ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

63 / 146
今回は魔人族のお話。脱出したあと、カトレアはどうなったでしょうか。


閑話:本当の切り札

 オルクス大迷宮より、ケーシィの“テレポート”で脱出したカトレア。彼女は必死で自国に戻ろうとしていた。

 

「せめて敵の情報を伝えて、処罰を軽くして貰えれば……!」

 

 その時だった。彼女の足が突然動かなくなる。

 

「っ!? 何で!」

 

「任務失敗の処罰をする」

 

 現れたのは、フードを被った者達。先頭に立つ者の側には赤い鎖で操られたクロバットがいて、“くろいまなざし”をカトレアに向けていた。

 

「(コイツらまさか、フリード様が編成したって言う懲罰部隊……!)」

 

「キノガッサ、“きのこのほうし”」

 

 別のフードの者が命じると、同じく赤い鎖で操られたキノガッサが胞子をカトレアに浴びせる。

 

「う、あ……!」

 

 抵抗もむなしく、カトレアは意識を失った。

 

 

 

 

 

 カトレアはゆっくりと目を覚ます。そして自分の状態に驚いた。

 

「ん……こ、これは!?」

 

 十字架のような物に磔にされ、身動きが取れなくなっていたのだ。

 

「これは、いったい……」

 

 辺りを見渡すと、1つの十字架が目に入った。磔にされている同族の名を思わず叫ぶ。

 

「レイス!?」

 

 ウルの町の襲撃に失敗し、それ以降戦場に出ていないと聞いていた。

 だが何よりも驚いたのは、磔にされているレイスは()()()()()()()事だった。その顔はまるで死に恐怖する瞬間で止められたようにも見える。

 

「此処は、此処はいったい何なんだい!」

 

 

「我らの切り札を発動させるための場所だ」

 

 

 声の主へ顔を向けると、そこには自分達の総司令とも言える男が居た。

 

「フリード様……!」

 

 魔人族が信仰する神アルヴの信者であり、その神託を受けた将軍。赤い鎖の作成方法を神託で知り、『ある3匹の魔物』を捕らえて、鎖を量産してる男である。

 

「カトレア。貴様は、我らが神の力が込められし鎖を無駄にしたな?」

 

「お言葉ですがフリード様。人間が魔物を操る方法を見つけ、それに敗れたのです! その人間たちが来なければ、私は人間族が召喚したと言う勇者を殺せていました!」

 

「……ほう? 人間が?」

 

 怪訝な顔をするフリード。だがカトレアに向ける視線は厳しいものであった。

 

「カトレアよ。神の鎖を持たない人間に負けたと言うのなら、それは神の鎖を使いこなせていないと言うこと。つまり貴様は、アルヴ様の力の結晶に触れる資格が無いと言うことだ」

 

 フリードが手を上げると、カトレアが拘束されている十字架の根本に魔方陣が展開された。そこから少し遅れて、フリードの背後にある存在にも、魔方陣が展開される。

 

「あれは……?」

 

「だが、それでもアルヴ様の役には立てるだろう。文字通り、命をもってな」

 

「うっ、ぐうっ!?」

 

 彼女を襲う胸苦しさ。まるで何かを吸い取られていくような感覚だ。

 

「がっ、あぁっ! うぐぅあぁぁぁぁ!」

 

「その命を、アルヴ様が与えし本当の切り札……破壊の繭に捧げるのだ」

 

「ぎっ、がぁっ、あがぁぁぁ!」

 

 視線を向ければ、手足が石化し、ゆっくりと自分の体を石へと変えていく。その恐怖が、呻きと絶叫から命乞いへと変えた。

 

「嫌ぁぁぁぁ! 死にたく無いぃぃぃ! ミハイルぅぅぅぅ…………!」

 

 完全に石と化したカトレア。フリードはふんと鼻を鳴らすと、近くで待機している懲罰部隊の隊員に告げる。

 

「彼女とミハイルとは、確か恋人であったか。ミハイルには彼女が戦死したと伝えておけ。仇を討たんとする志を持って戦いに臨むだろう」

 

「はっ!」

 

 そうしてフリード以外誰も居なくなる。その時だった。

 

 

        ドクン

 

 

「っ! おぉ……!」

 

 フリードがその鼓動に、顔を綻ばせる。

 

「目覚めが近い……! アルヴ様より与えられし力で、神敵を滅ぼす日は近いぞ……!」

 

 彼の目は、どこか狂気に満ちていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――馬鹿な……。早すぎる……。

 

 

 狂信者は知らない。破壊の繭とは対になる存在が、ある大迷宮の最奥で目覚めたことを。

 

 

――生命の秩序が、乱されようとしている……。

 

 

 とある地底にて調停者が目覚め、完全な姿(パーフェクトフォルム)となるべく小さな細胞を集め始めたことをも。




フリード、まさかの破壊の繭を目覚めさせ、赤い鎖で操ろうとしていました。しかし当然、それを許さないのが他の伝説ポケモン。魔人族の未来は果たして……?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。