ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

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今回は、ゲーム的にはあり得ない要素を混ぜ込みました。言うならば「ぼくのかんがえたさいきょーの伝説ポケモン」です。
けど正直、リアルポケモン世界だったら、条件が揃ったら出来そうだなぁと思ってます。


閑話∶伝説の大戦(その2)

 アンカジ公国は、未曾有の大災害に見舞われていた。砂漠に位置する以上避けられない災害、砂嵐。だが現在発生している砂嵐はさながら、「これまで経験したことの無いような」と付いてもおかしくない程の強大なものだった。

 

「地下へと避難するのだ! 物はどうとでもなるが、命を失ってはどうにもならん!」

 

「ヒナン! ヒナン! ニゲロ! ニゲロ!」

 

 公国領主のランズィと彼の肩に乗るペラップが、国民たちに避難を呼びかける。ハジメによって国に広まったモンスターボールのお陰で、国民達は相棒であるポケモン達をボールに入れて避難することが出来ている。

 

「プルップー!?」

 

「いかん、ペラップ! 戻るのだ!」

 

 吹き荒れる砂混じりの強風にペラップが呑み込まれそうになる。ランズィは慌ててボールへと戻した。

 

「エヒトめ……! とうとう本性を現したか……!」

 

 砂が目に入らないようにしながらも、ランズィは天を睨む。砂漠という過酷な環境で生きる為にポケモンと共存の道を選び、しかし経済のために聖教教会と手を取り苦汁をなめながらの日々。その関係性は今、壊れようとしていた。

 

「父上!」

 

 そんな砂嵐の中を、古めかしさはあるものの「防塵ゴーグル」のようなレンズを着けていた青年が、ランズィの下へ駆けつける。

 

「ビィズ。状況はどうなっている?」

 

「フライゴンと共に空から確認しましたが、この砂嵐は巨大化したサダイジャが原因かと」

 

「サダイジャが扱う技には、一時的に砂嵐を引き起こすものもあるが……。よりによって巨大化して放たれるとはな……」

 

 そう、この災害の原因はやはり、ムゲンダイナの影響を受けた野生ポケモン。キョダイマックスしたサダイジャによるものであった。

 

「砂嵐を飛び慣れてる私のフライゴンでも、途中何度かバランスを崩しかけました。最悪の場合……」

 

「この国を……放棄せねばならないか……」

 

 徐々に砂に埋もれていく建物を見つめるランズィとビィズ。絶望的な状況の中、言葉通りに「光が射し込んだ」。 

 

 

 その頃、グリューエン火山の大迷宮。その深奥にて目覚める者がいた。

 

『俺の領域で派手に暴れてる奴がいるな』

 

 大地の化身と崇められしグラードン。彼にとって砂漠も己のテリトリー。そこを荒らされるのは我慢がならなかった。

 

『……悪いな。ちと、シバいてくる』

 

 かつてエヒトに対抗する際に手を組んだ、この大迷宮の創設者。故人となった相棒に一声掛けると、グラードンは集中する。

 余りにもエネルギーが強すぎて、相棒がこの大迷宮の更に更に奥深くへと封印した代物。「べにいろのたま」と呼ばれる石から放たれるエネルギーを、彼は吸収し、かつての姿へと己を変える。

 

「グオオオオオオオオ!!」

 

 ゲンシカイキした咆哮と共に、魔法で独特な流れを持っていた溶岩がグラードンを地表へと押し上げる。

 

『……なるほどな。そういう事か』

 

 地表へと現れたゲンシグラードン。すぐさま大気中に含まれているダイマックスエネルギーを感じ取った。そしてキョダイサダイジャを目にやると、戦意を漲らせる。

 もしゼンセやハジメが見たら、その後の彼の行動に絶叫するだろう。

 

『はあぁぁぁ……!』

 

 ゲンシグラードンが、ダイマックスエネルギーを吸収している。そうなれば当然、起こるのである。ダイマックスが。

 

 

「ガアァァァァァァァァ!!」

 

 

 その瞬間天候が上書きされ、日光が射し込む。勢いのままダイマックスゲンシグラードンは、鋭い爪をキョダイサダイジャに向けて振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 魚人族の都市であるエリセンもまた、混乱に陥っていた。元々団結力のある彼らは、海と空の異変を感じ取るとすぐに遠方への避難を開始した。

 

「あれは……ラプラスとキングラー? 何ゆえあの様な姿に……」

 

