実は本作が完結後、一種の燃え尽き症候群に近い状態と言いますか、書いても書いても「何か違う……」という状態に陥っておりまして……。
他にも、ぽこポケでボロボロの街を直してみたり(ゼロから建築ではなく残骸を立て直す派)、pixivに潜ってツイステッド・ワンダーランドを読んでたり(タグ∶オンボロ寮の伝道者とか)……。
とにかく、更新を長く持たせてしまい申し訳ありませんでした!
ハイリヒ王国より離れた平原。そこにハジメ達は居た。彼らが見つめる先には、『空間に切り取られた穴のようなもの』がある。
「あれが『ウルトラホール』……」
「あそこから、ウルトラビースト?ってのが出てきたのか。無闇に近付くのはヤバそうだな」
「近付けば吸い込まれるって、見て判るものね……」
ハジメに同行しているのは、香織と浩介と雫。香織はハジメと共にトータスへ戻って来た後、キズぐすり等の製薬を行ないつつ彼のサポートに回っている。また、かつての冒険で治癒師として活躍した経験を活かし、ポケモンの治療法を研究する立場にある。
浩介は、トータスに戻って来た後、ハジメの研究をサポートする為に冒険者を続けている。そして、実は地球へ帰還後に雫から告白を受けた。今では雫がトータスで開設した道場で、持ち前の影の薄さを活用した忍術を編み出している。
雫は、トータスで道場を開いた。地球で培った八重樫流を基に、その心構えをポケモンバトルに活かそうと考えた結果である。今はまだポケモンを相棒としたトレーナーが少ないのが現状だが、いずれは増えるだろうと確信している。
そんな4人が、なぜ平原に居るのか。それはウルトラビースト『ツンデツンデ』の目撃情報が多い場所だからである。
「ツンデツンデは、いわ・はがねタイプ。ぱっと見た感じは只の石垣に見えるけど、近付くと動き出すんだ。この平原だったら目立つ筈だけど、元いた世界ではそう言う石垣みたいなのが多い環境だったのかもね」
「写真見せてもらったけど、大きさは相当だったぞ。5メートル位はあるんじゃないか?」
「そんなのが沢山いる世界って……」
ハジメは更にツンデツンデの情報を更新していく。
「それでも、他のウルトラビーストに比べたら格段に大人しい部類だよ? そもそもツンデツンデって、単眼のついたレンガみたいな生き物が集まった姿なんだ」
「え!? 小さい生き物が集まってるの!?」
「集合体恐怖症の人が出会ったら発狂しそうね……」
「だけどそうか。ちっこいのが集まって擬態してるって事は、元々は臆病か警戒心が強いって事か」
「だからこそ、いきなりこの世界に迷い込んで、困惑しているかも。それにあくまで大人しいだけであって、不用意に手を出したら威嚇もするし、巨体や体重を活かして攻撃もしてくる。早いところウルトラホールの向こうに返してあげないと」
ハジメに取って、文字通り魂の兄弟であったゼンセ。彼の遺していった知識によれば、ウルトラビーストは他のポケモンよりも脅威の存在として扱われている。確かに彼らの生態は、人間から見ると恐ろしい。ウツロイドの神経毒、アクジキングの暴食性、カミツルギの斬れ味……。しかしそれは、自分たちの世界のポケモンも同じだ。冷静に考えれば、雷を放ったり炎を吐いたりしてくる生き物など恐ろしい。
この世界においてもポケモン達は人間に牙を向く。古傷が痛んでいた、子供が傷付けられたなど様々な理由がある。ウルトラビーストからすれば、『縄張りから遠ざけられ訳のわからない場所に放り込まれた』も同然なのだ。困惑し、パニックになるのも致し方ない。
「人間側の被害は最小限に、ウルトラビースト達は元の世界に返す。両方やらなくちゃいけないね」
「だけど、お前にとっては辛くもないし、大変な覚悟は出来てるんだろ?」
「さすが浩介、僕のことよく分かってる」
軽口を叩いている内に、4人の足が止まる。平原には不釣り合いな石垣。ハジメがゆっくりとしゃがんで姿勢を低くすると、香織たちもそれに続いた。
ツンデツンデはその場に佇んでいる。向こうが動いていないのに此方から先制攻撃すると、ツンデツンデは此方を敵と認識して排除しようとするだろう。念の為にと各々相棒ポケモンを連れてはいるが、無闇な戦闘は避けるに限る。
「あ、動いた」
「石の部分が何個か裏返って、目みたいなのが見えたな」
「周囲を伺ってるんだと思う」
「移動とかじゃ無いんだ……。どうするのハジメ君。私達もずっと待ち続ける訳にもいかないし……」
香織が尋ねると、ハジメは顎に手を当てて考える。
「アニメでの方法を試してみるか……?」
