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魔人族カトレアの狙い。それは、人間族から勇者と呼ばれる存在を勧誘することだった。
「(随分と派手な装備だねぇ。間違いなくコイツだね)」
明らかに「私が勇者です」と言ってそうな格好の光輝を見て、ため息を堪えつつ口を開く。
「これはこれは、勇者サマ。こんなところで会えるなんて光栄だよ」
「嘘を言うな! なぜ此処に居る!」
「言わないと状況を理解できないのかい? 本当に引き入れて良いものやら……。ま、答えるとするなら、アンタ達を勧誘しに来たのさ」
「ふざけるな! 人間を、王国の人たちを裏切るなんて事はしない!」
「ふーん? 上からは、あんたの仲間も引き入れて良いって言われてるけど?」
「何度も言わせるな! 俺たちの仲間は裏切ったりなんかしない! 1人で来たのが間違いだったな! 投降するんだ!」
この状況に内心で舌打ちしたのは、雫と永山重吾だった。パーティーの中でも頭が回る2人は、この階層に魔物が居ない原因が、目の前にいる魔人族であることを察していた。彼女が引き連れている、洞窟内には居ないであろう魔物達。所々で見かける暴れたような跡は、その魔物達を使って階層を制圧した跡だったのだ。
複数の魔物を操れると言うそのテクニックからして、まともに戦って勝てる相手ではない。適当に言いくるめて場所を変えたり、油断させるなりして奇襲を仕掛けようとしたのが、光輝の独断によってお釈迦になってしまったのだ。
「やっぱり断るかい。まあ、勧誘を受けないなら殺せと言う命令だし、アタシ個人としても要らないしねぇ。……やれ」
瞬時に飛び出したのは、テッカニンの群れだった。それに反応するのは、意外な事に香織だった。
「ヒヤァァ! 虫ぃ!」
「鈴ちゃん、怖いかもだけど結界貼って! あれはテッカニン、素早いよ!」
「わ、分かった! 来ないでぇ!」
「(へぇ? 明らかに回復役な小娘なのに、魔物に対する知識もあるのかい。レイスの奴がしくじったんだ、こりゃ神の鎖の過信は禁物か)」
鈴の貼った結界に激突するテッカニン達だったが、その鋭い爪を光らせる。“シザークロス”だ。それを見て声を上げたのが浩介だ。
「テッカニンは見た目の通り虫タイプだ! 炎の魔法を浴びせるんだ!」
「なら、
思わず素の一人称が出てしまった恵里が、最も簡単な魔法である火球を発射する。テッカニンはそれで怯むが、今度は辺りをゴゴゴゴと地揺れが発生した。
「テッカニンだけだと思わない事だねぇ!」
「っ! 下か!」
光輝がその場から離脱すると、彼のいた場所から金属の蛇のようなポケモン……ハガネールが現れた。
「遠藤くん、あれって!」
「ハガネール……! 現実で見るとデカい……!」
香織と浩介が戦慄する中、光輝が改めて剣を構える。
「ならば! 万翔羽ばたき、天へと至れ――天翔閃!!」
光輝が聖剣から極大な光を発しながら、ハガネールを切りつける。だが……。
「ネェェル……!」
「馬鹿な、聖剣の攻撃なのに、傷ひとつ無いなんて!?」
「はっ! 聖剣なんて大層な名前の割には、なまくらだったみたいだね! で……アタシを殺ろうとしても無駄だよ! バクガメス、防御しな!」
「ガッメェェス!」
「ぐぁぁぁっ!」
永山がカトレアを狙おうと接近するが、バクガメスの“トラップシェル”によってダメージを受ける。
そこへ龍太郎が接近、拳を構える。
「亀だってんなら、正面なら……!」
「お得意の炎を浴びせてやりな!」
「ガメスッ!」
「ぐおおお!」
鼻から噴き出す“かえんほうしゃ”。その圧力は凄まじく、龍太郎はそのまま吹き飛ばされた。
一声掛けたいのを堪え、雫が剣を構えて猛スピードでカトレアに迫る。
「(そこっ!)」
だが、彼女の剣を防ぐポケモンが瞬時に現れた。
「なっ……! 貴方は……!」
「エル……!」
「エルレイド……! 貴方まで操られてるなんて……!」
香織に同伴する形でハジメにイラストを見せてもらい、密かに一目惚れしたポケモン。それが敵として現れた事が、雫の心を揺さぶった。
最近気付いたのですが、テッカニンってセミだったんですね。黄色と黒の色合いから、今までクマバチだと思ってました。