ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

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カトレア(魔人族)の操るポケモンとの戦いを書いたら、結構長くなりました……。それでは、どうぞ!


大バトル

 オルクス大迷宮の90階層、その洞窟の天井をぶち破って現れたのは、ハジメだった。だが彼の側に居るポケモンを見て光輝たちは剣を構える。

 

「アイツは……サイホーン! どういうつもりだ南雲、魔物となぜ一緒に居る!!」

 

「ま、待て待て! 待ってくれみんな!」

 

 ハジメにも攻撃が行きそうな状態に、慌てて飛び出してきたのは浩介だった。永山パーティーの仲間達が喜びの声を上げる。

 

「遠藤、無事だったのか!」

 

「あぁ! それに助けを呼んできた!」

 

「助けって……まさか南雲が?」

 

「ハジメだけじゃないさ!」

 

 その時だった。シュゴォォォと何やら飛行機のエンジン音を思わせるような音が聞こえてきた。光輝たち、そしてカトレアまでもが困惑していると、サイホーンが開けた穴からゴルーグが現れた。

 

「せ、石像の魔物だって!?」

 

「魔物って呼ばないで。彼らは、ポケモン」

 

 檜山が悲鳴染みた声で叫ぶが、ゴルーグの肩に乗っていたユエが冷ややかな目で告げながら着地した。

 

「ゴースト達ですか。アブソル、相手にとって不足はありません、行きますよ!」

 

「アブッ!」

 

「俺も居るぜ! さあ、暴れようかガルーラ!」

 

「ガルルゥ!」

 

「「「清水!?」」」

 

 クラスメイトが2人も駆けつけ、更に魔物まで仲間にしている。冷静さが売りの雫ですら混乱するような状況だった。

 ふと、ハジメと香織の目が合った。香織は思わず泣きそうになったのだが、ハジメが安心させるかのように微笑む。

 彼とて彼女の元へ駆け寄って抱き締めたい。だが、まずは目の前の敵を倒すことが先だった。

 

「クソ! 人間が魔物を操れるようになったなんて聞いてない! テッカニン、やっちまいな!」

 

「サイホーン、“ロックブラスト”だ!」

 

 サイホーンから放たれる岩によって打ち落とされるテッカニン達。だが、その中の1匹が攻撃を潜り抜け、ハジメの背後にいる香織や永山達を狙おうとしていた。

 

「しまっ……!」

 

「うおおお! 俺だってぇ!」

 

 飛び出したのは浩介。手にしていたダガーで、テッカニンの“シザークロス”をギリギリで防いだ。

 

「ハジメ、俺たちのことは気にするな! 遠慮なくやっちまえ!」

 

「浩介……!」

 

「ハジメさん、指示を!」

 

「ユエとゴルーグは、ハガネールを相手に! シアとアブソルはゴースト軍団! 幸利とガルーラはエルレイドを! 僕たちはバクガメスを相手にする!」

 

「「「了解!」」」

 

 テキパキとした指示を出し、それに返事する仲間達。地球にいた頃の大人しいイメージが強かった他のクラスメイト達は、アイツは本当に南雲なのか?と思っていた。

 その中で、恵里はボロボロのミミッキュを抱きかかえながらも、ハジメ達を見て安心感が出ていた。

 

「私だけじゃ、なかったんだ……!」

 

 だが、安心して一気に緊張感が抜けてしまったのか、彼女の背後からゆっくりとゴーストが迫っていることに、恵里は気付かなかった。

 それにいち早く気付いたのは、意外なことに幸利だった。急いで自分で編み出した魔法を発動する。

 

「危ねえ! 影縫い!」

 

「ゴォッ!?」

 

「っ!? 清水くん……」

 

「そのミミッキュ、疲れてるじゃねえか。ほら、この『キズぐすり』塗って一旦下がれよ。ガルーラ、ゴーストに“かみくだく”攻撃だ!」

 

「ガルゥ!」

 

 ゴーストを倒した後、再びエルレイドへ戦いを挑む幸利。塗るタイプの『キズぐすり』を貰った恵里は、彼の背中をポーッと眺めていた。

 

