ポケットモンスター トータス   作:G大佐

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休日で、調子も良いため再び投稿です。

実は今日の午後に、LEGENDSでようやくアルセウスを撃破しました。ゲージ引き継ぎを繰り返してのクリアですが……。


宿での一幕

 ウルの町で再会をしたハジメと愛子達。ハジメは心の底から驚いていた。そして、生きていた喜びで涙目になる彼女にタジタジとなる。

 

「南雲くん、生きていて本当に良かったです……。まさかこんな所で会えるなんて……」

 

「えーと、その、ご心配をお掛けしました」

 

 その時、ハジメの腹から盛大な音が鳴った。感動の再会だというのに台無しである。

 

「あはは……。依頼を受けてから飲まず食わずでかっ飛ばして来まして……。何か頼んでも?」

 

「あっ、そうですね。色々聞きたいですが……」

 

「それは食事しながらでも」

 

 こうしてハジメ達がニルシッシルを注文し、待ってる間は愛子による質問が始まった。

 

Q、橋から落ちた後どうしてたのか?

A、ひたすら地下をサバイバルしていた。

 

Q、奈落から出た後、なぜ合流しなかったのか?

A、ライセン大峡谷に出たため、そこから色んな場所を巡っていた。

 

 二番目の質問は、それっぽい理由を述べただけで、実際は違う。檜山辺りが自分を落としたのではないかと疑っており、自分が戻ったことで、恋人である香織を巻き添えにしたくなかったからだ。だが、まさか愛子にクラスメイトを疑ってるとは言えない。

 

「ところでずっと気になっていたのですが、そちらの女性2人は……」

 

「私はユエ。孤独だったのをハジメに助けて貰った。今は彼の弟子であり仲間」

 

「シアと言います。私や家族を助けて頂きました。今はハジメさんの仲間で、弟子その2です!」

 

「な、仲間は分かりますが、弟子……ですか?」

 

 小説なら惚れてしまいそうな出会い方をしてるのに、恋人ではなく弟子だと名乗ったのが意外だった。

 

「ハジメはポケモン……あなた達が魔物と呼んでる生き物について凄く詳しい。戦いの時は、いつも色んな指示を出してる」

 

「私たちは、ハジメさんの姿に憧れて、色々なことを教えて貰ってるんです」

 

 2人にそう思われている事が意外だったのか、ハジメは照れるように頬を搔く。

 しかし、そこへ水を差すような言葉を放つ者が居た。神殿騎士のデビッドである。

 

「ふん。獣風情が人間に憧れるだと? ましてや無能と呼ばれる男を憧れるとはな」

 

 その一言に、愛ちゃん先生護衛隊の生徒達は「空気読めよテメェ!」と睨むが、デビッドは止まらない。

 

「エヒト様に見捨てられた亜人が、このような食卓についていると言うだけでも汚らわしい。その耳を切り落とせば少しは人間らしくなるか?」

 

「あ、あ……」

 

 心無い言葉を浴びせられ、瞳がグラグラと揺れるシア。だがユエとハジメが彼の前に立ちはだかった。

 

「何だ貴様ら! 神殿騎士に逆らうか!」

 

「……小さい男。こんな奴がリーダー格なんて思えない」

 

「僕の仲間を、よくまぁ初対面でこれだけ言えるものです。パーティーメンバーを貶されたんだから、僕にも怒る権利はありますよねぇ?」

 

「この……異教徒めがぁ!!」

 

 惚れている女性の前で器の小ささを言われ、更に聖教教会では無能と言われている男に睨まれ、デビッドは激昂した。剣を素早く抜き、2人を切り捨てようとした瞬間だった。愛子や女子生徒たちが悲鳴をあげ、男子たちは危ないと叫ぶ。

 

「ふんっ!」

 

「なっ……!?」

 

 だがハジメは、こうてつプレートの力を発動、片腕だけでデビッドの攻撃を防ぎきった。驚いて動きが止まる隙を突き、今度は別の紋章を浮かばせる。

 

「食事の場で流血沙汰は、ご法度ですよ。錬成!」

 

「ば、馬鹿な!? 錬成ごときで私の鎧が……!」

 

 浮かべた紋章は、岩タイプのマーク。ミレディから受け取ったがんせきプレートの効果だ。その効果内容は『錬成補助』。これによってより少ない魔力で錬成が可能になっているのだ。

 この効果を発動して行なった錬成。デビッドの鎧に触れ、空気と結合しやすくし、一気に錆びさせたのだ。お陰でデビッドの姿は一気にみすぼらしくなる。

 

「ごめんなさい、ハジメさん。また守って頂いて……」

 

「気にすることはない。言いたい奴には言わせておけばいい。所詮はその程度の人間なんだから」

 

「貴様……!」

 

 ハジメの言葉にまたデビッドが掴み掛かろうとするが、錆びた影響で鎧にヒビが入るため、迂闊に動けない。他の神殿騎士たちも、自分達が錆びさせられるのではと迂闊に動けなかった。

 

「シアはシア。貴女には貴女の強みがある。自信を持てば良い」

 

「ユエさん……」

 

「さてと。先生、申し訳ありませんが今は色々と話せるような状況じゃないので、また後で」

 

「あっ、はい……」

 

 フォスに店を騒がしくしたお詫びを述べた後、ハジメ達はさっさと二階の宿泊部屋へ向かってしまった。

 

「……私の生徒を貶した上に、話す時間を奪うなんて最低です、デビッドさん」

 

「うぐうっ!?」

 

 なお、その後デビッド達の評価はガタ落ちし、愛子から冷遇されることになった。このことで彼らは精神的な大ダメージを受けることになるのであった。

 

 

 

 

 

 その夜。ハジメ達と話をしようと、愛子達は彼らの部屋を訪れる。ちなみにデビッド達は愛子に冷たくされたショックで、今もまともに動けていない。

 

「南雲くん、先生です。今お部屋に入っても良いですか?」

 

『どうぞ』

 

 そうして部屋に入った後、愛子は昼間のことについて謝罪した。

 

「昼間はごめんなさい。私たちで、デビッドさん達を止めてれば……」

 

「アイツが勝手にやったことですから、先生が謝る必要ないのに……」

 

「それでも、です。あの場に居た私たちには、止めることが出来ていたと思います」

 

「エヒトを深く信仰してる人間がそう簡単に考えを改めるとは思えないけど……。ま、いっか。分かりました。先生の言葉、受けとります」

 

 そしてお互いに情報交換をする。ハジメが地下にいる間やライセン大迷宮を攻略してる間は、地上もそれなりのイベントがあったようだ。

 まず、愛子が教会に抗議して、戦いへの参加は志願制にしたこと。次に、傭兵たちの集まりから成るヘルシャー帝国の皇帝が訪問し、勇者と腕試しをしたこと等だ。

 

「そう言えば、幸利や浩介、それに香織は元気ですか?」

 

「それ、なんですが……」

 

 そして、愛子が告げた言葉にハジメはショックを受ける。

 

「幸利が失踪、だって……?」

 

 愛子はその様子に、何も言うことは出来なかった。

 




さりげなく岩石プレートの効果が初登場。錬成を補助してくれる効果のため、より広範囲の錬成も可能になりました。

次回、いよいよ北の山脈へ突入です。

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