「ここに戻ってくるとはなぁ……」
「クラスの皆と出くわしたら、何て言おうか……」
宿場町ホルアドへとやって来たハジメ達。初めてオルクス大迷宮を探索する時に訪れて以来となるため、ハジメと清水は懐かしむ。それと同時に、もしもクラスメイトと出会ったらどうなるかという不安もあった。ハジメは強い権力を持つ聖教教会によって死亡を公表されているし、清水は勇者としての戦いから逃げて愛ちゃん先生護衛隊に入っていた。正義感が強く、オタクを毛嫌いしてる(と2人は思っている)光輝ならば、出会って早々文句を言うことだろう。
「けど、香織の安否も気になるし……」
「一番の問題は檜山だろ。お前を落とした犯人かもしれないんだぜ?」
「それなんだよなぁ……」
溜め息をつく2人に、女性陣は心配そうな顔をしている。旅の道中ハジメの立ち位置や清水の境遇などを聞いた彼女達は、トラブルが起きないことを祈っていた。
「ハジメお兄ちゃんにユキトシお兄ちゃん、どうしたの? 具合悪いの?」
ハジメに肩車をされていたミュウが、上からヒョコっと覗き込む。彼女はすっかりハジメ達に懐いていた。ミュウの質問に、2人は心配させないようにと微笑む。
「大丈夫さ、ミュウ。僕たちはどこも具合悪くないよ」
「そうそう。気のせいだ、気のせい」
ハジメは物腰柔らかな、清水は口調は乱暴だが優しい兄。周りから見れば、そのように見えていただろう。
「何だかハジメさん達、すっかりお兄ちゃんですね」
「気持ちは分かる。ミュウって、何だか守ってあげたい可愛さがあるから」
「やがて過保護になるんじゃないかのぉ?」
2人のミュウに対する態度に、シアとユエとティオは苦笑いするのだった。
ホルアドの冒険者ギルドへやって来た一行。施設に入った瞬間、美女3人を連れてるハジメと清水に嫉妬の視線を向ける冒険者達だったが、そのいかつい顔面にミュウが怖がってしまった。
「大丈夫だよ、ミュウ」
「ハジメお兄ちゃん?」
「ここの人たちは、すぐに笑顔になるから。……デスヨネ?」
笑わなきゃ……分かるな? 笑顔の筈なのに尋常じゃない気迫がハジメから、否、ミュウを大切にしている全員が視線だけで訴えていた。
その迫力に呑まれた冒険者たちは慌てて笑顔を作るが、不自然過ぎてむしろ恐ろしい物になってしまった。
「ひううっ!」
「何お前ら怖がらせてんだ!」
「「「「理不尽!」」」
清水の台詞は、あんまりと言えばあんまりである。そんなコントのような光景に、受付嬢の営業スマイルも頬がひきつっていた。しかしハジメは気にせず、彼女にイルワからの手紙を提出する。
「これを、ギルド長に渡してもらえませんか?」
「フューレン支部からの手紙? か、かしこまりました。少々お待ちください」
近くの席へと案内され、手紙に対する返事を待つハジメ達。その時、入り口の扉を強く開け放ち、文字通り滑り込んできた影があった。
「誰か、誰か俺たちの仲間を助けてくれ!」
その姿、その声にハジメと清水は顔を見合わせる。そして思わずその名前を口にした。
「「浩介……?」」
2人の声に浩介も顔を上げた。
「幸利! それに……ハジメ!」
香織が命名した『ポケモントリオ』、意外な形での再会であった。
いよいよ、ハジメ達と浩介が再会。ハジメはどう対応するでしょうか。