 

 

 

 

 ユエは、目の前のてつへびポケモンを睨んでいた。

 

「ハガネール……。ハジメの教えなら、あれはイワークが進化した姿。相手が金属なら……! ゴルーグ、“ほのおのパンチ”!」

 

「ゴルゥ!」

 

「ネル……!」

 

 鋼タイプに炎タイプの技は効果抜群。ハガネールは苦しそうな顔をし、またその体に巻き付いている赤い鎖はヒビが入る。

 

「行ける! そのまま“アームハンマー”!」

 

「ゴォォ、ルゥ!!」

 

 その時、ハガネールの尾が銀色に光りだした。“アイアンテール”を撃つつもりらしい。

 

「攻撃中止! その尻尾を掴んで!」

 

 威力を高めるために硬化された尻尾が、ゴルーグに向かって放たれる。“アイアンテール”が命中するものの、当たったと同時にその尻尾を掴み、壁へと投げ飛ばした。

 

「ネル……!」

 

「今度こそ決める! “アームハンマー”!」

 

「ゴォォル!」

 

 ゴルーグの拳が炸裂すると共に、ハガネールを纏っていた赤い鎖が砕け散った。

 

 

 

 

 

 アブソルの相手はゴーストの群れ。だが、その様子はまさに、無双という言葉が当てはまるだろう。

 

「アブソル、そのまま続けて“つじぎり”です!」

 

「アブッ!」

 

 アブソルの放つ“つじぎり”で、ゴースト達は次々と倒されていく。だが吹き飛ばされても、赤い鎖によって操られている為、何度も起き上がって攻撃してくる。

 

「ゴォォスッ!」

 

 ゴーストの“シャドーパンチ”が、シアを狙う。だが彼女は技能の『未来視』を活用してそれを避ける。他の個体が“シャドーボール”を放っても回避、更に別の個体が“ふいうち”をしても回避した。

 

「当たりませんよ! アブソル、“バークアウト”で纏めて吹き飛ばしましょう!」

 

「スゥゥゥ…………アァァァァァブ!」

 

 悪タイプのエネルギーが込められた咆哮は、ゴースト達を赤い鎖から解放するには十分であった。

 

「(まず1つ目の群れは撃破です! でもテッカニンの群れは、悪タイプのアブソルには厳しいかもしれません……)」

 

 

 

 

 

 幸利とガルーラはエルレイドを相手にしていた。

 

「ガルーラ、“メガトンパンチ”!」

 

「ガルウゥ!」

 

 ガルーラの拳がエルレイドを捉えようとするが、透明な壁のようなものが現れ、その威力を軽減した。エルレイドは咄嗟に“リフレクター”を展開したのである。

 

「エェル……!」

 

「ガルルゥ!?」

 

 そこから“サイコキネシス”で反撃してくる。だが幸利は慌てない。自身の相棒がそれで倒れないと信じているからだ。

 

「“きあいだめ”充分だな!」

 

「ガルッ!」

 

 さらに、攻撃を耐えてる間に“きあいだめ”をさせていた。相手の雰囲気が変わったことを察したエルレイドは、腕の刃を光らせて“つばめがえし”を放とうとする。

 

「くらいやがれ! “メガトンパンチ”!」

 

「ガッ、ルァァ!」

 

「エルッ!?」

 

 再び放たれた拳はエルレイドの顔面を捉え、まさにバトル漫画のワンシーンのように吹っ飛ばされた。

 

「エ……ルゥ……」

 

 グルグルと目を回すエルレイド。彼の鎖が砕けた。

 

 

 

 

 

 カトレアは目の前の光景が信じられずに居た。先程まで優位に立っていた自分達の魔物が、突如現れた人間達によって壊滅状態に陥っている。

 

「あんた、地上から来たんだろう! どうやってこんなに早く来たのさ!」

 

「サイホーンに“あなをほる”ように指示をしただけだよ」

 

 既にテッカニン達は倒された。残るはバクガメスだけである。

 一方のハジメは、腰に着けているもう1つのモンスターボールが揺れていることに気付き、苦笑する。

 

