なお、原作では隠れて休息するシーンがありましたが、ゴースト達の麻痺攻撃によって逃走手段も封じられてるため、この作品での勇者一行って実はめちゃくちゃピンチな状態です。
再びオルクス大迷宮へと戻ってきたハジメ達。大急ぎで中を進むが、走りながら浩介は思い出したかのように叫んだ。
「あっ!? 魔人族と出くわしたのは90階層だ。どうやって下に進めば良いんだ!? メルドさんに言われて転移陣は壊しちまったし……」
カトレアは浩介に気付かず追っ手は差し向けなかったが、メルドは万が一を警戒し、地上に行かせないよう転移陣を壊せと命令した。あの時はがむしゃらで転移直後に破壊したのだが、こうして緊急事態ともなるとその選択を後悔し始めていた。
だが、ハジメは慌てなかった。
「大丈夫さ。僕には、頼れる相棒がいる」
そう言ってモンスターボールを浩介に見せつつ、笑みを浮かべた。
光輝たちにメルドを始めとする騎士団が増援として駆けつけた。だが、それでも数は魔人族側が優勢で、勇者一行と騎士団の全員が疲弊していた。ゴーストの“したでなめる”攻撃によって麻痺した仲間を香織が回復させていたが、魔力が尽きかけている。恵里とミミッキュも、相手を迎撃し続けたことで疲労が蓄積し、技のキレが落ちていた。
「はあ、はあ……。ミミッキュ、大丈夫?」
「ミキュウ……」
特性『ばけのかわ』も剥がれてしまい、相手の攻撃でダメージを受けるようになってしまった。今のミミッキュの体力をゲームで表現するならば、HPバーが黄色から赤に変わるギリギリの状態と言える。
メルド達が駆けつけた時、恵里がミミッキュを連れている事にギョッとした。だが魔人族の操る魔物と戦う姿を見て、メルドは彼女が魔人族に寝返ったとは思えなかったのだ。
「(くっ、我ながら情けない! 少年少女たちに戦わせておいて、その挙げ句の果てに危機に陥らせるとは!)」
ゴーストは騎士たちの剣をすり抜け、テッカニンは魔法を詠唱している間にそのスピードで攻撃、ハガネールとバクガメスは持ち前のタフネスで未だ健在。エルレイドは雫が注意を引き付けているが、彼女は苦戦している。
「(それに光輝の聖剣で傷つかないというのも、予想外だった。大抵の魔物は倒せていたというのに)」
メルドがどうにか突破する方法を考えている間にも、光輝たちは魔物に攻撃し、そして反撃されている。今は雫を助けようとエルレイドに奇襲をしようとしたところを、ゴーストが瞬間移動で背後に現れて“したでなめる”攻撃をした。
「ぐ、あ、また体が……! 卑怯な……!」
「戦場に卑怯も何もあるかい! お遊びは終わりにしてやる。ハガネール、コイツらを纏めて吹き飛ばしな!」
「ネェェル……!」
ハガネールの口に銀色の光が蓄積されていく。“ラスターカノン”を撃とうとしているのだ。敗北を悟った香織は恋人を、雫は親友を、そしてメルドは救えなかった少年の名を心の中で叫ぶ。
「(ハジメくん……!)」
「(南雲くん……!)」
「(ハジメ……!)」
「うおおおおおおおおおお!!」
その瞬間、洞窟の天井がぶち破られた。
「っ! 何なんだい全く!」
土煙がゆっくりと晴れていく。その影はゆっくりと姿を現した。
「あ、あ……!」
香織の目に涙が溜まる。自身の記憶よりも遥かに逞しくなったその背中を見て、そしてこちらを見つめる眼差しを見て、愛しい人の名を呼んだ。
「ハジメ君!」
LEGENDSアルセウスでのゴーストタイプのポケモンって、見つかると瞬間移動染みた行動してくるので、この作品でも厄介な相手にしてみました。
次回、いよいよハジメ達vsカトレア(魔人族)です。