ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

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大変長らくお待たせしました。ミアレシティを冒険してました。それと同時に、「最終決戦とは言えこんなに沢山のキャラやポケモンを全て活躍させる事が出来るのか」という悩みもあって、手が止まっていたのも事実です。
結論として、とにかく書きたい展開を書く。そう吹っ切って書き上げた今回です。


決着

 エヒトとムゲンダイナとの戦いの中、ハジメ達のもとへ駆けつけた光輝達と魔人族のフリード。それは、永い時の中で漸く訪れた、種族の垣根を越えた共闘でもあった。

 

「おのれ……。まだだ! まだ終わりはしない!」

 

 エヒトはムゲンダイナの体へ伸びている赤い鎖を握りしめる。鎖が怪しげな光を放つと、ムゲンダイナは再び苦悶の声を上げた。

 

「ガギィィ……!」

 

「まだ動けるのか!?」

 

「だがあの様子では、限界も近いだろう……」

 

 光輝がエヒトの足掻きに驚き、フリードがムゲンダイナの限界を悟る。それを聞いたハジメは頭脳をフル回転させ、戦略を話す。

 

「鎖だ、あの鎖を壊そう! ムゲンダイナ自体が弱ってるなら、抵抗するのはエヒトだけだ!」

 

『ふはははは! ならばオイラも遠慮なく行くぞ!』

 

 フリードの隣に降り立つは、戒められた力を解き放たれたフーパ。しかしその姿は、幼さのある姿から一変。厳つい顔に宙に浮かぶ6本の腕を持つ、巨大な魔人と化した。しかしテレパシーの声色は低くなったものの、その性格は無邪気であった。

 

『オイラが先駆けだ! “いじげんラッシュ”!!』

 

 フーパが光輪を投げ飛ばし、鎖に向けて拳によるラッシュを決めていく。ムゲンダイナは身動ぎするが、抵抗として“りゅうのはどう”を光輪に向けて放った。

 

『うおお!? さっきのお返しと言いたいのか!?』

 

「フーパ、大丈夫か!?」

 

『なめるなよフリード! この姿のオイラはまだまだ戦えるとも!』

 

 光輪を通して反撃を受けたフーパ。予想外の反撃に体勢が崩れそうになる。そこを駆け抜けるのは2つの青い影。2つの影が高く跳び上がり、ムゲンダイナの体に着地した。

 

『はぁぁぁぁっ!』

 

「ケルディオ、“しんぴのつるぎ”! リオル、“バレットパンチ”!」

 

 光輝と共に歩んできたポケモン、ケルディオとリオル。2匹がフーパが攻撃していた鎖に攻撃を叩き込む。すると、赤い鎖は光を失いひび割れていく。

 

「もう少しだ!」

 

 だが、ムゲンダイナはその身を大きく回転させる。あくタイプの“ぶんまわす”攻撃である。かくとうタイプを持つ2匹に効果はいまひとつであっても、巨体故に攻撃範囲は広い。

 

『うわぁぁ!?』

 

「ケルディオ、リオル!」

 

 体から振り落とされるケルディオとリオル。その時、リオルの体が光り輝いた。進化の光である。

 

「これは……!」

 

「……ルオオオオオン!!」

 

 咆哮を上げたのは、はどうポケモンのルカリオ。突然の進化に驚いているエヒトを睨みつけると、そこに“はどうだん”を撃ち込んだ。ポケモンの攻撃にエヒトは直ぐに防御魔法を発動するが、その隙を逃さない者達。

 

「ワンリキー、“かわらわり”だ!」

 

「パチリス、結界が割れたら“でんじは”!」

 

 龍太郎のワンリキーがチョップして結界を破壊した。そこへ鈴のパチリスが素早く駆け抜け、エヒトに“でんじは”を浴びせる。

 

「がぁっ……!? 小癪な……!」

 

 体が痺れ膝をつくエヒト。だが完全に動けない訳では無い。赤い鎖に魔力を流し込んでムゲンダイナに攻撃を指示する。ムゲンダイナが咆哮を上げると、空が光り始める。見上げたハジメ達の視界に入ったのは、此方へ迫ってくる大量のエネルギー弾。

 

「まさか、“りゅうせいぐん”!?」

 

「エルレイド!」

 

 雫がキーストーンに手を触れる。二重螺旋の光にエルレイドが包まれると、メガエルレイドへとメガシンカする。

 

「シア、アブソル。力を貸して頂戴!」

 

「勿論です! アブソル、連続で“つじぎり”ですよ!」

 

「エルレイド、連続で“サイコカッター”!」

 

 メガアブソルとメガエルレイドが飛び上がり、“りゅうせいぐん”によるエネルギー弾を次々と切り落としていく。だが、ムゲンダイナは空中にいた2匹に向かって“かえんほうしゃ”を放とうとしていた。

 

「2人とも危ねえ! ケロマツ……“ハイドロポンプ”だぁ!」

 

「ゲコォッ!」

 

 浩介のテッカニンに運ばれ、高圧水流を発射した。炎と水とが相殺し白い爆発を起こす。その煙から進化の光があふれ……ゲッコウガが飛び出した。

 

「ゲコゥガ……!」

 

「うおおお!? 一気に進化したのかお前!?」

 

 ハルツィナ大迷宮をクリアした後に仲間になったポケモン達は、ゲットした時点で高レベルであった。既にレベルとしての進化条件を満たしていたのである。驚愕する浩介にゲッコウガは小さく頷くと、“みずしゅりけん”を放って残りのエネルギー弾を破壊した。そのままシュタッと音を立てて着地する。その姿はまさに忍者であった。

