ウルの町へ戻ったハジメ達。バドレックスはブリザポスとレイスポスを従えて、山へと戻っていった。あかいくさりの放つ力を察してパニックになるポケモン達を、落ち着かせるためとのことだった。
そしてウルの町に到着し、魔物の群れが魔人族の仕業であることや、ウルの町を攻撃しようとしている事を町長に伝えた。その情報はあっという間に町中に広まり、住人達は避難準備をしている。
「さすが、竜人族のティオさんだ。視力も凄いね」
「幸い、ポケモンの群れはそれほど多くなく、しかも一人で何匹も指示しようとしてるんじゃ。進軍速度が遅いのも無理ないのぉ。流石に何万という単位だったら急がざるを得なかったかもしれんが」
「お陰で、避難する人たちはパニックになってないから良かったよ」
がんせきプレートの効果で錬成の負担が減り、ハジメはウルの町を囲えるほどの防壁を作ることが出来た。その防壁の上で、ティオがポケモンの群れを監視している。
「僕、ユエ、シアのポケモン達だけじゃ、いずれ数に押されてしまう。指揮官を叩くしかない」
「何を言うておる。妾も力を貸そう」
「……何でそこまで協力的なの?」
「千宙腕さまの事を知り、そして復活させようとしてるんじゃ。それだけお主が信頼に値すると言うことであり、それ程までにこの世界の人間達はエヒトに依存していると言うことじゃ」
だがティオは、あえて言葉にしなかったことを内心呟いた。
「(それに……見定めなければな)」
試すかのような目付きを、鈍く輝く赤い群れに移した。
あかいくさりで操られているポケモンの群れの最後尾。魔人族のレイスは笑みを浮かべていた。
「流石、神の叡知による鎖……。魔物を操ることがこれほど容易いとは」
操られているポケモン達は、鎖鎧のように武装されていた。しかしその目に光は無い。
「しかし、ウルの町にあんな壁あったか? ……まあ良い。ケンタロスの群れで破壊するまでだ!」
「「「「ブモオオオオオオ!」」」」
あばれうしポケモンのケンタロス。胴体を鎖で保護された彼らは雄叫びを上げ、土煙を巻き起こしながら壁に突っ込んでいった。
「お前にも暴れてもらうぞぉ? ガルーラ」
「ガルルルル……!」
腹に子供の居ないガルーラが、光の無い目でウルの町を睨んだ。
愛子は、ウルの町の住人の避難誘導を行なっていた。
「(南雲くん……)」
山の中で、愛子たちはハジメからトータスの真実を知らされた。エヒトという偽りの神、自分達は神の遊戯の駒、大迷宮に眠るは本当の神の力の欠片……。あまりにも情報が多く、頭がパンクしそうだった。
ハジメの狙い。それは、アルセウスを復活させ、彼の持つ時空を操る力で地球に帰ること。
アルセウスは、時間の神ディアルガと空間の神パルキア、そして反物質の神であり反転世界の番人であるギラティナを生み出した存在である。
時空の神々を生み出したアルセウスでも、時空を操ることが出来るのではないか。ハジメはそう語っていたのだ。
回想をしていると、清水が子ガルーラを抱えて歩いてきた。
「先生」
「清水くん? どうしたのですか?」
「俺、ハジメの所に行ってきます。同じポケモン好きとして、魔人族のやり方は気に食わない」
「そんな、待ってください!」
「待てません! すいませんが、行ってきます!」
そのままハジメ達のもとへ、清水は走って行った。
次回はいよいよ、魔人族の操るポケモンの群れとの戦いです。