ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

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今回は、いきなりご都合主義があります。
此処でのユエはハジメに惚れていません。と言うことは、トータスに残る可能性が高い。けど天涯孤独にさせるのは彼女にとって酷なのでは?
ならば……親族が生きてれば希望がありますよね?


最終決戦!(4)

 ユエ達の前で倒れ伏した男。肉体は彼女の叔父であるディンリードの物だが、そこに宿っていた魂は偽神エヒトの仲間であるアルヴヘイトであった。降霊術を応用した恵里の手によって、今は肉体と魂は分離されている。

 

「叔父さま……」

 

 悲しそうに呟くユエ。吸血鬼の不老と高速再生の能力持ち、実質不老不死に近い自分をエヒトの手から守ってくれた叔父。肉体は取り戻した。だが、魂は戻ってこない。幸利と恵里はどう声を掛ければ良いか分からなかった。

 その時である。ユエのゴルーグがボールから出てきた。

 

「ゴルーグ?」

 

「ゴル……」

 

 ゴルーグは自分の胸に手を当てる。すると、彼の胸から暖かな光が溢れ出す。やがて手を離すと、そこには光を放つ小さな球体があった。球体は弱々しくゴルーグの手から離れると、ゆっくりとディンリードの肉体へと吸い込まれていった。その光景を驚いた目で見ていたのは、恵里である。

 

「嘘……!」

 

「おい恵里、ありゃあ何だ?」

 

「あの球体は魂だ……! それもゴルーグのじゃない全く別の!」

 

 ディンリードの肉体が光に包まれる。しかしそれも一瞬の事で、やがて彼はゆっくりと目を開ける。

 

「う、んん……」

 

「……叔父さま?」

 

「……ユエ?」

 

「叔父さま!」

 

 ユエは涙を流しながら叔父に抱きつく。初めは呆けたような顔をしていたディンリードだったが、やがて安心した笑みを浮かべた。そんな感動の光景を邪魔する声が入った。魂だけの状態であるアルヴヘイトである。

 

「な、何故だ!? ディンリードの肉体は私が支配していた。魂が持つ魔力量は私のほうが上! 憑依した時点で奴の自我はおろか魂そのものが消失していた筈だ!」

 

「はは……。まんまと私の作戦に掛かってくれたようだ……!」

 

 肉体と魂が馴染みつつあるのか、コリをほぐすように肩を回すディンリード。そして堂々とした振る舞いでユエとゴルーグの隣に並び立つ。

 

「貴様たちの狙いは察していた。解放者たちの手によって『神の力の欠片(プレート)』の一部を失った偽りの神々。不完全となった貴様等には、他の生命と同じように必ず終わりが来る。だが、不老不死に近い特性を持つユエの肉体を依代とすれば、再びお前たちは神々として君臨できるだろうよ……!」

 

 そこで、とディンリードは続ける。

 

「私はユエを封印した。そうすれば次に貴様等が狙うのは、吸血鬼の不老を持つ私となるわけだ。だがタダで肉体を渡すと思ったか?」

 

「まさか……。ゴルーグに魂を移したの!?」

 

「あくまで、彼の自我を消さない程度まで、私自身の魔力を削る必要があったがね」

 

 ディンリードは苦笑いしながらユエの頭を撫でる。一方で憤慨するのはアルヴヘイトである。

 

「おのれ……! おのれおのれおのれ! 神である我らを踊らせたか! 踊らされるのは貴様ら下等生物だ! まだ貴様は肉体が馴染んで居ないだろう。すぐに取り返して……ぐわっ!?」

 

「そもそも、肉体はディンリードさんの物でしょ。往生際が悪いね、お前」

 

 恵里が魔力の糸を伸ばし、アルヴヘイトの魂を縛り付ける。

 

「このまま消滅まで大人しくしてる事だね」

 

「ぐ、ぐぬぬぬぬ……!」

 

 アルヴヘイトは何処までも小悪党なセリフを吐き続けた。

 

 

 

 

 

