今回はとても短めです。
トロピウスも撃破し、出口を目指すハジメ達。森を抜けると再び洞窟であった。その中を進んでいくと、突如寒気に襲われる。
「この先に……何かあるのかな……?」
彼の目の前にあるのは、荘厳な両開きの扉。高さは3メートル程だろうか。そしてその門を守っている存在がいた。
「ゴビット? でも動いてる感じがしないな……」
ゴーレムポケモンのゴビット。それが左右に3体ずつ、合計6体が門を守るように配置されている。しかしポケモンとして動いているようには見えない。ピクリとも動かず、その場に佇んでいた。
「……気にはなるけど、慎重に」
自分にそう言い聞かせて扉に触れる。何やら術式が施されているようだが、図書館で勉強をしていたハジメから見てもどのような物なのか判らなかった。
「相当古いってこと? 錬成で何とかなるかな?」
試しに錬成の魔力を流すと、赤黒い電流のような物が溢れ、思わずその手を離してしまう。
「イテテ……。錬成じゃ駄目ってことか……ん?」
何かが動く気配がした。振り返ると、先ほどまで石像のようであったゴビットが動き出していた。侵入者が何かしらの魔力を流すと起動する仕組みなのだろう。
「ゲームだと、こう言う鍵は門番が持ってるのがセオリーだけど……」
果たしてそう上手くいくのか。そう呟いて、戦闘体勢に入った。
「グルァァァ!!」
「「「ゴビッ!?」」」
「えぇー……」
しかし、サイホーンの“スマートホーン”によって、ゴビット達はまとめて突き飛ばされる。1体目が飛ばされた場所へ、積み重なるように落下するゴビット達。道中の戦闘によってサイホーンのレベルが上がっていた事が、容易く彼らを倒せた要因かもしれない。
臨戦態勢を取っていたにも関わらず呆気なく終わった為、思わず止まってしまうハジメ。
「えーと、この扉の鍵を持ってるなら、渡してくれる?」
ゴビット達はコクコクと何度も頷いた。呆気なく飛ばされた事から、実力の差を悟ったのかもしれない。
そうして彼らがハジメに渡したのは、球体の欠片だった。それらを6体分合わせることで、赤黒い球体となる。
「魔力の塊、かな? これを扉の穴に嵌め込めば良いわけだ」
扉の先にあるのは何か。期待と不安の混ざった緊張感を胸に、球体を嵌め込んだ。その瞬間、扉全体に魔方陣が展開され、それが回転することで自動的に扉が開く。
「……行こう」
「グアッ」
ハジメとサイホーンが扉の奥へと入ると、扉がゆっくりと閉じていく。彼らの背を見届けたゴビット達は、所定の位置へと戻って再び眠りについたのだった。
神殿のような建物の中を進むハジメ達。ふと、暗闇の中に光が見えた為、そこへ駆け寄る。
「誰……?」
立方体の結界と思わしき者に封じられていたのは、金髪に紅い眼をした、美しい少女であった。彼女は上半身から下と両手が結界に埋め込まれている。なお、裸ではあるが、胸などは伸びきった髪が丁度よく隠してくれていた。
弱々しい声で、ゆっくりと顔を上げた少女。しかしハジメの顔を見た瞬間、顔を青くした。
「駄目、逃げて!」
「え?」
「“あの子”が、来る!」
その時だった。ハジメの耳がある音を捉えた。
―――キィィィン
「(何だ、この音? まるでジェット機のような……)」
そして、足からジェット噴射をして飛行してきた“それ”は、まるで少女を守るかのように現れた。
「ゴルゥゥゥゥ!!」
現れたのは、ゴビットよりも巨大なゴーレム。だがハジメが驚いたのは、もう一つあった。
「色違いの……ゴルーグだって!?」
封印部屋の守護者との戦いが、始まった。
ゴルーグ、格好良いですよね。ユエの封印部屋の番人として、色違いゴルーグ登場です。