ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

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先日、福井県の恐竜博物館に行ってきました。人生で一度は行きたかった場所だったのですが……一度とは言わず何度でも行きたいと思う程の感動でした。
今回は、一方その頃という形になります。これも書きたかった展開です。


閑話∶伝説の大戦(その1)

 トータスは、混乱に包まれた。エヒトが召喚したムゲンダイナ。咆哮と共に放たれたエネルギーはトータス中に広がり、各地にキョダイマックスしたポケモン達が出現したのである。

 

 

 

――龍人族の里

 ドラゴンタイプのポケモンと共に生きる龍人族であるが、山の中腹より姿を現したキョダイジュラルドンに、戸惑いが生まれた。

 

「あれはジュラルドンではないか!?」

 

「だが何故あの様な姿に!?」

 

「この赤い空と関係があるというのか……?」

 

『ジュッ、ロォォォォォォ……!』

 

 巨大化故に低くなったその声は、若き龍人に恐怖を与えた。ましてや彼らが普段知る姿とは異なっているため、未知ゆえの困惑も生じる。

 だが、一部の勇気ある青年達は、直ぐに周囲の同胞に呼びかける。

 

「老いている者と女と子供は避難させろ! あれ程の巨体だ、何が起こるか分からんぞ!」

 

「手の空いてる者は戦闘準備! ジュラルドンには申し訳ないが、里にここまで近い以上は倒すしか……!」

 

 キョダイジュラルドンの出現は、里の住人に混乱をもたらした。足腰の不自由な老龍に手を貸す者、泣き叫ぶ子供を宥める者、自警団の避難の呼びかけに反対して己も戦うと叫ぶ者。龍人族の里は阿鼻叫喚となっていた。

 

 

「怯えるな、同胞よ!」

 

 

 その時周囲に響き渡る、凛とした女性の声。里に住まう龍人族は皆、その声を知っていた。我らが龍神様に認められ、祖先の遺したリュウラセンの塔にて、黒と白の龍に巫女の修行を課せられた者。

 そこには、黒と白の陰陽があしらわれた巫女服に身を包む、ティオの姿があった。彼女は竜の翼を広げ、空を飛んでいる。その左右に従うは……2体のポケモン。

 

「ティオ様!」

 

「あ、あのポケモンは、まさか……!」

 

「我らは誇り高き龍人族! 龍と共に生きし者!」

 

 ティオの目は赤と青のオッドアイとなる。しかしノイントと戦ったときとは異なり、そこには理性の輝きが残っている。

 

「同胞に等しきドラゴンポケモンを暴走させるなど……偽りの神の暴虐を、妾は許すわけにはいかぬ!」

 

「「バギュオオオオオオオオオン!!」」

 

 2体のポケモン……ゼクロムとレシラムが吠える。それと同時に赤い空は上書きされ、乱気流が吹き荒れる。

 

「安堵せよ! 我らには龍神様が……レックウザ様が居る!」

 

「ガギュアァァァァァ!!」

 

 天空より現れしメガレックウザ。その姿に龍人族は傅き、しかし故郷を守らんと決意を新たにした。

 

 

 

 

――湖畔の町ウル

 ウルの町の混乱は、かなり特殊であった。というのもキョダイマックスポケモンによる直接的な被害ではない。

 

「うげぇ、甘ったるい……!」

 

 ウルの町にて農業の指導を行なっていた、畑山愛子とその護衛を名乗った生徒たち、そして神殿騎士たちは、町中に漂う甘い香りに顔を顰めていた。まるでこの世のあらゆる糖類を凝縮して粘りを加えたかのような甘ったるさが、彼らの鼻腔を支配していた。

 人間にはあまりにも甘すぎる匂いに、狂喜乱舞するのは虫ポケモン達。ミツハニーとそれを従えるビークイン、スピアーの群れ、アブリボンにカイロスにヘラクロスと、虫嫌いは卒倒するような光景。

 

「くっ、我らが信仰していたエヒト神は偽りだったというのか……!?」

 

 神殿騎士隊長のデイビッドが歯を食いしばる。一度はハジメ達に差別的な態度を取り愛子に拒絶されたものの、惚れた勢いは強くそう簡単には折れない。だからこそ、聖教教会が愛子達を拘束した時には疑問を覚え、そして今回のエヒト降臨とその振る舞いによって起きている惨状に握りこぶしの力が強くなる。

 

「何だってこんな事を……!」

 

 そう叫び顔を上げる先には……キョダイマックスした、タルップルとアップリューの姿があった。彼らの発する匂いこそが原因であった。

 

『愛子よ!』

 

「バドレックス様!?」

 

 愛子の脳内に響く声に振り返ると、ブリザポスに跨ったバドレックスが駆け寄ってきた。町中にポケモンが溢れている為に、彼らの登場に驚く事は無い。デイビッドも、最初は目を見開いたものの、愛子に害を加えることは無いと察したのか、ハジメ達に会った時のような態度は鳴りを潜めていた。

 

『出来る限り民を避難させるのだ! “あれ”は余でも止められん!』

 

「“あれ”とは!?」

 

 声色と振る舞いからしてかなり焦っているバドレックスに、愛子はただ事ではないと悟る。

 

()()()()()()()()()が来る! あ奴らは余よりも格上だ! 巨大化した者と神々の戦いである! 周囲の影響も尋常ではない!』

 

「っ!! 急ぎましょう! バドレックス様も一緒に!」

 

『うむ! 我が友の1人、レイスポスに跨るが良い!』

 

 バドレックスの声と共に、併走してきたレイスポスが姿勢を低くして愛子に乗るよう促す。そうして2人は駆け出していった。

 

 その頃。町の象徴たるウルディア湖の端。人の立ち入りが滅多にない一角に、とある『祠』があった。その祠は、エヒトが神として君臨する前よりも遥か昔に建立された、由緒正しき場所。そこに安置されているのは、1つの『鏡』。

 その鏡に、4体のポケモンが空から舞い降りた。かつては気まぐれで争い合うこともあったが、古代人の祈りに気を良くして神となったポケモン達。彼らは『れいじゅうフォルム』から『けしんフォルム』へと姿を変えた。

 

「ばるりゅりゅりゅー!」

「しゅるばばばー!」

「どろるるるるる!」

「あぁ〜い!」

 

 トルネロス、ボルトロス、ランドロス、ラブトロスは咆哮し、風を纏ってキョダイタルップルとキョダイアップリューに向けて飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウルの町にて愛子達が拠点としていた『水妖精の宿』にて。

 

「ごめんね、あなたを巻き込むわけにはいかないの」

 

「ミィ〜……」

 

 優花は、宿のカウンターテーブルにシェイミを置くと、優しく頭を撫でる。

 

「大丈夫。私たちは強いんだから。みんなが戦ってるんだから、私も頑張る。……じゃあ、行ってくるね」

 

「ミッ! ミィ、ミィ〜!」

 

 シェイミの呼び止める声を堪えながら、優花は宿を出て行った。

 

「ミィ〜……。……ミッ?」

 

 シュンと落ち込むシェイミだったが、ふとテーブルに置かれている花瓶に目を向ける。そこにあったのは、『とある花』。

 

「……ミッ!」

 

 意を決したシェイミは、その花へと歩き出した。

 




各地で発生する『伝説ポケモンvsキョダイマックスポケモン』、書きたかった内容の一部です。
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