原作とは性格の違うキャラも居るので、タグにも追加しておきます。
あと、私はLEGENDSアルセウスはまだエンディングまで行っていないので、感想等でのネタバレは控えてくれると助かります。
時は一気に流れ、ハジメは高校2年になっていた。その間はとても濃厚な月日を送っていた。
父や母にポケモンの絵を見せたところ、中々好評だった。前世のことは伏せて、夢だと説明した上で、どんな生態をしているかなどを説明したところ、父がこう言ったのだ。
「なら、会社に提案してゲームにしてみるか! こんな面白そうな設定は、子供も大人も楽しめるかもしれない!」
さらに、母も提案してきた。
「ハジメ、なんならイラストをネットに投稿してみないかしら? あっという間に注目されるかもしれないわ!」
ポケモンを広められると思ったハジメは、両親の提案にすぐに乗った。
しかし、現実はそう甘くは無かった。
まずゲーム開発だが、中々上手く進行しておらず、高校になった今もゲームソフトは発売されていない。
そうなった理由の1つ目は、当時中学生が考えた設定が、果たして本当に売れるのかと疑う社員が少なからず居たこと。それによって開発の着手が大幅に遅れた。
次に、ポケモン毎に種族値や努力値と言ったデータを打ち込むのが、難儀していると言うことだった。さらにBGMの製作、予算やゲームのデータ容量の関係など、多くの問題が山積みになっている。
イラストの方だが、受け入れる者と受け入れない者とでコメントが荒れる事態となってしまった。
受け入れる側のコメントとしては、「面白い」「可愛い」と言ったものが。
受け入れない側としては、「物理法則や生物学的に考えてあり得ない」「現実の科学をもっと勉強してからやれ」と言ったものが多く寄せられた。
挙げ句の果てには、そんな二者によるコメント欄での喧嘩という炎上状態にもなってしまったのだから笑えない。
立ちはだかる大きな現実によって、ポケモンの広まりはあまり芳しくなかった。
しかし、ハジメ個人としては嬉しかったこともある。それは……。
ある月曜日の朝。あくびをしながらハジメが教室へ入る。そんな彼のもとへ駆け寄ってくる女子が1人。
「おはよう、ハ……南雲君!」
「おはよう、白崎さん」
「凄い眠そうだけど、もしかしてお手伝い?」
「うん。半ばアシスタントになってるのかも」
その瞬間、男子たちから舌打ちが聞こえた。
ハジメに挨拶をした女子の名前は、白崎香織。学校の二大女神と呼ばれる程の人気者である。
そして……ハジメの恋人でもある。
2人の馴れ初めは、本当に偶然だった。
不良に絡まれていた老婆と子供を助けるために、ハジメが全力でジャンピング土下座をかまし、周りの気まずい空気を作ったことによって不良を撃退した。それを香織が偶然見ており、一目惚れし、そこから交流していくうちにハジメも惚れたという流れだ。なお、告白したのは中学の卒業式の後という、そこそこベタな感じである。
香織は、ハジメがポケモンの絵を描いている事を、交流していく内に知った。彼女も今ではポケモン好きである。
しかし悲しいかな、高校入学後、香織は二大女神と呼ばれるようになった事で、彼女と交際しているハジメの事を疎ましく思う人間も出てきたのだ。
「どうせ徹夜でエロゲーでもやってたんだろ」
「気持ちわりぃよな、アイツ」
ハジメを嘲笑いながら、しかし絡むような事はせず陰口を叩くのは、檜山大介を始めとした小悪党4人組(ハジメが命名)。
なぜ陰口を叩くだけに留まってるのかと言うと、簡単に言えば、かつてハジメの趣味と両親を馬鹿にした瞬間に殴られた過去があったからだ。それでも懲りずにハジメを目の敵にする辺り、呆れるばかりである。
そして、そんな事件があったからこそ、内心良く思っていない人間もいた。
「香織、また南雲に構っているのか? 本当に優しいな君は」
彼の名は天之河光輝。成績優秀、スポーツ万能のイケメンという、スクールカーストならまずトップに居るでろあろう男子だ。一見完璧な人間に見えるのだが、正義感が強すぎて、己の誤りを見ていないという大きな欠点がある。
彼は、檜山たちとハジメの喧嘩事件で、「馬鹿にされるような振る舞いをする南雲が悪く、それを認めようとせずに殴るのは言語道断だ」と思い込んでいる。だからなのか、彼に対しての当たりは強い。
「おはよーさん、南雲。手伝いも良いけどよ、睡眠も大事だぜ?」
坂上龍太郎。光輝とは幼馴染みで、考えるよりも動くという脳筋のような態度が目立つが、義理人情や友情、努力や熱血に弱い。
出会った当初は、授業中に居眠りするハジメのことを怠け者と思っていたが、両親の手伝いをしていると言うことを香織から知ると、その事を謝罪。今は「勉強も両親の手伝いもやってるスゲー奴」と評価している。
「おはよう、南雲くん」
ポニーテールを靡かせた、クールビューティーとも言える彼女は八重樫雫。剣道道場の娘であり、香織や光輝とは幼馴染み。そして香織と並ぶ二大女神でもある。香織がキュートなら、雫はクール。だからなのか同姓から惚れられることもあると言う苦労人だ。もっとも、光輝の正義感の暴走を抑えるのが、一番の苦労なのだが。
香織がハジメと交際した事をきっかけに、ハジメとも顔見知りになり、そしてポケモンを知った。好きなポケモンはミミロルやパチリスと言った可愛い系だが、ヒメグマに心をときめかせた瞬間に進化形のリングマを見て真顔になったのは、色んな意味で良い思い出である。
「ねぇ、今日も休み時間にポケモンの絵を見せて?」
「良いよ。八重樫さんもどう?」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
「南雲。まさか授業中に描いてるんじゃないだろうな? 2人の好意に甘えて勉強をサボるなんて、学生として最低だぞ」
「いや、普通に家で描いてるんだけどなぁ……」
「まぁまぁ光輝、こいつも成績そこそこ良いだろ? そこまで熱くなるなって」
いつものやり取りをしつつ、ハジメは自分の席へと向かった。
昼休み。昼食を取ろうとしたハジメは、ゼリー飲料を取り出した。そこへ香織がやって来る。
「じゃじゃーん、お弁当! 作ってきたの!」
「マジ? これしか持ってきてなくてさ。ありがとう~」
彼女が弁当を作ると言う甘酸っぱい光景に、男子は嫉妬、女子は渋めのお茶を飲む。
香織は、ハジメが自分と付き合ってることで疎まれている事に気付いて、学校の中では他人のように振る舞おうと提案した事があった。
しかし、意外なことにハジメはこれを強く拒否した。
「恋人とキスまでしたのに、他人行儀になるのは耐えられない」
ハジメがそう言ったため、2人で話し合った結果、学校でも仲良くはする。だけど名字で呼び合うという妥協案を取ったのだった。まぁ学校外での2人の様子を見かけた生徒も多く、効果はほぼ無いのだが。
香織の後ろでは光輝が何か言いたそうにしていたが、香織は気付いておらず、ハジメも敢えて無視。2人のラブラブ空間が作られようとしていた。
その時だった。光輝の足元からどんどん魔法陣が広がっていき、教室の中が光で満たされていく。
社会の担当教諭である畑山愛子の「早く教室から出て!」という声を最後に、目の前が真っ白になった。
次回から、いよいよトータス編です。ポケモンも出せたらなと思います。