 アルヴヘイトが敗れた事により、偽神の陣営はエヒトのみとなった。そして彼の手駒であるムゲンダイナも、鎖が数本砕け散り自由を取り戻しつつある。

 

「気に入らぬ、気に入らぬぞ! 限られた命でしか生きられぬ下等な存在が!」

 

「その限られた命はお前もだろうが!!」

 

 エヒトの言葉に大声で叫び返すハジメ。遊戯感覚で文明を滅ぼし、チェス盤の如く人間と魔人族を争わせ、それに反抗されれば気に入らないと不満を垂れる。その振る舞いは神などではなく、我儘な人間と同じであった。そのような存在に下等と呼ばれることに、ハジメは我慢がならなかった。

 

「全て、全て消し去ってくれる! この世界の頂に立つのは我一人だ!」

 

「ギ、ギ、ギガァァァァァァ!!」

 

 残された赤い鎖が怪しく輝き出す。それと同時にムゲンダイナは苦痛の叫びを上げた。そして5本の指と手のひらにエネルギーが収束し始める。未来視によってその先の光景が見えたシアが、悲鳴を上げた。

 

「あれは……! 駄目です皆さん、逃げて!」

 

「シア、無理だ! あの巨体で“ムゲンダイビーム”は避けられない!」

 

「皆で結界を貼るしか……!」

 

「結界でも防げるかな、あれ……!」

 

 香織とミレディが結界を貼るが、エヒトがムゲンダイナのリミッターを解除したせいで、溜まり続けるエネルギーは尋常ではない。元から歪んでいた時空間が更に歪み始める。解放者であるミレディも冷や汗を流す。

 

「消え去れ!!」

 

 そうして“ムゲンダイビーム”が放たれた。

 

 

『リング、お出まし!!』

 

 

 戦場に響く幼い声。それと同時にハジメ達の前に巨大な『リング』が現れた。“ムゲンダイビーム”はその中に吸い込まれていく。

 

「え?」

 

「何ぃ!?」

 

 金色のリングは極太のビームを吸い込み終わると、その輪を閉じる。そしてムゲンダイナとエヒトの頭上に再び開かれた。放たれた筈のビームはそのまま彼らに降り注ぐ。

 

「ギギャァァァァァァァ!?」

 

「ぐ、お、おおおおおお!?」

 

 大きなダメージを負ったムゲンダイナは墜落する。エヒトも煙をあげて地面に落ちた。

 

「今のは……?」

 

「あのリング……、僕の記憶が正しければフーパの……」

 

 困惑するハジメ達の目の前に、今度は人間サイズのリングが開かれた。そこから現れたのは……

 

「ハジメ!」

 

「光輝! 浩介に、みんなも!」

 

「香織、無事!?」

 

「雫ちゃん!」

 

 光輝、龍太郎、雫、浩介に鈴の勇者チーム。更にリングから出てくる人影があった。

 

「はじめまして、だな」

 

「貴方は……」

 

「魔人族にてこれまでの戦闘指揮をしていた。フリードと言う」

 

 フリードが胸に手を当て、小さく頭を下げる。ハジメも会釈した。

 

「ハジメです。よろしくお願いします」

 

「よろしく頼む。そして……久しいな、イベルタルよ」

 

 フリードがイベルタルに目を向ける。最初は睨んでいたイベルタルであったが、フンと鼻を鳴らした。

 

『偽神の呪縛から放たれたか。償うというのなら戦え』

 

「勿論だ。……フーパ!」

 

 フリードが呼ぶと、リングを展開した主であるフーパが彼の元へとやって来た。

 

『はいよ!』

 

「力を貸してくれ」

 

 フリードが取り出したのは、奇妙な形をした壺。それを見たフーパは笑みを浮かべる。

 

『キシシ! 勿論だとも、此処まで来たからにはもう相棒も同然さ! さぁさぁ、久々に本気出そっかなー!』

 

「解き放たれよ、フーパ!!」

 

 壺から放たれたエネルギーが、フーパを包みこんだ。

 




仲間たちが次々と参戦。次回、決着です。
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