ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

68 / 146
シフトの急な変更や、夜間勤務の連続によるモチベ低下で投稿が遅れました。申し訳ありません。
なお、一番のモチベ低下理由は、休みが少なくポケモン映画祭に行けないことです。


ファイヤー、襲来!

 グリューエン大火山へやって来たハジメ達。だが、火山の麓に足を踏み入れた瞬間、砂漠よりも気温が上がったように感じた。

 

「暑いよぉ……」

 

「ハジメ、ミュウを連れてこなくて正解だったな」

 

「だねぇ……」

 

 ハジメに香織に幸利、シアにユエが暑さにグッタリしている。ところがティオは平然としていた。

 

「妾には適温じゃのぉ」

 

「流石ティオ。竜人族だからか」

 

「最も、溶岩に落ちればどうなるかは分からぬが。……ハジメよ! 敵じゃ!」

 

 ティオの声にハッとした瞬間、空から鳥の鳴き声が響いた。

 

 それは、まさに「火の鳥」と呼ぶに相応しい存在だった。全身が燃え盛っているにも関わらず苦しむ様子は無く、その目付きは鋭い。

 火の鳥というまさにファンタジー世界に居そうな生き物の登場に、香織たちは驚く。だがハジメは驚きながらもその名を叫んだ。

 

「ファイヤーだって!? 大迷宮に挑む前に戦うなんて……!」

 

 ファイヤーから放たれる威圧。それが、ハジメを無意識にモンスターボールへ手を伸ばさせていた。

 

「行くぞ、サイホーン!」

 

「グァァァァウ!!」

 

 ファイヤーに負けじと、サイホーンは咆哮を上げる。

 

「“ロックブラスト”!」

 

 先手必勝と言わんばかりに攻撃を仕掛けるハジメとサイホーン。だがファイヤーは避けもせず、何か力を溜めている。それはファイヤーの体から発せられる光によって、ハジメにも警戒心を抱かせていた。天職である魔物学の効果によって、その技を看破する。

 

「“ゴッドバード”か! サイホーン、僕と技を合わせるよ!」

 

「グラァ!」

 

 サイホーンは地面に力を流し込み、ハジメはいつも行う錬成のように手を合わせる。エネルギーを溜め終えたファイヤーが、眩い光を放ちながら猛スピードで突っ込んできた。

 

「“ストーンエッジ”!!」

 

 岩石の刃がファイヤーに向かって次々と放たれるが、効果抜群にも関わらずファイヤーは突っ込んでくる。その突撃は、タイプ相性や体重の差があるにも関わらず、サイホーンを大きく後退させるほどの威力であった。その余波でハジメも吹き飛ばされる。

 

「が、ぁぁ!」

 

「ハジメ君!」

 

 香織が急いで駆け寄り、治癒魔法を掛ける。傷が癒えるのを実感しながらも、ハジメはファイヤーを睨んでいた。

 

「さすが伝説……!」

 

 ファイヤーはまだ余裕なのか、ハジメを見下ろしながらゆっくりと羽ばたいている。

 

「クァァァァン!!」

 

 その瞬間、周囲の気温が一気に上昇した。ファイヤーがその翼を大きく羽ばたかせると、その風は目に見える程に赤くなる。“ねっぷう”は技の1つに過ぎないが、本来のポケモン世界で『夏の神』と呼ばれる存在によるその技は、恐ろしい熱量を含んでいた。

 

「ハジメ、あぶねえ! ガルーラぁ!」

 

「ゴルーグ!」

 

「アブソル!」

 

「「「“まもる”!!」」」

 

 幸利、ユエ、シアのポケモンによる三重の半透明な壁がハジメ達を覆った。更に香織が詠唱をすることで、防いでもなお襲ってくる熱によるダメージを軽減した。ティオも、扇子を軽く振るうことで風を操作し、“ねっぷう”を別の場所へ逸らしたのだった。

 

「クァァァ!!」

 

 今度は“エアスラッシュ”。風の刃がハジメ達を襲う。“まもる”が解除された瞬間を狙っての攻撃だった。巨体のゴルーグが身を挺して庇う。

 

「“メガトンパンチ”!」

 

