハジメは1人考えていた。
「(アルセウスが復活したとは言え、まだ全部のプレートが戻った訳じゃない。残りを持ってるのは、きっとアイツだ。そしてアルセウスが復活し、ディアルガ達も解放された今、きっと……!)」
その時である。晴天が突如曇天へと変わり、ゴロゴロと雷の低い音が響き渡る。
「みんな気を付けて! ……来る!」
ハジメが天を睨むと、雲が裂け、光と共に人影が舞い降りた。
「我が使徒よ。何ゆえ、反逆の獣を解き放った」
荘厳な、しかしその正体を知っている者たちからすれば侮蔑も含んでいる事を察することの出来るその声。
その姿は、トータスに召喚されたばかりの時に神殿で見た壁画と寸分の違いもない美形の人間。しかしハジメからすれば、その姿は取り繕った美しさにしか見えなかった。
「やっぱり降り立ったか……エヒト!!」
「ふむ……、やはり異世界の人間は神への信仰は薄い、か。その不敬な態度……気に入らぬ」
空中に浮遊し嘲笑うエヒト。だがその声は不機嫌を表していた。しかし彼らは怒ること無く冷静であった。プレートを巡る旅の過程で知った、過去のエヒトの所業。どのような性格なのかを察することなど容易であった。大方予想通りの態度で、怒りすらも湧いてこない。
「何故反逆の獣を……アルセウスを解放したかって聞いたよな」
「これ以上、お前の好きにはさせない為だよ」
「人々が作り上げた歴史を、玩具のように弄ぶその所業……」
「神と敬うことなど出来ません!」
幸利、恵里、ユエ、シアが啖呵を切る。それに対するエヒトの表情は変わらず、むしろせせら笑った。
「ふっ。だが、貴様らがいくら吠えたところで、味方など1人もおらぬ。聞くがいい」
エヒトが右手を軽く振るうと、辺りが歓声で包まれる。
「な、何これ……!」
香織が驚く中、ハジメは耳にする。
「エヒト様だ! エヒト様が降臨された!」
「エヒト様!」
「神よ……! 我らが神よ……!」
「聞こえるであろう? 世界が望む声が。世界は私を望んでいる。獣を神と捉え崇める貴様らが異端なのだ」
「……うるさい」
「ハジメ君……?」
「うるさい!!」
ハジメが叫んだ瞬間、彼の身体から金色の光が波動となって放たれた。エヒトも思わず目を見開く。
「っ……。その力は……!」
「何がエヒト様だ、何が我らが神だ! この声はお前が選んで僕たちに聞かせてるだけの声だ! そうだろう皆! 亜人族、アンカジ公国やエリセンの人達、彼らはエヒトを信仰なんてしていない!」
聖教教会によって迫害された歴史を持つ、シアを始めとした亜人族。過酷な環境ゆえにポケモン達との共存の道を選ぶアンカジ公国。海という自然の一部と共に暮らし、カプ族を土地の守り神として崇めるミュウ達海人族。
彼らは、エヒトを崇める聖教教会に良い顔をしない。その事をハッキリと覚えていたハジメは、エヒトを指差して嘲笑う。
「お前が今やった事は、都合の良い物だけを切り取る人間と同じだ! お前は、アルセウスからプレートを奪って神様気取ってるだけの人間だ!」
啖呵を切るハジメに対して、エヒトの反応は――
「
静かに、低い声で怒りを顕にした。その瞬間に香織たちも察した。エヒトの本性というものを。
「良かろう。それ程までに獣と居たいのならば、獣の手によって死ね」
エヒトの両手先から小さな魔法陣が現れると、それに応えるかの如く巨大な雲の渦が上空に現れた。
「何をするつもりだ……?」
幸利が怪訝な顔をする中、赤黒く発光し始めた稲光と雲渦を見たハジメは目を見開く。
「あれは、まさか……ダイマックス!?」
一瞬だけ見えた、
「な、何て大きさ……!」
「こんな巨大なポケモンが居たなんて……!」
恵里やユエが驚く中、100メートルもの巨体となったポケモンの姿を見て、ハジメはその名を呟いた。
「ムゲンダイナ……!」
ラスボスは、エヒト&ムゲンダイナ(ムゲンダイマックス)です。果たしてどうなるか、次回をお待ち下さい。