ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

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仕事でミスばかりで落ち込んでいましたが、休みの日にこうやって小説書いたりするのが至福です。


ウル防衛戦

「来おったぞ! ケンタロスの群れじゃ!」

 

「ゴルーグ、“ラスターカノン”を発射!」

 

「ゴルウウウウウウ!!」

 

 防壁へ迫り来る土煙が、開戦の合図となった。ゴルーグの頭部から銀色の光線が放たれ、ケンタロス達を高く吹き飛ばす。だが彼らの勢いは止まらない。

 

「炎よ!」

 

 そこへティオが指を軽く振るい、火球をメテオのように振らせた。

 

「さすが竜人族。援護に感謝する」

 

「構わぬよ、吸血鬼の姫。ハジメはお主をユエと読んでおったが、それで呼べば良いかの?」

 

「うん。リーダーから貰った、大切な名前」

 

 ケンタロスの群れを見やる。先ほどの攻撃で鎖が壊れたのか、ケンタロス達は戸惑うように辺りを見回していた。

 

「……妙じゃな。ハジメが言うには、敵が扱う道具は神すら操ると聞いたが……」

 

「こんなに呆気なく砕けるとは思えない。だからと言って、ハジメが話を誇張することは無い」

 

「つまり……あの鎖は不完全な可能性があるという訳じゃな」

 

 

 

 

 

 別の場所で戦っているハジメは、目の前のポケモンに戸惑っていた。

 

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 前世の知識でポケモンに詳しいと自負していたハジメ。そんな彼が初めて見たポケモン。

 それは、腕が巨大な斧のようになっているポケモンだった。全体的に黄土色で、その目付きは鋭い。

 

「っ!? バサ……ギリ……?」

 

 2つある天職のうちの1つ、魔物学。それが目の前のポケモンの名前を明らかにさせた。

 

「バサギリ……。初めて聞くポケモンだ。前世の僕が死んだ後に、発表されたのかな?」

 

 バサギリが、胴体に巻かれたあかいくさりを発光させながら、“がんせきアックス”を発動する。ハジメを庇うようにサイホーンが“まもる”を発動。しかし、あかいくさりの効果によるものか威力が大きく、サイホーンにダメージは無いものの、発生した衝撃波は大きなものだった。

 

「あぁ、本当に……ポケモンの世界は奥が深い!」

 

 闘志の宿った目に、感動の輝きが混ざった。両手を合わせ、地面に手を付ける。手の甲に岩タイプの紋章が浮かび上がると、溢れた興奮が彼の口角を上げさせた。

 

「錬成ぇ!!」

 

「ッ!」

 

 岩石の刃が一気に形成され、バサギリを捉える。刃がバサギリの胴体に命中した瞬間、パキンッと何かが砕ける音がした。

 

「あ、あかいくさりが、砕けた!?」

 

「バルル……!」

 

 目に光が戻り、スッキリさせるかのように頭を振るバサギリ。そしてハジメを見つめた。

 

「え……?」

 

「………………」

 

 すると、今度はストライクの群れが襲ってきた。彼らも目に光が無い。再び戦おうとするハジメだったが、バサギリが地面に斧を叩きつけると、大きく咆哮した。

 

「バルァァァァァ!!」

 

 そのまま群れに突っ込んでいき、斧を振るうバサギリ。この攻撃でも、あかいくさりは砕けていく。

 

「(岩タイプの技で、あかいくさりが碎けた? ディアルガとパルキアを操るアイテムが? けど何故……)」

 

 この時、ハジメにある仮説が浮かんだ。

 

「(あかいくさりが、魔人族の崇める神……エヒトの仲間が作ったとしたなら、その力の源はアルセウスのプレートだ! けど、解放者たちの手によって、奴らは複数のプレートを奪われている! つまり、奪われたプレートのタイプの技なら、あかいくさり擬きは砕くことが出来るのかもしれない!)」

 

 前世のハジメが観た劇場版においても、アルセウスは失っているプレートのタイプの技でダメージを受けていた。それが、あかいくさり擬きにも通じるかもしれないと考えたのだ。

 

「(奴らは、不完全なあかいくさりを万能アイテムと信じ込んでいる! 勝機が見えてきたぞ!)」

 

 その後、ストライクの群れを大人しくさせたのか、バサギリが戻ってきた。

 

「バルル!」

 

「えっと、戦ってくれてありがとう」

 

「バルッ」

 

 ハジメの礼を受け取ったバサギリは背を向け、正気に戻ったストライクの群れに向かう。すると彼らは道を空け、そしてバサギリの後を着いていった。

 

「え、まさかアイツ、ストライク達のリーダーだったの!? てかストライクの進化形なのか!?」

 

 意外な事実に驚いたハジメだったが、そんな彼のもとへアブソルに跨がるシアがやって来た。

 

「ハジメさーん! 大変大変、大変ですぅー!!」

 

「どうしたの!?」

 

「清水さんが、単身で魔人族の元へ向かったと、他の方々が……!」

 

「っ! 幸利……!」

 

 

 

 

 

 魔人族レイスは、目の前の男を嘲笑っていた。

 

「魔物に生身で挑むなど、道化を通り越して馬鹿だよ、お前は」

 

「カル! カルルー!」

 

 頭や口角から血を流し、土で汚れた清水に、子ガルーラが心配そうに駆け寄る。

 

「ぐっ、あ、安心しろよ……。お前の母ちゃんを、助けてやるからな……!」

 

「はっ! 先程まで良いようにやられていたお前に、何が出来る! 殺せ、ガルーラ! その子供も纏めてなぁ!」

 

「ガルルラァァァァ!!」

 

 目に光の無いガルーラが、腕を大きく振り上げた。

 




はい、魔人族の扱うあかいくさりは不完全でした。まあ不完全だからこそ、普通のポケモンも操れると言う設定です。もし本物ならば、パワーが強すぎて普通のポケモンじゃ保たない。そう解釈しています。
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