レジスチルに認められ、こうてつプレートを手にしたハジメ。あの戦いの後、傷薬とモンスターボールを量産した。更に、錬成で植木鉢を作り、畑の土を少しだけ拝借して栽培キットを作った。これで薬などの材料に困らなくなる。
「これで、よし」
そして最後に作ったもの。それはこの大迷宮の創設者であり、解放者のメンバーの一人でもあった、オスカー・オルクスの墓標である。
ぼんぐりの自己栽培に成功し、ポケモンの特性を見抜いてモンスターボールを発明した天才。ハジメは彼のことを強く尊敬していた。だからこそ丁寧に弔ったのだ。
「『偉大なる先人オスカー・オルクス、ここに眠る』と……」
「安らかに……」
彼の骨を埋葬し名前も刻んだあと、ハジメは合掌する。モンスターボールのお陰でゴルーグと共に行動できることに感謝を込めて、ユエも合掌した。
「……良し、行こう」
「ん」
2人は、試練を達成した後に解放された、地上への移動用魔方陣へ向かう。
―――ありがとう
「え……?」
男性の声が聞こえた気がして振り向くが、視線の先にはオスカーの墓標があるだけだった。
「…………」
ハジメは大きく頷くと、改めて魔方陣のある部屋へ向かった。
地上へ出たと思いきや洞窟という展開でがっかりはしたものの、隠れ家なら通路を隠して当然というユエの言葉に納得して、改めて地上へと出てこれたハジメ。
「あーっ! 解放された気分!」
「外の空気、久しぶり……!」
2人が今いる場所は、ライセン大峡谷。魔法を使うことが出来ず、手強いポケモン達も生息している。魔法が主でありポケモンへの対抗手段が少ない人間にとっては、処刑場とも言えるエリアだろう。
「ハジメ。こう言う場所なら、どんなポケモンが居るの?」
「そうだなぁ。植物の少ない荒れ地となると、やっぱり岩タイプや地面タイプとか? でも奈落とは違って空もあるから、飛行タイプのポケモンも居るかな。あとは、そんな岩タイプのポケモンでトレーニングする格闘タイプとか」
「意外と生態系が豊富なんだ」
「だからこそ、洞窟と同じようにそこら辺の石や岩なんかは気を付けた方が良いんだ。例えば……」
「ひゃあぁぁぁ! 助けて下さいぃぃぃ!」
「アブゥゥ!」
峡谷に響く悲鳴に、2人は顔を見合わせた。それから少し遅れて地響きのような音と振動が伝わってくる。
それは、白い体毛に覆われたポケモンに跨がるウサ耳少女が、イワークに追いかけられている光景だった。
「ハジメ、あのポケモンは?」
「珍しいな。アブソルだよ。災害を予知するって言われているんだけど……」
「そこのお二方、のんびり語ってないで助けてくださいぃぃぃ!!」
「そう言えば、なんで兎人族がこんな所に居るんだろ?」
「て言うか、こっちに来てる……?」
それはつまり、追いかけてるイワークもハジメ達の方に来るわけで……
「「こっちに来るなぁぁぁ!?」」
「そんなこと言わずにお助けをぉぉぉ!」
ハジメとユエも走って逃げる。アブソルに跨がっているウサ耳少女が並走しながら話しかけてきた。
「私の名前はシア・ハウリアと申します突然ですみませんが助けてくださいあと私の家族も!」
「早口で何言ってるか分かんない! でも何でだろ、図々しい!」
「て言うか、何で追い掛けられてるの!」
「詳細は省きますが逃げてる途中で休んでたらイワークの頭に座っちゃって!」
「何やってんの!?」
「ハジメ、どうする!?」
「あーもう! 詳しい話を聞かせてもらうからね! ユエ、ポケモン出すよ!」
「ん! お願い、ゴルーグ!」
ユエがモンスターボールを投げることで、ゴルーグが出現する。
「え!? あんな大きな魔物をどうやって!?」
驚くシアを無視して、ハジメもボールを投げる。
「行っておいで、サイホーン!」
「グオオオ!」
「ま、またもや魔物が!? あなた方って何者なんですかぁ!?」
シアの悲鳴じみた声に、ハジメは振り返る。
「ポケモントレーナーさ」
と言うわけで、シアのパートナーは、予知繋がりでアブソルでした。他にも、シアは忌み子として、アブソルは災いを呼ぶ存在(実際は一言人間に伝えてるだけ)で嫌われてるという繋がりもあります。