ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

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お待たせしました。アニメ『ポケットモンスター テラパゴスのかがやき』より、オープニングテーマ「ハロ」が、個人的には本作品のエンディング曲と思っています。


エピローグ/プロローグ

 トータスでの別れから5年。元聖教教会の施設であったその建物に、3人の人物がいた。

 

「アルセウスからのお声がけで集まりましたが……」

 

 ウサギの耳が生えている女性。かつては虐げられる存在であった亜人族のシアは、アブソルと共に居た。亜人族代表となった今は、他種族とポケモンとの共生を指導する立場である。

 

「間違いない。きっと、やる事を終えたんだと思う」

 

 絢爛ながらも無駄のないドレスを着ているのは、吸血鬼のユエ。その胸元には魔人族の国の紋章があしらわれたブローチを着けていた。今はこの場に居ないフリードを側近としながら、叔父のディンリードと共に魔人族を導く立場にある。選民思想の強い国家であるらしいが、そこは彼女自身でボコボコに矯正したようだ。

 

「ドサイドン達も、何処かソワソワしていました。もしかしたら予感しているのかもしれません。再会の時を」

 

 ダークライを傍に控えているのは、()()リリアーナ。彼女自身の働きとカリスマにより、父より王位を受け継いだ若き頂点。エヒトが消えたとは言え、魔法が消えるわけではない。何より長い歴史の中で人々に根付いた宗教を消し去るのは困難であった。リリアーナは就任して早々、政教分離として王家と切り離し、宗教による政治の影響力を削いだ。大司教にも差別意識の無い人物が就任したため、聖教教会はマトモな組織になりつつある。

 

 彼女達の前にあるのは、5年前、異世界より勇者たちを召喚した魔法陣。彼らの意思とは無関係にトータスへと呼び寄せたそれは長い間封印されていた。

 しかし、彼らと関わりのあった数名に突如、声が響いた。

 

『宇宙を救いし者達が、帰ってくる』

 

 その厳かな声を彼女達は忘れたことがない。このトータスにおける真の神、アルセウス。彼女たちはすぐに、件の召喚陣の前へと集合したのだ。

 彼らと会ったら、何を話そう。3人が考えていると、召喚陣は光り始めた。

 

「来た!」

 

 部屋が光に包まれたのも一瞬のこと。元の明るさに戻った部屋の中でユエ達が見たのは……

 

「「テメェこの野郎、大事なことは早く言いやがれ!」」

 

「痛い痛い痛い痛い! 締まってる、締まってる! ギブ、ギブ!」

 

「そこは笑顔で『ただいま』ですよねぇ!?」

 

 幸利と浩介に関節技を極められてるハジメの姿であった。

 

 

 シアのツッコミにより解放されたハジメ。感動の再会となる筈が一気に崩れてしまい、リリアーナからジト目を向けられている。

 

「で、どうしてハジメは締められてたの?」

 

「それが聞いてよ!」

 

「南雲君ったら、とんでもない事隠してたのよ」

 

 この場にいる地球組のメンバーはハジメ、香織、幸利、恵里、浩介、雫、龍太郎、鈴、光輝だ。

 

「とんでもない事?」

 

「それは、そのぉ……」

 

 ハジメが気まずそうな顔をして話し始めた。

 

 

 

 

 

 トータスのアルセウスより上位の存在、仮称「上位アルセウス」から、宇宙を救った褒美として願いを叶えてもらえる権利を与えられたハジメ。

 

「僕の願いは……」

 

 ハジメが言葉にしたのは、小さいながらも人間には大きな願い。

 

「地球とトータスを、行き来できる力が欲しい」

 

『ほう?』

 

「それも僕たちが地球でやるべき事を終えたら。高校を卒業して、大学卒業も含めると……5年後だ。5年後にその力が欲しい」

 

『一度帰還したとしても、すぐに戻れば良いのでは? 5年後という縛りを設ける必要は無いでしょう』

 

「それじゃあ駄目なんだ。そんな事をしたら、ドサイドン達に会いたくなって何度も往復してしまう。……地球でやるべき事を終えてからじゃないと」

 

『なるほど。しかしそれだけで良いのですか? 貴方が兄と慕った存在を蘇らせることも出来ますが』

 

「地球と異世界との行き来だけで、十分欲張っているさ。それに……ゼンセ兄さんはきっと、何処かで生まれ変わっている筈だから」

 

『……分かりました。では、要望の通り5年後、トータスと地球とを行き来する力を授けましょう』

 

 

 

 

 

 ハジメが話し終える。リリアーナ達はポカンとしていた。

 

「え、じゃあもし縛りを設けてなかったらすぐに帰って来れていたんですか!?」

 

「いや、でも、出来れば大卒とか最終学歴は必要だろうし……」

 

「にしたって俺たちにも隠さなくて良かったじゃねえかこの野郎!」

 

「ぬあぁぁぁぁ! 光輝、痛い痛い! こめかみグリグリは痛い!」

 

 再びハジメへの制裁が始まる。しかしリリアーナは小さく咳払いをした後、パンと手を一度だけ鳴らす。

 

「経緯はどうであれ、ハジメさん達は来てくれました。それはつまり……ドサイドン達にも会うのですね?」

 

「も、勿論です!」

 

「では、どうぞ此方へ」

 

 扉が開かれ陽の光が射し込んでくる。その中に見えた大きな影に向かって、ハジメは走り出した。

 

 

「ドサイドン!」

 

「グオオオオオオン!!」

 

 

 

 ポケットモンスター、縮めてポケモン。それは、不思議な不思議な生き物。その数は100、200、300、いや、それ以上かもしれない。

 

「楽しみだなぁ! どんなポケモンを見れるんだろう!」

 

 ポケモンは空に、森に、海に、街に、様々な所で暮らしている。

 

「さあ、新しい世界を見に行こう!」

 

 今日も何処かで、冒険が始まる。

 

 そして―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《間もなく、ガラル地方に到着します》

 

「……生! 先生!」

 

「む……? あぁ、ツツジ君か」

 

「もう少しでガラル地方に到着しますよ! 今回の発掘調査、楽しみですね!」

 

「……そうだな」

 

「? どうかしたんですか?」

 

「……不思議な夢を見たよ。1人の男の子が、泣きながら俺に手を伸ばすんだ。いつもその手が届かない所で、夢が終わるがね」

 

「まあ……」

 

「だが、もし彼と出会えたならば、こう伝えようかな」

 

 

――心配するな。俺は元気でやってる。

 

 

 人とポケモンの数だけ、世界があり、物語がある。

 

 今日も何処かの宇宙で、ポケモンの物語は続く。

 

 続くったら、続く。

 

 




不定期な更新でしたが、たくさんの評価、お気に入り登録、感想と、多くの方々に読んで頂いて本当に嬉しかったです。ありがとうございました。色々詰め込みましたが、書きたいことを書き、思い描いていた結末を書けました。
これにて、本編は完結となります。……そう、「本編」は。

新規小説も考えていますが、此方でのアフターストーリーも計画中です。では、また何処かの作品かアフターストーリーでお会いしましょう

アフターストーリーにて書いてほしい内容は?

  • ウルトラビースト編
  • 災厄の宝編
  • パラドックス編
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