「おっと、忘れてないよ。出ておいでバサギリ」

 

「バルルゥ!」

 

 もう一体を出した所で、カトレアは勝機を見出だす。

 

「(1人で複数の魔物は操りにくい! アタシですらこれだけの数を引き連れるのは苦労してるんだ! 魔力すら無い人間が2匹も操れる筈がない!)」

 

「バサギリ、サイホーン、“ステルスロック”!」

 

 バサギリの方はバクガメス本体に向かって岩の棘を、サイホーンは相手の足元に尖った岩を放つ。

 

「ガメッ!」

 

「な、これじゃあ動けない……!」

 

 だがハジメの方も内心は驚いていた。

 

「(バサギリの“ステルスロック”は、罠を仕掛けるというよりも攻撃技なのか! ちょっと予想外だったけど、バクガメスにダメージは与えられたぞ!)」

 

 炎タイプを持つバクガメスに、岩タイプの技は効果抜群だ。そうとは知らず、カトレアは命令する。

 

「とっとと焼き払いな!」

 

「ガ、ガメスッ!」

 

 鼻から放たれる“かえんほうしゃ”だが、ハジメはサイホーンに指示を出す。

 

「“ドリルライナー”!」

 

 炎を突き破って現れたサイホーン。だがバクガメスは、本能で“トラップシェル”を発動した。効果がいまひとつとは言え、顔面の近くで爆発など起これば技の効果でなくとも怯んでしまう

 

「グォウ……!」

 

「ごめんサイホーン! けど、動きが止まった今なら……! バサギリ、“ストーンエッジ”!」

 

「バルァァ!」

 

 地面に勢いよく石斧を叩きつければ、それに呼応するかのように岩石の刃がバクガメスを襲う。

 

「ガメ……!」

 

「いま解放するからね! サイホーン、“ドリルライナー”! バサギリ、“がんせきアックス”!!」

 

「「グオオオオオオ!!」」

 

 効果抜群の技を立て続けに受け、バクガメスを操る赤い鎖が完全に砕け散る。

 

「ガメェ~……」

 

「神の鎖が!? そうか、レイスの奴が失敗したのはこう言うことだったのかい……!」

 

 その様子に、カトレアは苦々しい顔をした。

 

 

 

 

 

 操っていたポケモン達が倒され、ハジメに追い詰められたカトレア。ハジメはいつものように錬成をする。

 

「錬成」

 

「っ……!」

 

 カトレアを囲うように尖った岩が錬成された。下手に逃げようならばその岩が彼女の体を容易く貫通するだろう。

 

「さて、と。ポケモン達を操る赤い鎖の事についてとか、色々教えて貰おうか」

 

「人間に有利になる情報を話すとでも思ってるのかい?」

 

「思わないね。だったら根比べだ。僕はしつこく聞き続けて、君はひたすら無視をする。どちらが先に折れるか勝負といこうじゃないか」

 

 サイホーンとバサギリも彼女を威嚇するように睨む。だがカトレアは俯くと、体を震わせた。

 

「ふ、ふふ、あの勇者に比べたら中々やるようだけれども、やっぱりお子ちゃまだね」

 

「……何を企んでいる」

 

 様子の変わったカトレアにハジメだけでなくユエ達も警戒すると、彼女は顔を上げて大声で呼んだ。

 

 

「ケーシィ! アタシを脱出させな!」

 

 

 その瞬間カトレアの近くに、腕に赤い鎖を巻かれたケーシィが現れた。

 

「っ! 待て!」

 

「脱出手段も用意してると考えなかった、あんたの敗けだよ!」

 

 カトレアはそう言い残すと、ケーシィの“テレポート”によって姿を消した。

 

「……逃げられたか、クソッ!」

 

 ハジメは悔しさのあまり、拳を握るしかなかった。

 




カトレア、まさかの脱出手段を持っていて逃走。原作のようには死にませんでした。
次回は、敵も退けたことですし、本当の本当に香織との再会です。
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