ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

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本日2話目の投稿です。


赤い鎖

 清水が言葉にした「赤い色の鎖」。それを聞いたハジメの顔は青ざめていく。そして彼の肩を掴んで激しく揺さぶる。

 

「や、奴らは確かに『あかいくさり』を使っていたのか!?」

 

「いてぇ! いてぇってハジメ! あんな不気味に赤く光る鎖を忘れるものか!」

 

「南雲くん? その鎖がどうかしたのですか?」

 

「もし奴らの使ってる鎖が本当に『あかいくさり』なら、大変な事になる!」

 

「カムル!? リムカムラン!」

 

「え!? 『森に持ち込まれた異質な力がソレならば、対処しなければ大変な事になる』ですって!?」

 

 バドレックスの言葉を通訳した愛子も、この事に驚愕する。

 つまり、魔人族は「あかいくさり」を使ってポケモンを操っており、その鎖の放つ力がレイスポスを激昂させたのだ。

 

「ハジメ、その鎖ってそんなに危険なの?」

 

「そもそも考えられないんだよ! あれは、神すら操れるんだ! それを普通のポケモンに湯水のように使うなんて……!」

 

 恐らく現実世界よりもポケモン世界の方が、科学力は高いだろう。その中でも更に独自の技術を持つギンガ団ですら、科学力の粋を集めてようやく作れた神器。それが「あかいくさり」である。

 確かに、神すら操れるなら、普通のポケモンは簡単に従えられるだろう。だが、神器である「あかいくさり」を何本も使っていることが考えられなかったのだ。

 

「俺を勧誘した奴は言ってたぜ。『我らの神が、人間を滅ぼせという神託と共に鎖の作り方を教えて下さった』ってな」

 

「魔人族の神、か……!」

 

 オスカー・オルクスによれば、トータスの神々は遊戯として人と魔人族をわざと争わせているのだという。つまり魔人族の神はエヒトとグルなのだろう。

 そして、あかいくさりの作り方を知っているとなれば……。

 

「ユクシー、アグノム、エムリット……。3匹のポケモンが魔人族に捕まっていて、しかも『あかいくさり』を無理やり作らされているかもしれないってことか……! クソッ、思ったより状況は最悪だ!」

 

 

「『心の三妖精』を知っているとは、お主はもしや『千宙腕さま』の事も知っていると言うことかの?」

 

 

 声がした方へ顔を向けると、清水と共にレイスポスと戦おうとしていた女性がいた。そのプロポーションは抜群で、相川たち男子は前屈みになりそうになる。

 だがハジメは、その女性が放った言葉……千宙腕に反応した。

 

「アルセウスの事を知ってるのですか?」

 

「知ってるも何も、我らは数多の神話の最高位として、千宙腕さまを信仰しておる。……名乗るのが遅れたな。妾の名はティオ・クラルス。竜人族と呼ばれる者じゃ」

 

 ティオと名乗った女性は語る。竜人族は、千宙腕ことアルセウスを信仰しており、その事からエヒトを信仰する人間達に迫害され続けてきたのだと。

 彼女が何故ここに居るのか。それは、エヒトが異世界から人間を召喚したことを竜人族は感じ取り、その調査人代表としてティオが動いたのだという。

 

「その道中で、怪我をしたシミズを見つけてな。更に冒険者であろう人間たちも見つけたものだから、この滝の裏の洞窟で看病しておったのじゃよ。まさか、豊穣の王の愛馬が激昂して来るとは思わなかったが」

 

「そう言えば、幸利は何でそんな怪我を……?」

 

「……ちょいと見てられない物を見てしまってな」

 

 すると、清水のもとへ一匹のポケモンが走ってきた。

 

「カルル~!」

 

「おいおい、じっとしてろって言っただろ……」

 

「ガルーラの子供……? 何で此処に? 母親は?」

 

 普段は母親のお腹のポケットに居る筈の、ガルーラの子供。だが母親の姿は無い。ハジメの疑問に、清水は顔を伏せた。

 

「……魔人族に操られてるんだ。自分を囮にして、子供を鎖から守って……」

 

 子供ガルーラは使えないと魔人族は言い放ち、操った母親に殺させようとした。だが、ハジメの影響でポケモンが好きになっていた清水はそれに堪えきれず、子供を助けたのだという。

 それがきっかけでスパイ行為がバレてしまい、魔法攻撃を食らいながらも何とか逃げ仰せたそうだ。

 

「ハジメ、それに先生。魔人族の狙いはウルの町と先生だ。奴らは食糧事情として重要な先生を、町ごと潰すつもりだ!」

 

「何ですって!?」

 

「……魔人族め…………!」

 

 ハジメの目に怒りが宿る。ポケモンを苦しませて生み出した鎖を使い、更にポケモンを苦しませ、それで更に血を流そうとする魔人族。その事に腹を立てた。

 

「ハジメさん。その前に、ティオさんが保護したって言う冒険者達を預からないと。きっとウィルさんですよ」

 

「……そうだね」

 

 なお、その後のウィル・クデタ達だが、レイスポスを見た瞬間に……

 

「うわぁぁぁ出たぁぁぁぁぁ!!」

 

 そう叫んで気絶してしまった。どうやら、既にレイスポスに襲われていたらしい。

 まあ実力を考えないで他の冒険者に迷惑掛けたんだから自業自得だよねと、ハジメは割り切った。決して、ポケモンを化け物を見るような目で見られたことに腹を立てたからではない。たぶん。




最後、ハジメが珍しく辛辣だったかもしれませんが、彼だって人間です。好きなポケモンに対して立て続けに悲鳴を上げられれば、イラっとします。

そして赤い鎖を使う魔人族ですが……断言しておきます。あの三柱を呼ぶつもりはありません。彼らにとってアルヴこそが絶対神なので、他の神を神とは思ってませんから。
赤い鎖に対しても、神様からもらった超便利なアイテムくらいにしか思ってません。
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