ハジメ達とゴルーグとの戦いは、激しいものとなっていた。サイホーンの攻撃手段は地面タイプや岩タイプの物が多く、ゴルーグへ有効打を決められずにいた。
「ゴォォォ……!」
「“きあいパンチ”か! サイホーン、“スマートホーン”」
「グルァァァァ!!」
鋼タイプの技は通るのか、それなりにダメージを与えられた。だが向こうも意思を持っている存在。ゴルーグは片手で押さえ込み、そのままパンチを放とうとしていた。
「させない! 錬成っ!」
「ゴッ!?」
相手の足元を片方だけ穴を開ける。そのままゴルーグはバランスを崩して転倒した。
この戦いで、ゴルーグの事を知っているであろう少女は、技の指示をしていない。それどころか必死に叫んで止めようとしている。
「ゴルーグ止めて! お願い! 貴方にこんなことして欲しくない!」
ゴルーグは少女の方へと振り向く。だがそれも一瞬だけで、すぐにハジメ達へと向き直ると、目の部分を光らせる。
「ヤバい、“ラスターカノン”か! “まもる”だ、サイホーン! 僕も防御する!」
ハジメが錬成で壁を作り上げると同時に、銀色の光線が放たれた。それは土壁を次々と貫き、サイホーンに命中する。
だが、うっすらとサイホーンの体を光が包みこみ、その攻撃を防ぐ。だがその威力は、体重のあるサイホーンすら後ずさる程だった。
「グウウウッ!」
「ゴル……」
耐えきった2人を見て、ゴルーグの猛攻が止まる。ハジメは警戒したが、その気配はまるで……
「(僕たちを……試してる?)」
静かになったタイミングで、ハジメは少女へと顔を向ける。
「ねえ。このゴルーグは君の仲間なの?」
「……元々は伯父様に仕えてた。けど、私が封印されてから、この部屋に来た」
「君はなんで、封印されてるの?」
「……分からない。国を治めてたのに突然、お前はいらないって言われた。先祖返りの力で、傷も勝手に治る。だから化け物だって……」
「ま、待って、なんか凄そうなワードがちらほらあるんだけど?」
「ゴルーグが居てくれた。寂しくはなかった。でも……外に出たい」
本来の歴史ならば、それなりにドライな反応をするであろう場面。だが、この世界のハジメは孤独では無かったし、今では相棒もいる。所謂「魔王化」を回避していたハジメは、純粋に助けたいと思っていた。
「僕も、外へ繋がる出口を探してるんだ。良かったら一緒に行くかい?」
「……良いの?」
「まあ、その前に……番人に認められる必要がありそうだけども!」
「ゴルゥゥ!!」
ゴルーグが再び動き出した。今度は“シャドーパンチ”を放ってくるらしい。
「“メガホーン”!」
黒い霧のような物を纏った拳と深緑色に光る角がぶつかり合う。だが、この時ハジメは指示を出すと同時にゴルーグの後ろへと回り込んでいた。
「取った! 食らえぇ!」
「ゴッ!?」
錬成によって岩の棘が生成され、ゴルーグの背中を押す。強度の関係で突き刺すことは無かったが、再び転倒する分には問題無かった。すかさず指示を出すハジメ。
「“かみくだく”攻撃!」
「ガァァァブッ!!」
「ゴルルルルル!」
ゴーストタイプにとって、悪タイプの技は効果抜群。今までに無い絶叫を上げて、ゴルーグは跪いた。
「はぁ、はぁ……!」
「ゴルーグ……もう、止めて……!」
「………………」
ゴルーグはゆっくりと立ち上がると、少女の元へと近付いた。そして立方体へと手をかざすと、光が発せられる。
「ゴォォ……!」
「結界が……! ゴーストタイプによる力なのか……?」
すると、彼女を封じていた立方体が徐々にひび割れていき、遂に砕け散った。
「あっ……」
危うく地面に叩き付けられそうになり、ハジメが受け止めようと駆け寄る。だがその前に、ゴルーグがその大きな手で受け止め、優しく地面に下ろした。
「……ありがとう、ゴルーグ」
少女の言葉に、番人は静かに頷いた。
無事に封印解除まで書けました。
それでは、次回をお楽しみに。