 魚人族の長老が見やる先には、はるか遠くに居てもなお判る巨体。それはキョダイマックスしたラプラスとキングラーであった。突然の身体の変化に戸惑い、体内を巡るエネルギーに翻弄され、2体は争っている。キョダイラプラスが“ダイアイス”を放ち、キョダイキングラーは“ダイストリーム”を放つ。その影響はエリセンにも及んでおり、急激な気温低下とあられ混じりの降雨で、避難民の体温をみるみる奪っていた。

 

「ミュウ、何してるの!」

 

 レミアの声が聞こえ振り向くと、そこには木彫りを抱えたミュウの姿があった。彼女の抱える木彫りは、魚人族の家に必ず安置されている、この土地の守り神を模した物。

 

「ハジメお兄ちゃんが言ってたの! 守り神様は守ってくれるって! 守り神様はポケモンだから、何処かで見ているって!」

 

 ハジメ達がエリセンに滞在していた時に、彼はミュウに守り神の事を話していた。お兄ちゃんが撫でながら話していた事を思い出す。

 

――守り神様が、カプ族の神々が、きっとミュウを守ってくれるよ。

 

 今がその時だとミュウは確信した。だから力を振り絞って重い木彫りを持ち運んだのだ。

 

「守り神様! お願いします! ママを、みんなを助けて!」

 

 雨とあられに打たれながら、ミュウは木彫りの前に祈りを捧げる。暫しの沈黙。聞こえるのは、風と雷雨の荒れる音のみ。

 

「(……雷?)」

 

 長老の違和感。先ほどまで無かった筈の、雷の音。

 

 

「カプゥーコッコ!」

 

 

 雷を纏いながら、しかし子供の手前で加減したのか穏やかに着地したそのポケモン、カプ・コケコ。驚く魚人族を他所に、カプ・コケコはミュウを見つめる。

 

「…………」

 

「……うん!」

 

 直感でカプ・コケコの伝えたい事が分かったミュウ。彼女は拙いながらも踊る。それは、魚人族が聖教教会に気付かれないように開かれる、密かな祭りで披露される舞。奇しくもそれは、「Zワザ」と呼ばれる技を発動する際のポーズを所々に盛り込んだ踊りだ。

 長老は目を見開き、レミアや近くに居た若者たちに声を掛ける。

 

「守り神様の像を集めるのじゃ! 太鼓も、笛も、ありったけ集めよ!」

 

 気まぐれな性格をしているカプ・コケコ。だが今起きている惨状は困る。これでは遊べないではないか。空には、何やらムカつく気配もする。だから、これは目の前で踊る者達の為ではない。

 

「…………」

 

 決して、目の前の少女の秘めている輝きに、興味を示した訳でない。無いったら無いのだ。

 でもまぁ、面白そうな娘だから仲間も呼ぼう。そう思ったカプ・コケコは鳴き声を上げて、他のカプ族を呼ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 キョダイラプラスとキョダイキングラーの戦いの余波は、海中にも及んでいた。巨体が動く度に波や水流が発生し、周囲のポケモン達はもみくちゃにされてしまう。

 

「フィ〜!」

 

 混沌となっている海中を、マナフィは泳ぐ。目指すはミュウ達と共に巡った大迷宮。その最奥に眠る海の化身。

 

『カイオーガさまー!』

 

『大声を出さなくとも聞こえておるよ』

 

 穏やかに応えるはカイオーガ。マナフィが駆けつけるよりも前に目覚めており、そしてグラードンの目覚めも感じ取っていた。目覚めが遅れたのは少々気に食わないが、今はそんな事を言っている場合ではない。

 

『暴れてる者共は私が対処しよう。君は他のポケモン達を宥めなさい』

 

『うん! 分かった!』

 

 幼いながらも強い力を持つ王子が離れたのを見届けた化身。そしてグラードンと同じく、『あいいろのたま』からのエネルギーを受け取り、ゲンシカイキする。

 

『一時的に気候が荒れるだろうが……なに、すぐに終わらせるとしよう』

 

 ゲンシカイオーガは水中を勢い良く進み、海面から飛び出す。その強大なパワーに思わずキョダイマックスした2体は顔を向けた。

 

『静まらんか!!』

 

 瞬時にダイマックスエネルギーを取り込み、ゲンシカイオーガはダイマックス化。そこから更に“こんげんのはとう”を口から放つのだった。

 

 なお、これを見ていたマナフィは「凄い凄い!」とはしゃぎ、彼の付き添いも務めていたフィオネは「えぇ……」とドン引きしていた。

 




はい、ゲンシカイキ+ダイマックスという、下手したら世界崩壊(当ポケに悪意なし)しかねない展開でした。
ま、まぁ、怒り狂って世界崩壊よりかはまだマシかなぁと。
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