操られたポケモンの群れが山へと戻り、ウルの町に平和が戻った。防壁を元の地面に戻したハジメ達は、愛子たちの元へ向かう。
ところが、町の中が騒がしい。ハジメが首を傾げていると、愛子が意外なポケモンと共にやって来た。
「南雲くん、皆さん、無事だったんですね! 清水くんも!」
「無事に魔人族は撃退、ポケモン達は山に帰って行きました」
「ガルーラも、母親と再会できたし」
「でも……何でバドレックスにレイスポス、ブリザポスが居るんです?」
「町が騒がしいのは、そのせいか……」
町の住人達が恐れるような目を向けているのは、愛子の隣に豊穣の王バドレックスと、その愛馬二頭が居るからだ。今の彼はブリザポスに跨がっている。
「バドレックスさんが言うには、『山の平穏を取り戻してくれたお礼をしたい』との事です」
「カムルゥ」
そうしてバドレックスがハジメに手渡したのは、緑色の石板であった。
ハジメは みどりのプレート を手に入れた!
「プレートじゃないか!」
あっさりと探していた物が見つかり、思わず目を見開き叫んでしまうハジメ。清水はプレートをまじまじと見る。町へ戻る道中で、彼はハジメの旅の目的を聞いていた。
「これが、ハジメの集めてるプレートって奴か。すげぇパワーだな」
「何でも、解放者がバドレックスさんに託したみたいです。いつかエヒトを倒す人が現れた時のために……」
「……ありがとう、バドレックス」
ハジメが礼を言うと彼は微笑み、そして愛馬たちと共に去っていった。だが町の住人たちは安心していない。清水がガルーラを連れているからだ。
「先生。悪いけど俺、ハジメ達と一緒に行きます」
「え? 何で……」
「園部の連れてるシェイミならともかく、ここの人たちはガルーラを怖がってるので」
敢えて聞こえる程の声量で告げると、住人たちはびくりと肩を震わせた。その様子に愛子は悲しそうな顔をするが、清水は続けた。
「それに、ハジメと旅して色んなポケモンを見たいですから」
「幸利……!」
「すいません、先生。俺は行きます」
愛子は清水の真剣な目を見て、ゆっくりと頷いた。
「分かりました。南雲くんも清水くんも、どうか生きて戻ってきて下さい。みんなで、地球に帰りましょう」
その言葉に、2人は頷いた。
愛子とクラスメイトに見送られたハジメ一行。その人数は5人となっていた。
「ティオさんもついて来るなんて、意外だなぁ」
「なに千宙腕さまを知るハジメがどのような人間なのか、知りたくなってな」
そう、清水の他にティオもついて来る事になったのだ。彼女は炎や雷の魔法が得意で、ウルの町の防衛戦ではユエと共に戦っている。旅する仲間が増えることにハジメは反対していなかった。
その時だった。シアのウサ耳が何かを捉えた。
「ハジメさん、何か来ます!」
「っ!」
先頭のハジメの前に現れたのは、1体のポケモンだった。
「バルル」
「バサギリ? どうして此処に」
バサギリはハジメをじっと見つめている。それを見たユエが、首を傾げながら言った。
「もしかして、仲間になりたがってる?」
「「「ええっ!?」」」
「ハジメお前、このポケモンと会ったのか?」
「あかいくさりで操られたのを、僕が砕いたけど……」
「それじゃな。このポケモンは、ハジメに恩義を感じておるのじゃろう」
ハジメが再びバサギリを見ると、彼は大きく頷いた。
「けど、君はストライク達のリーダーなんだろ? 群れはどうするのさ」
「バルッ!」
バサギリが森へ顔を向けると、1匹の体格の大きなストライクが、沢山の仲間を従えて頷いていた。どうやらバサギリは、長の座を若手に譲ったらしい。
「……そこまでして、行きたいんだね?」
「バルァッ!」
「分かった! なら、行くよ!」
空のモンスターボールを投げると、バサギリは大人しくボールに入る。ボールはゆっくりと揺れて、湯気と小さな花火が上がった。
「やった!」
「ハジメ。俺のガルーラも良いか?」
「おっと、そうだった。はいモンスターボール」
ハジメの仲間になった清水だったが、助けてくれたお礼なのか、ガルーラは彼について来ていた。もしやと悟った清水は、連れていくことを決めたのである。
「うしっ! 行くぞガルーラ!」
「ガル!」
ガルーラも同じようにボールに入り、小さな花火が上がる。
「バサギリ!」
「ガルーラ!」
「「ゲットだぜ!!」」
2人の笑顔は、とても眩しいものだった。
Q.ウィル・クデタはどうなった?
A.サイホーンに乗せられて怯えています。ほかの冒険者達はウルの町に滞在してます。書いていないのは、ポケモンを怖がるシーンを書くのに気が進まないからです。
次回は閑話として、あのポケモンとフラグを立てた女子のお話を予定しています。