アニメに登場した個体は、振り落とされずに体に乗り続けた者をリーダーか何かと認めるらしい。未知の部分が多いウルトラビーストである為確証は無いが、方法が無い訳ではない。
「ドサイドン」
「ドッサイ」
ハジメは相棒であるドサイドンをボールから出す。何やら慎重なことをしているなと感じ取ったドサイドンは、出番の喜びもそこそこに声量を押さえた。空気の読める子なのである。
「僕をあそこまで飛ばせる?」
「ドサイ!?」
「何を言ってるのよ!?」
「ちょっと試したい事がある。ゼンセ兄さんの記憶に方法があるんだ」
「だったら手数が多いほうが良いだろ。ゲッコウガ!」
「コウッ!」
「ならこっちは、エルレイド!」
「エル!」
「もう〜、しょうがないなぁ。ハピナス、手伝って!」
「ハピ〜♪」
全員が相棒を繰り出す。かつての冒険でピンプクだった香織のポケモンも、またたく間に進化してハピナスとなっていた。
ハジメの作戦を聞くと最初はポカンとしていたものの、「まあ色々試そう」という結論に至った。その結果、ハジメはドサイドンの手に乗り、ゲッコウガとエルレイドは香織のハピナスの手にそれぞれ足をかける。彼女はかつての冒険で、ハジメのサイドンを投げ飛ばした実績を持つ怪力なのである。
「ドサイドン、“がんせきほう”の要領で僕を吹っ飛ばして!」
「ドッサイ、ドォォン!!」
「ハピナス、ゲッコウガとエルレイドを投げ飛ばして!」
「ハッピナス!」
「うおおお! いっけぇぇ!」
ドサイドンの掌には穴が開いており、瞬間的に内部の筋肉を膨らませて弾丸となる岩を発射する。その要領でツンデツンデの上までハジメは吹っ飛んだ。無事に1人と2匹はツンデツンデの頭上に着地する。
「ツン……? ン、デ、デ……!!」
その瞬間、レンガ状の岩らしき物で構成された四つ足が現れる。
「こうやって見るとデケェなおい!?」
「エルレイド、気をつけて!」
所々に見える目と思わしき物は青色から赤色へと変わり、低い唸り声を上げながら、その場で足踏みを始める。5メートルはある巨体が揺れれば、その動きは大きな物となる。
「わ、わわっ!」
「コウッ!?」
「エ、ル……!」
ハジメ達は何とかバランスを取ろうとする。ゲッコウガとエルレイドは、その戦闘スタイルから体幹バランスは良い方だ。しかしハジメは人間である為、2匹に比べると身体能力は低い。
「うおっとととと!?」
「コガッ!」
揺れる中でバランスを取ろうとするあまり足がもつれ、そのままハジメは落下しそうになるが、その寸前にゲッコウガが自慢の長い舌を伸ばしてハジメを捕らえた。エルレイドが“ねんりき”で彼の姿勢を直す。
「ありがとう……およ?」
すると、ツンデツンデの頭上に足をつけ続けていた為か、彼の動きが次第に収まっていく。
「ン、デ……」
「……大人しくなった?」
「マジかよ、本当に大人しくなりやがった……」
まさかこんな方法で解決するとは。一部始終を見ていた3人の感想は見事に揃っていたのだった。
ハジメ達を認識したツンデツンデ。幸いにもウルトラホールはまだ開いており、ハジメは彼に声を掛けていた。
「ツンデツンデ。此処は、君が元いた世界じゃないんだ」
「ンデ……」
「分からない場所にいきなり来てしまって不安だよね。だけど、あの穴を通っていけば、君のいた世界へ帰れるよ」
「ツンッ!」
ハジメの言葉を理解したのか、ツンデツンデは足を真っ直ぐに立てて背伸びをする。するとウルトラホールの吸引範囲に入ったのか、ツンデツンデの身体が浮遊する。普通ならば身体が浮かぶことに戸惑う筈だが、彼は元の世界に帰れると安心しているのか足を折り畳み、石垣に擬態する姿勢になった。
「ばいばい、ツンデツンデ!」
ハジメが小さく手を振ると、ウルトラビースト特有の鳴き声を上げて、ツンデツンデはウルトラホールの中へと完全に吸い込まれていった。やがてホールはゆっくりと閉じていく。
「……はぁぁ、緊張した」
「今回は大人しい部類だったから良かったね」
「これは、冒険者ギルドに掛け合って情報共有しないといけないな」
「門下生たちにも、注意するとしましょう」
事態を解決し、安堵の息を吐く一行。しかしハジメは、すぐに一抹の不安を抱いた。
「(ウルトラボールはまだ出来ないけど、開発を急いだ方が良いよね? テッカグヤとかアクジキングとか来たらかなり大変かも……)」
登場するウルトラビーストに、特に順番とかは決めていません。パッと思いついた子が居れば、その子を中心に書こうと思っています。
アフターストーリーにて書いてほしい内容は?
-
ウルトラビースト編
-
災厄の宝編
-
パラドックス編