 

「ありがとう、浩介くん」

 

「ん? お、おう(あれ? いま俺のことを名前で……?)」

 

 一方、エヒト側への攻撃は幸利達へとチェンジしていた。

 

「“でんじは”の麻痺は解けたようだが、まだお前に動きはやらせねぇよ!」

 

「カゲボウズ、“したでなめる”攻撃!」

 

「ぶわっ!? きさ、ま……!?」

 

「おっとアルヴヘイト。余計なことしたらミミッキュの“シャドークロー”が炸裂するぜ?」

 

「っ……!」

 

 再度麻痺で動けなくされたエヒト。エヒトに従っていたアルヴヘイトが動こうとするも、恵里のミミッキュが目を光らせており動くことが叶わなかった。

 

「本当は俺たちもぶん殴れれば良かったが……」

 

「それはボクらのリーダーに任せようかな」

 

 チラリと視線を向けたその先には、飛行するゴルーグに乗るハジメ達の姿があった。

 

 

 

 

 

 仲間たちが突破口を開き、ユエ、ハジメ、香織はゴルーグに乗ってムゲンダイナを縛る鎖に向かう。赤い鎖から与えられるエネルギーによってムゲンダイナは苦しみ、それから逃れようと様々な技を繰り出してきた。

 

「ゴルーグ、右に避けて!」

 

「ゴルッ!」

 

「ピンプク、“ひかりのかべ”!」

 

「プクッ!」

 

 “ベノムショック”を放ってくる龍の頭。ゴルーグには効果がいまひとつであっても、乗っているハジメ達に当たればタダでは済まない。ユエの指示通りに回避しながらも、ピンプクが防壁を展開する。

 

「そのま突っ込んで鎖を壊す! ゴルーグ、“れいとうパンチ”!」

 

「ゴルゥゥゥ!」

 

 足のジェット噴射を強め速度を上げるゴルーグ。拳がパキパキと音を立てて凍りつき、鎖に突撃する。そのまま“れいとうパンチ”が命中し、鎖は砕け散った。

 

「あと……1本!!」

 

 ハジメはボールを握りしめる。目の前に見えるは、より濃い光を放つ赤い鎖。他の鎖が砕けた事で、ムゲンダイナを束縛するエネルギーが集中しているのだろう。握るボールの中身は、このトータスで初めて会ったポケモン。

 

「(プロテクターもない。通信交換と同じ環境でもない。だけど……!)」

 

 ハジメはボールを投げる。

 

「行くよ、相棒!!」

 

 ボールから姿が現れる。その瞬間、進化の光が溢れ出た。

 

 

「ドッ、サァァァイドォォォォン!!」

 

 

 鉄球を思わせる丸い先端の尻尾。オレンジ色のプロテクター。厳つい顔に生えたドリル。いま、ハジメのサイドンは、ドリルポケモンのドサイドンへと進化を遂げた。厳ついながらも、ハジメを一瞬見たその目は優しいものであった。

 

「狙うはあの鎖! ドサイドン!」

 

 ボールから空中へ飛び出たドサイドンは構える。ハジメは指鉄砲を赤い鎖へ向けた。

 

「“つのドリル”!!」

 

 自身の身体を回転させ、頭のドリルも回転し、赤い鎖とぶつかり合う。火花が飛び散りギャリギャリと音を立て、一瞬だけ拮抗するも……

 

「馬鹿、な……!?」

 

「よぉし!!」

 

 パキン、と音を響かせて最後の鎖が砕け散った。

 

 

 

 

 

 赤い鎖が砕け散り、エネルギーの供給が止まる。見上げるほどの巨体であったムゲンダイナは、その姿を徐々に変えていく。巨大な手のような姿から、龍の骸を思わせる姿へと変わる。

 

「クオォォォン……」

 

「何とか解放出来たけど……」

 

「私に任せて」

 

 香織が手を翳し、ムゲンダイナに治癒魔法をかける。目に見える傷は瞬時に癒えていく。ムゲンダイナは戸惑いの気配を放つが、やがて穏やかなものへと変わると空へと飛び立つ。

 

「オオオオオオオオオオ!!」

 

 咆哮を上げた瞬間、ムゲンダイナに赤いエネルギーが収束する。それを見た光輝たちは構えた。

 

「まさか、また……!?」

 

「ううん。あれは……トータスに溢れたエネルギーを吸収してるんだ」

 

 禍々しく赤色に染まった空は、月夜へと変わっていく。完全にエネルギーを吸収し終えたムゲンダイナはハジメを一瞥すると、そのまま更に空へと飛び立っていった。

 

「良かった……。ムゲンダイナを助けられて」

 

「何故だ!」

 

 大声のした方へ振り向くと、エヒトが拳を握りしめ睨みつけていた。

 

「あれはプレートを奪われる前に作り上げた、神の鎖だぞ! 神の鎖が砕け散る筈がない! 完全物質たるあの鎖が……!」

 

 

『我の力を過信したな、エヒトよ』

 

 

 響き渡る声。夜空に眩い光が現れる。そこから姿を見せたのは……宇宙創造のポケモン達。

 

「アルセウス」

 

 ハジメはその先頭に立つポケモンの名を、呟いた。




ハジメのドサイドンの進化は、漫画『ポケットモンスターSPECIAL』でのイエロー編のラストを参考にしました。イエローの手持ちにいたポケモンが通信交換無しに進化したシーンがあります。
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