ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

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連戦

 オルクス迷宮の探索はまだまだ続く。ハジメ達が次にやって来たのは、熱帯雨林のようなエリアだった。ユエと出会う前の、トロピウスと戦闘した時とは異なり、ジメジメとした湿気と暑さが2人を不快にさせた。

 

「気持ち悪い……」

 

「まあこの暑さと湿気はなぁ……」

 

 その時、ガサガサと草むらが揺れた。2人が警戒すると、そこから飛び出てきたのはマダツボミであった。

 

「マダツボミか……」

 

「知ってるの?」

 

「名前にツボミって付いてるけど、フラワーポケモンって呼ばれてる。足の根っこで歩いたり、水分を補給するのさ」

 

「ハジメ、魔物……じゃなくて、ポケモン?に詳しいんだね」

 

 ユエは道中、ハジメが魔物をポケモンと呼んでいる事を知った。彼曰く「元の世界で夢として出てきたポケモンと、この世界の魔物と呼ばれる存在は同じ」とのこと。そしてゴルーグも、そのポケモンの一種なのだという。確かに、ユエにとってゴルーグは大切な仲間。魔物と呼ばれるよりは、ポケモンと呼ばれた方が愛着が湧く。

 

「けどマズイな。この熱帯雨林エリア、マダツボミが居るってことは、たぶん親玉が居る」

 

 その時だった。2人の鼻を、とても甘い匂いが刺激した。それに釣られてしまったのはユエである。

 

「良い匂い……」

 

「ユエ!? ま、待つんだ! これは罠だ!」

 

「グル……」

 

「サイホーンまで!? やっぱり、これは“あまいかおり”か!」

 

 そう、ハジメの言う通りこれは罠であった。ゴルーグに効いていないのは、“あまいかおり”がノーマルタイプの技であって、ゴーストタイプを持つゴルーグは無効化されたようだ。

 

 フラフラと匂いのする方へ歩くユエとサイホーン。すると彼女の足に植物のツルが絡み付いた。

 

「え? キャアァァ!」

 

「しまった、遅かった!」

 

 ユエの片足を持ち上げたのは、ポケモンであった。その名も、ウツボット。ハエとりポケモンとも呼ばれている。

 

「ごめん、ハジメ……!」

 

「甘い匂いで獲物をおびき寄せるのが、ウツボットの生態だ! ユエ、炎の魔法は出せる!? 奴は草タイプだから炎が弱点だ!」

 

「っ! “緋槍”!」

 

「ウボォ!?」

 

 幸いなことに、ツルが巻き付いたのは片足だけであった。すぐに炎を槍にしてツルを切り裂いた。炎に悶えた瞬間を見逃さない。

 

「サイホーン、“ロケットずつき”!」

 

「グルァァ!!」

 

 ゴルーグに拳骨を落とされて正気に戻ったサイホーンが、ハジメの指示によって技を繰り出す。ウツボットが突き飛ばされた事によって、ユエが口の中に落ちることを防げた。

 

「ありがとう、ハジメ、サイホーン」

 

「お礼を言ってる暇は無いよ。ここ……ウツボット達の縄張りみたいだ」

 

 ハジメ達の周りを、ウツボットにウツドン、マダツボミと一斉に囲んでいる。ユエとハジメは構えたが、意外にもあっさりと解決した。

 

「ゴルゥゥゥ……!」

 

「「「ツボッ!?」」」

 

 ゴルーグが拳に炎を纏わせる。“ほのおのパンチ”の構えだ。動物であり植物でもある彼らにとって、その威嚇は効果が抜群だった。ゆっくりとハジメ達から離れていく。

 

「ゴルーグ、貴方って凄いのね」

 

「ゴル!」

 

 脅威は去ったが、このエリアは危険だと判断して、一行は次のエリアへと向かった。

 

 

 

 

 

 熱帯雨林を抜けて辿り着いたのは、またもや洞窟。しかしかなりの広さがあり、すぐに戦闘が始まってもおかしくなかった。

 

「ハジメ、何か来る……!」

 

「3匹……?」

 

 今までは、エリア1つにつき階層主とも言えるポケモン1体との戦いが多かった。しかし彼らの目の前にいるポケモンは3匹いる。

 

 まずは三つ首が特徴的なポケモン、きょうぼうポケモンのサザンドラ。

 

 次に、派手な鱗に覆われたドラゴンタイプ、うろこポケモンのジャラランガ。

 

 そして最後は意外なことに、ドラゴンタイプと言う法則から外れたポケモンであった。しあわせポケモンのハピナスである。

 

 いずれもハジメの前世知識とは違う、大型個体である。

 

「ハッピィ~!」

 

 ハジメ達が仕掛けるよりも先に動いたのは、ハピナスだ。彼女が味方を守るかのように、半透明な光る壁を展開した。

 

「ちぃっ、“ひかりのかべ”……! ハピナスはサポート役ってことか!」

 

 そこへジャラランガがゴルーグへと迫る。拳に炎を纏っていることから、“ほのおのパンチ”を出すつもりらしい。

 

「ゴルーグ、防いで!」

 

「ゴルッ!」

 

