中立商業都市フューレンへと戻ってきたハジメ一行。門の前に来たところ、冒険者ギルドの関係者が彼らを出迎えた。そして、本来の依頼であったウィル・クデタを、ギルド長のイルワに引き渡しに来たのだが……。
「えっと、何でウィルは怯えてるのかな?」
「僕の仲間をずっと怖がってまして。僕の天職にテイマーがあるので、テイムした魔物に怯えてるんですよ」
「そう言うことか……。まぁ生きているし、現実を見る良いきっかけになっただろう。彼に依頼を出した私にも責任はあるが……それは彼と私との問題だな」
別の控え室にウィルを送ると、イルワはハジメと向かい合って報酬の件を話す。
「さて。約束通り、君の仲間のステータスプレート発行をしよう。そして、その内容も秘密にする」
「よろしくお願いします」
なお、清水は既にステータスプレートを持っているため発行はされない。ハジメと共に仲間の能力の把握をすることになった。
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ユエ 323歳 女 レベル 75
天職:神子、魔物使い
筋力:120
体力:300
耐性:60
敏捷:120
魔力:6980
魔耐:7120
技能:自動再生(+痛覚操作)、全属性適性、複合魔法、魔力操作(+魔力放射+魔力圧縮+遠隔操作+効率上昇+魔素吸収)、想像構成(+イメージ補強力上昇+複数同時構成+遅延発動)、血力変換(+身体強化+魔力変換+体力変換+魔力強化+血盟契約)、高速魔力回復、回避行動
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「うわぁ、改めてみるとユエのステータスって半端じゃないね」
「物理的な耐久が低いから、典型的な遠距離攻撃タイプってイメージだな」
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シア・ハウリア 16歳 女 レベル 40
天職:占術師、魔物使い
筋力:60(+最大6100)
体力:80(+最大6120)
耐性:60(+最大6100)
敏捷:85(+最大6125)
魔力:3020
魔耐:3180
技能:未来視(+自動発動+仮定未来)、魔力操作(+身体強化+部分強化+変換効率上昇Ⅱ+集中強化)、回避行動
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「シアは魔力で身体強化をすることで、ステータスが変動するタイプなんだな」
「僕の技能にある、魔物攻撃耐性と似たような感じかな?」
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ティオ・クラルス 563歳 女 レベル 89
天職:守護者
筋力:770(+竜化状態4620)
体力:1100(+竜化状態6600)
耐性:1100(+竜化状態6600)
敏捷:580(+竜化状態3480)
魔力:4590
魔耐:4220
技能:竜化(+竜鱗硬化+魔力効率上昇+身体能力上昇+咆哮+風纏)、魔力操作(+魔力放射+魔力圧縮)、火属性適性(+魔力消費減少+効果上昇+持続時間上昇)、風属性適性(+魔力消費減少+効果上昇+持続時間上昇)、雷属性適性(+魔力消費減少+効果上昇+持続時間上昇)、竜属性適性(+魔力消費減少+効果上昇+持続時間上昇)、複合魔法
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「うわぁぁぁ!? 何この技能の数!?」
「チートだ! リアルチートが居るぞ!」
この世界の女性、強すぎね? 2人はそう思わずにはいられなかった。
そしてステータスプレートを見ていたイルワも、顎が外れそうな程に口をあんぐりと開けていた。
「い、いやいやいや、これは想像以上だな。君が発行に躊躇ったのも納得だよ」
更にハジメと清水は、自分達が異世界から呼び出された存在である事も打ち明けた。思わぬ追撃に、イルワの胃に精神的なダメージが重なる。
「まさか勇者一行の仲間だったなんて……。けど、それなのに教会を警戒してると言うことは、この魔物使いと言う天職が関係してるんだね?」
「そう言うことになります。教会にとって、魔物使いは忌むべきもの。人間の希望である勇者の仲間に、魔人族のような存在が居てはならない。向こうはそう考える筈です」
「で、どうするよ? アンタはそれを知っちまった訳だが、胃の安寧の為にも教会にチクるかい?」
警戒するような顔で清水が尋ねると、ユエにシアにティオも警戒する。
だがイルワは、とんでもないと首を大きく横に振った。
「君たち……特にナグモ君には、個人的な面でも恩がある。ましてや、ウルの町の防衛にも携わったとなれば、ギルドとしても君を敵に回すなんてあり得ないよ」
「え、何でウルの町の事を知ってるんですか?」
「幹部専用なのだが、長距離連絡用のアーティファクトがあるんだ。部下を監視につかせてたんだ。君たちの戦いに、かなり絶句してたけどね」
「なるほど……」
幸いなことに、イルワはハジメ達の事を口外しないと約束してくれた。それこそ誓約書を自ら作って書き、ギルド幹部としての判子を押してくれるほどに。さらに、後ろ楯を得やすいように、冒険者ランクを一気に金レベルまで上げると言う。
プレートを手に入れ、仲間まで増えて、後ろ楯を得て更にランクアップという、逆に怖くなる程の好調ぶりにハジメは驚きを通り越して苦笑いになった。もっとも、少しでも旅をしやすくなる為にと考えたことで、ありがたくそれらの待遇を受け入れた。
依頼を完遂したハジメは、フューレンで買い物をすることにした。次に向かう大迷宮は、グリューエン大火山。だがその道中は砂漠だ。砂漠は環境変化が極端な場所だ。昼間は暑く、夜は寒い。おまけに辺り一面砂ばかりが広がって方向感覚も狂いやすい。そこに、砂漠に適応した強靭なポケモン達がいるとなれば、入念な準備は必須だった。
「ガラスとかがあれば、『ぼうじんゴーグル』とか作れるけど……」
「まぁまぁハジメ、色々と堅苦しい話もした後なんだからさ。今は買い食いでも楽しもうぜ? この串焼きとかうめえぞ」
「トシユキの言う通りじゃ。目標に真っ直ぐ進むのも良いが、実りある道中にするならば寄り道も悪くないぞ?」
「そう、かな。じゃあその串焼きもーらいっ!」
「あ、テメッ、自分で買えよ!」
若い男女のグループが和気あいあいとしながら街中を歩く光景は、年配者の頬を緩ませる。あんな青春が自分にもあったなぁと懐かしみながら。
時に買い食いを、時に旅の道具を物色しながら宿へと向かっていた一行だったが、不意にシアのウサ耳がピクピクと動き出した。
「ハジメさん。私の耳が、何か音を捉えました」
「え? 僕は感じなかったけど……」
「何かの鳴き声が……。場所は……下です! 地下に何か居ます!」
「下水道に!?」
「ハジメ、錬成で穴を開けて! 何かを確かめる!」
ユエの声にハジメは頷き、錬成を発動。その場に穴を開けて下水道へ潜り込む。
そこに居た存在に、ハジメ達は驚いた。
「マナ! マナー!」
青いポケモンが、小さな子供にしがみついて声をかけていた。エメラルドグリーンの髪で可愛らしい顔の子供だが、その耳はヒレのようになっていて、手には水掻きのような膜がついている。
「海人族の子供、ですよね?」
「かもな。そして、そのポケモンは……ハジメ、知ってるのか?」
「マナフィ……!」
これが騒動の切っ掛けになることを、ハジメはまだ知らない。
はい、ミュウのポケモンはマナフィでした。
実は、私が初めて見たポケモン映画は、たまたまテレビで公開してた、蒼海の王子マナフィだったんです。なので登場させました。