ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

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アニポケ新無印のオープニングで、レジギガスの登場シーンありますよね? いかにも巨人の王って感じがして好きです。


強者と弱者

 ハジメはサイホーンに、ユエはゴルーグに、そしてシアはアブソルに跨がって大峡谷を駆けていた。

 

「見えました! あそこに父様たちが居ます!」

 

 なぜ分かったのか。それは、またもやイワークが1点を見つめていたからだ。彼の視線の先に居たのが、怯えている兎人族の集団だったのである。

 

「あれ、もしかしてさっきのイワーク?」

 

「に、逃げたんじゃなかったんですか!?」

 

「もしかして……同じウサ耳だから、勘違いしてるとか?」

 

「とんだ迷惑ですぅ!!」

 

 とにかく助けようと、サイホーンとゴルーグが二者の間に割り込んだ。この時イワークは自身を追い払った強者を思い出した。

 

「イワァァ!」

 

「イ、イワークが逃げていく……」

 

 初老の兎人族が唖然としていると、シアが彼の元へ走る。

 

「父様! みんな!」

 

「「「シア!?」」」

 

 どうやら彼がシアの父親らしい。シアがハジメ達を紹介している間、ハジメは集団を見て怪訝に思った。

 

「(シアの話では、匿っていたポケモンも一緒に追い出された筈だ。なのに何で兎人族しか居ないんだ?)」

 

 疑問に思う中、シアの父親がハジメに話しかけてきた。

 

「ハジメ殿。娘のシアを助けていただき、ありがとうございます。私はカム。シアの父であり、ハウリア族の族長をしております」

 

「どういたしまして。本当なら、助けたお礼と言うことで樹海を案内してほしかったんですけど……。ハウリア族はこれだけですか?」

 

「……女性と子供、さらに家族のように接してきた魔物たちも物珍しさに捕らえられました」

 

「っ!」

 

 悲しそうに目を伏せるカム。一方のハジメは激情に駆られそうになっていた。つまり、彼らを襲ったという帝国兵は、奴隷だけではなくポケモンも売ろうとしている。この事に怒りが込み上げてきたのだ。

 彼の気持ちを察したのか、ユエが挙手した。

 

「……ハジメ。私が行く」

 

「ユエ?」

 

「私のゴルーグなら、炎の噴射で空を飛べる。それで空から帝国兵を探しだす。だからハジメは、ここの人たちを野生のポケモン達から守ってて」

 

「相手は奴隷狩りする兵士だよ。そこに女の子一人で行くなんて!」

 

「相手は、弱い立場をいたぶる事しか知らない。だから問題ない。それに、今のハジメの顔は危ない。やり過ぎて後悔する姿を見たくない」

 

「…………分かった。気を付けてね」

 

「任された。行くよ、ゴルーグ」

 

「ゴルッ!」

 

 ジェット噴射で飛行するゴルーグに掴まり、ユエは行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 こうしてゴルーグに乗って飛行していると、野営をしてると思わしき集団を見つけた。

 

「……見つけた。行くよ、ゴルーグ」

 

「ゴル」

 

 檻らしき物から若い女が無理やり出され、男達が下品な笑いをしているのを見ると、ユエは不快そうに目を細める。それを感じ取ったゴルーグは、急降下した。

 

 そんな事はつゆ知らず、帝国兵たちは溜まった欲を発散すべく、先ほど捕らえた奴隷の1人を『味見』しようとしていた。檻の中では、彼女の恋人でもいるのか兎人族の男の叫び声がする。本来ならば男を捕らえる趣味は無いのだが、少しでも金を得るために労働力として捕まえていたのだ。

 檻から出られない癖に、必死に恋人の名前を叫ぶ滑稽な姿に、隊長は酒を口にしてほくそ笑んでいた。

 

「おいお前ら! 俺にも残しておけよ! にしても、まさかコイツ等が魔物を飼ってたなんてな。一匹一匹大したこと無さそうだし、その手の金持ちに売り付けるのもアリか。こりゃあ暫くは遊んで暮らせるぜ。」

 

 その瞬間、凄まじい音共に土煙が上がった。

 

「ぶわっ!? ぺっぺっ! て、敵襲!」

 

 口に入った土を吐きながらも、隊長は部下達に警戒体勢を取らせる。そうして土煙が晴れると、目の前には巨大なゴーレムに乗る美少女がいた。

 

「こ、子供? 何で子供がこんな所に居やがる!」

 

「……答える義理は無い。そこのポケモンと兎人族を返してもらう」

 

 ユエの言葉にポカンとする兵士たち。だが次の瞬間には嘲笑に変わった。

 

「……はぁ? おいおい嬢ちゃん。俺たちはヘルシャー帝国の兵士だぜ? んなゴーレムで強気になってるから、んな口調なのかぁ?」

 

「……ムカつく。時間かけたくないし、とっとと決めるよ。ゴルーグ」

 

「ゴル!」

 

 目に光を溜め、銀色の光線“ラスターカノン”を発射する。兵士たちに当たらなかったが、その後ろにある食料などが積まれた荷車に命中した。文字通り木っ端微塵に破壊されたことで、彼らも現実を認識し始める。

 

「しょ、食料が!?」

 

「ま、魔法を撃つんだ! とっととあのゴーレムを倒せ!」

 

「隊長! ここはライセン大峡谷です! 魔法は使えません!」

 

「お前たちは此処で寝てろ。ゴルーグ、地面を思いっきり殴って」

 

「ゴォォォ、ルゥッ!!」

 

 地面を強靭な拳で殴り付け、その衝撃で兵士たちは浮き上がる。地面に叩き付けられた彼らは、混乱していたことも相まって、その意識を落とした。

 

「さっき散らばった食べ物の匂いで、ポケモン達が寄ってくる。追われる気持ちを理解すること」

 

 そう言い残すと、ユエは檻へと向かう

 

「ヒッ!?」

 

「こ、殺さないで!」

 

「殺さない。シアの頼みで助けに来た」

 

 その後、捕らわれていた兎人族とポケモンの檻をゴルーグが抱え、ユエはハジメ達の元へと戻っていくのだった。




次回はフェアベルゲンでの話を予定しています。
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