 腕を交差させることでパンチを防いだゴルーグ。この時ユエは、不思議な感覚を得ていた。

 

「(ゴルーグがどんな技を覚えてるのか、分かる! まるでゴルーグと糸で繋がってるような、そんな感じ!)」

 

 ジャラランガは次に爪を光らせる。“ドラゴンクロー”だ。

 

「ゴルーグ、“メガトンパンチ”で吹っ飛ばして!」

 

「ゴォォォ、ルアッ!」

 

「ギギィッ!?」

 

 ゴルーグの攻撃で壁へと叩き付けられるジャラランガ。だが彼もまだその目に闘志を宿していた。

 

 その頃ハジメは、サザンドラと相対していた。

 

「奴は悪・ドラゴンタイプ! なら……“メガホーン”だ!」

 

「グアッ!」

 

 深緑色に光る角が、サザンドラへ真っ直ぐ向けられる。しかし階層主でもある彼とて、簡単にやられるわけには行かないと技を放つ。

 

「シャァァァァ!!」

 

 3つの口から放たれる、青色に近い色をした光線。“りゅうのいぶき”である。それが“メガホーン”とぶつかり相殺された。

 

「グルルルル!」

 

「そう簡単には食らってくれないか……」

 

 その時だ。ハピナスが指を降るような仕草をすると、水滴のような物がサザンドラとジャラランガに垂らされた。それを見たユエは驚愕する。

 

「相手の傷が治っていく……!?」

 

「“いやしのしずく”……! やっぱりハピナスを先に倒さないと駄目か!」

 

 更に彼女は“リフレクター”を展開。守りを更に固めてきた。特殊攻撃も物理攻撃もダメージを軽減される状況にハジメは歯軋りしそうになる。

 

「クソ! 二重に壁を張られた!」

 

 だが、ふとユエの頭の中に、ゴルーグが覚えている「とある技」が思い浮かんだ。

 

「ハジメ、私のゴルーグに任せて! “かわらわり”!」

 

「ハピッ!?」

 

 “かわらわり”の効果によって、二重の壁である“リフレクター”と“ひかりのかべ”が音を立てて破壊された。

 

「続けて“アームハンマー”!」

 

「ゴォォォ、ルゥッ!」

 

「ハッ、ナッ……!」

 

 強烈な拳がハピナスに命中し、そのまま彼女は目を回して倒れた。サポート役が倒されるが、残りのドラゴンタイプ2匹は慌てない。

 

「ジャルァァァァッ!」

 

 ジャラランガが“スケイルノイズ”を放つ。音波攻撃によってダメージを受けたサイホーンとゴルーグに、今度はサザンドラが襲いかかった。

 

「ギシャアッ!」

 

 3つの頭から放たれるのは、“はかいこうせん”。しかしこれは2人が同時に指示を出した。

 

「サイホーン!」

 

「ゴルーグ!」

 

「「“まもる”!」」

 

 2匹の体を透明な光の膜が覆う。凄まじい破壊力を持つ光線が発射されたが、2匹はこれを防御。その余波はハジメが錬成で土壁を作ることによって、ユエにダメージが行かないようにしている。

 

「ジャルル!」

 

「おっと、君は足止めさせてもらうよ! 錬成!」

 

「ジャジャッ!?」

 

 “ドラゴンクロー”をハジメに食らわせようと接近したジャラランガだったが、その足元を錬成によって穴を開けることで不発にさせる。

 

「ユエ、こっちを頼む!」

 

「頼まれた。“凍雨”!」

 

「ジャラォォッ!?」

 

 ユエの魔法によって、ジャラランガに無数の氷が降り注ぐ。ドラゴン・格闘タイプである彼に効果は抜群だ。

 

「ゴルーグ、“れいとうパンチ”!」

 

「ゴルァァ!」

 

「ジャ、ラ……」

 

 さらにゴルーグが氷の拳を打ち込んだことで、ジャラランガは戦闘不能になった。

 

 その頃ハジメは、サザンドラと対峙していた。

 

「“はかいこうせん”を止められて驚いてる? 僕たちのコンビネーションを舐めんな! 錬成!」

 

「ド、ラ……!」

 

 岩の棘がサザンドラに直撃し、滞空姿勢が崩れそうになる。次にハジメが狙ったのは頭だ。

 

「そーれっ!」

 

「グギャアッ!」

 

 中央の頭に大きな衝撃が走り、人間で言う脳震盪のような物が起きる。一瞬だけ怯んだ所に、効果抜群の技を打ち込んだ。

 

「“メガホーン”!」

 

「グオオオオッ!!」

 

「ギャギッ!? ガ、ガ……」

 

 サザンドラも目を回して地に伏せる。こうして訪れたのは、ハジメとユエの荒い呼吸音だけだった。

 

「はぁ、はぁ……ハジメ!」

 

「はぁ、ふぅ……僕たちの、勝ちだ!」

 

 2人のハイタッチが決まった。

 




ヒュドラ戦、感想欄でサザンドラを当てられた時はどう返信しようか迷いました。
けど3匹バトルは予想外……でしたよね?
回復役はハピナス、接近戦はジャラランガ、遠距離攻撃はサザンドラと言うポジションです。

では、次回をお楽しみに。
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