ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

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先週のアニポケ、リーリエとモーンのお話はガチの神回でした。あの結末は良かった……本当に良かった……。

そして、この作品のお気に入り登録者数が400件を越えました! 本当にありがとうございます!


湖畔の町での再会

 湖畔の町ウル。ウルディア湖と呼ばれる湖の影響で湿地となっており、異世界では珍しい稲作が行われている町である。さらに山脈地帯からは自然の恵みが採れ、湖からは魚が獲れる。まさに食の恵みを受けている町とも言えるだろう。

 

「はぁ。清水君、一体どこに行っちゃったんですか……」

 

 その町をトボトボと歩くのは、社会科を担当教科に持つ教師、畑山愛子である。立派な教師を目指しているそうだが、その小柄な容姿から生徒達には「愛ちゃん先生」と呼ばれている。

 天職『作農師』を活かすために農地開拓をしていた愛子だったが、オルクス大迷宮でハジメが死亡したと聞いた時は寝込んでしまった。そして、心に傷を負っているにも関わらず訓練への参加を促そうとする教会のやり方に抗議したのである。

 戦争に参加せず、別の形で国に貢献する。そこで戦いたくない生徒に募集を呼び掛けたのだ。

 その生徒の中に、ハジメと仲が良い清水幸利が居た時は、何と声をかければ良いか分からなかった。だが彼は言っていた。

 

あいつ(ハジメ)は案外タフだから、その内ひょっこり出てきますよ。その間、色んなことを話してやるために王都を離れるんです』

 

 道中の清水は、園部優花をはじめとする女子たちから見ても逞しいものだった。ハジメの影響でそれなりにポケモンに詳しい彼は、道中で見かけるポケモンに対して説明をする。説明の最後に必ず、「ハジメの受け売りだけどな」と付け加えて。

 

 そんな彼が突然、行方不明になってしまったのだ。

 

「愛子。あまり落ち込むな。彼は魔物に対して豊富な知識を持っている。無事な可能性は十分にある」

 

 そう言って慰めるのは、愛子たちの監視役として教会から派遣された神殿騎士のデビッド。彼女の護衛隊長である。実はハニートラップとして送られたのだが、逆に愛子に惚れてしまったという男である。彼だけじゃなく他の神殿騎士たちも同様であった。

 そのお陰で、「どことも知れない馬の骨に愛ちゃんを渡せるか!」と優花たちが強く意気込んでいる。

 

「そうですよ、先生! 自分で何処かに行った可能性もありますし、悪いことばかり考えたら駄目ですって」

 

 優花にも慰められ、愛子は自分自身に喝を入れる。

 

「……そうですね! それじゃあ、次のお仕事のためにもしっかりとご飯を食べましょう!」

 

 笑顔を作り、自分達が泊まっている宿へ向かう。その時だった。

 

 

―― ……よ。……の子よ。

 

 

「ん?」

 

「どうしたんですか、先生?」

 

「いえ……。気のせいだったみたいです」

 

 疲れによる幻聴かもしれない。愛子はそう思い宿へ足を動かした。

 

 

 

 

 

 異世界というと料理のレベルが低いイメージがあるが、トータスにおいては違っていた。特にウルの町は冒頭のように食に恵まれているため、和食に似たような料理も出てきた。

 

「この異世界版カレーライス、うめぇ!」

 

「この天丼もレベル高いって」

 

「チャーハン擬きも止められねぇよ」

 

 玉井淳史や宮崎奈々など他のメンバーが舌鼓を打っている中、愛子たちが泊まっている宿「水妖精の宿」のオーナーであるフォス・セルオがやって来た。愛子が料理のお礼を伝えるのだが、彼は申し訳なさそうな顔をする。

 

「誠に申し訳ないのですが、香辛料を使った料理は本日限りとなります」

 

「えっ! じゃあこのニルシッシル(異世界版カレー)も食べられないって事ですか!?」

 

「はい……。魔物の群れが確認されて、材料の確保が難しくなったのです。先日も調査に向かった高ランク冒険者の一団が行方不明になって、それから採取に行く者が居なくなって……」

 

「それは心配ですね……」

 

「ですが、冒険者ギルドのフューレン支部長が依頼した冒険者が来るとのことですので、じきに解決するかと」

 

「ほう。金ランクの冒険者でも来るのだろうか」

 

 フューレン支部長のイルワは、冒険者ギルドの中でも最上級クラスの幹部だ。その彼が依頼すると言うことは凄まじいと言っても過言ではない実力者が来ると言うこと。デビッド達はそう認識していた。

 すると、カランコロンとドアベルが鳴り、何やら会話が聞こえてきた。

 

 

『ユエ、ありがとう。ゴルーグに乗せてくれて』

 

『ゴルーグは力持ち。ハジメとシアを乗せることも苦じゃない』

 

『ウルの町まであっという間でしたね。ありがとうございます』

 

 

 男女の集団のようだ。しかも男一人に女二人というハーレムのような状態である。思わず男子は舌打ちしそうになった。

 

『ハジメさん。今日はここで一泊するんですよね?』

 

『うん。明日は、ウィルさんの捜索と、大量発生した魔物の調査かな』

 

『やっぱり、ハジメも気になるの?』

 

『うん。人為的な物なのか、自然現象なのか気になるんだ』

 

「え……?」

 

 愛子たちは顔を見合わせる。会話で聞こえてくる男の声は何処かで聞いたことがあった。そして途中で聞こえてきた、ハジメという名前。

 

「南雲くん……?」

 

 思わずカーテンを開けると、そこには見知った顔があった。

 

「え、先生……?」

 

 それは、死んだと思われていたハジメの姿だった。

 




原作通り、清水は失踪。その事を知るハジメはどうするのか?
そして、前半で愛子が聞いた声のようなものとは?

次回をお待ちください。
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