オルクス大迷宮より、ケーシィの“テレポート”で脱出したカトレア。彼女は必死で自国に戻ろうとしていた。
「せめて敵の情報を伝えて、処罰を軽くして貰えれば……!」
その時だった。彼女の足が突然動かなくなる。
「っ!? 何で!」
「任務失敗の処罰をする」
現れたのは、フードを被った者達。先頭に立つ者の側には赤い鎖で操られたクロバットがいて、“くろいまなざし”をカトレアに向けていた。
「(コイツらまさか、フリード様が編成したって言う懲罰部隊……!)」
「キノガッサ、“きのこのほうし”」
別のフードの者が命じると、同じく赤い鎖で操られたキノガッサが胞子をカトレアに浴びせる。
「う、あ……!」
抵抗もむなしく、カトレアは意識を失った。
カトレアはゆっくりと目を覚ます。そして自分の状態に驚いた。
「ん……こ、これは!?」
十字架のような物に磔にされ、身動きが取れなくなっていたのだ。
「これは、いったい……」
辺りを見渡すと、1つの十字架が目に入った。磔にされている同族の名を思わず叫ぶ。
「レイス!?」
ウルの町の襲撃に失敗し、それ以降戦場に出ていないと聞いていた。
だが何よりも驚いたのは、磔にされているレイスは
「此処は、此処はいったい何なんだい!」
「我らの切り札を発動させるための場所だ」
声の主へ顔を向けると、そこには自分達の総司令とも言える男が居た。
「フリード様……!」
魔人族が信仰する神アルヴの信者であり、その神託を受けた将軍。赤い鎖の作成方法を神託で知り、『ある3匹の魔物』を捕らえて、鎖を量産してる男である。
「カトレア。貴様は、我らが神の力が込められし鎖を無駄にしたな?」
「お言葉ですがフリード様。人間が魔物を操る方法を見つけ、それに敗れたのです! その人間たちが来なければ、私は人間族が召喚したと言う勇者を殺せていました!」
「……ほう? 人間が?」
怪訝な顔をするフリード。だがカトレアに向ける視線は厳しいものであった。
「カトレアよ。神の鎖を持たない人間に負けたと言うのなら、それは神の鎖を使いこなせていないと言うこと。つまり貴様は、アルヴ様の力の結晶に触れる資格が無いと言うことだ」
フリードが手を上げると、カトレアが拘束されている十字架の根本に魔方陣が展開された。そこから少し遅れて、フリードの背後にある存在にも、魔方陣が展開される。
「あれは……?」
「だが、それでもアルヴ様の役には立てるだろう。文字通り、命をもってな」
「うっ、ぐうっ!?」
彼女を襲う胸苦しさ。まるで何かを吸い取られていくような感覚だ。
「がっ、あぁっ! うぐぅあぁぁぁぁ!」
「その命を、アルヴ様が与えし本当の切り札……破壊の繭に捧げるのだ」
「ぎっ、がぁっ、あがぁぁぁ!」
視線を向ければ、手足が石化し、ゆっくりと自分の体を石へと変えていく。その恐怖が、呻きと絶叫から命乞いへと変えた。
「嫌ぁぁぁぁ! 死にたく無いぃぃぃ! ミハイルぅぅぅぅ…………!」
完全に石と化したカトレア。フリードはふんと鼻を鳴らすと、近くで待機している懲罰部隊の隊員に告げる。
「彼女とミハイルとは、確か恋人であったか。ミハイルには彼女が戦死したと伝えておけ。仇を討たんとする志を持って戦いに臨むだろう」
「はっ!」
そうしてフリード以外誰も居なくなる。その時だった。
ドクン
「っ! おぉ……!」
フリードがその鼓動に、顔を綻ばせる。
「目覚めが近い……! アルヴ様より与えられし力で、神敵を滅ぼす日は近いぞ……!」
彼の目は、どこか狂気に満ちていた。
――馬鹿な……。早すぎる……。
狂信者は知らない。破壊の繭とは対になる存在が、ある大迷宮の最奥で目覚めたことを。
――生命の秩序が、乱されようとしている……。
とある地底にて調停者が目覚め、
フリード、まさかの破壊の繭を目覚めさせ、赤い鎖で操ろうとしていました。しかし当然、それを許さないのが他の伝説ポケモン。魔人族の未来は果たして……?