 ユエの声で、ゴルーグは襲ってくる風の刃を振り切って、技を放つために静止しているファイヤーを拳で捉える。その時、相手はゲームで見せない動きを見せた。

 

「ゴルッ!?」

 

 再び放たれる“ねっぷう”。だが先程のが広範囲の技ならば、今放っているのは単体を対象とした高威力の技である。凄まじい熱量は、今までどんな攻撃も受け止めてきたゴルーグの体を焦がし、拳の威力を低減させる。

 

「ゴルーグ、下がって! “破断”!」

 

 ユエが水属性魔法によるレーザーを放つ。限界まで圧縮した水はそう簡単には蒸発せず、ファイヤーに命中した。

 

「当たったのに……怯む素振りすら無いなんて!」

 

「ユエさん、ゴルーグを戻してください! 香織さんが治療します!」

 

「回復役は任せて!」

 

「ん、お願い!」

 

 ゴルーグと入れ替わるように、今度はアブソルが前に出る。

 

「アブソル、“かげぶんしん”で撹乱です!」

 

「アブッ!」

 

 瞬時に現れる分身たち。ファイヤーは面倒くさそうに再び“エアスラッシュ”を放とうとする。

 だが、それはシアの能力である未来視が見切っていた。更に近くにあった大岩を、腕と足に身体強化を掛けた状態で持ち上げ、ファイヤー目掛けて放り投げた。

 

「どっ、りゃあぁぁぁ!」

 

「!?」

 

 風の刃は大岩に防がれ、岩は砕け散る。その大きな欠片にアブソルは“でんこうせっか”で飛び移り、ファイヤーとの距離を詰めていく。

 

「そのまま“つじぎり”!」

 

「アァァブ!」

 

「ッ!」

 

 だが、ファイヤーはすぐに“つばさでうつ”攻撃でアブソルを地面に叩き落とした。燃え盛る強靭な翼による攻撃は、アブソルに大ダメージを与えた。

 交代するように幸利とガルーラが前に出る。

 

「シア、交代だ! 行くぜガルーラ!」

 

「ガルァァ!」

 

「まずは動きを止めてやる! 影縫いを食らいやがれ!」

 

 自身の魔法をアレンジして生み出した『影縫い』は、文字通り相手の影を地面に縫い付けて動きを封じる技だ。空は晴れており、地面に影が出来てる以上通じると思って魔法を発動した。

 ところが、ファイヤーは自分の動きに違和感を持って眉をしかめた後、自身の炎で魔法を無理やり解いてしまった。

 

「なっ!? くそ、ガルーラ! “がんせきふうじ”だ!」

 

「ガルッ!」

 

 ファイヤーの真上に岩が降り注ぐ。“ねっぷう”で粉砕された。

 

「“はかいこうせん”!」

 

 強力な光線が発射されたが、それも容易く避けられた。“つばさでうつ”攻撃をするためか、急降下してくる。

 

「近付いてきたな! “かみなりパンチ”だ!」

 

「ガルアァ!」

 

 ガルーラの拳がファイヤーを捉える。だが炎を纏ったファイヤーは拳に込められた電気エネルギーとぶつかり合い、倒れることはなかった。

 そこへハジメが援護に駆けつける。

 

「バサギリ、“がんせきアックス”!」

 

「バルァァァァ!!」

 

「ッ!!」

 

 横からの攻撃に、ファイヤーが目を見開いた頃には吹き飛ばされていた。

 

「……………………」

 

 見れば、治療を終えたゴルーグとアブソルも復活している。この場に居る全員が、ファイヤーとの戦いを諦めていなかった。

 

「……ピィィィィ!!」

 

「っ、待てよ!」

 

 空へ向けて飛び立っていくファイヤーに、幸利は逃がさないと魔法を向けようとした。

 

「幸利、もう良いよ。……終わったんだ」

 

「終わり?」

 

「ファイヤーの目が、優しいものになってた。たぶん僕たちを試してたんじゃないかな」

 

「お試しであそこまでやるの……?」

 

 幸利や香織は、初めての伝説ポケモンとの戦いに腰が抜けた。また同じく伝説との戦いが初めてなティオも、座り込みはしなかったが冷や汗をかいていた。

 

「その火山の奥には、また別の試練があると言うことじゃな……」

 

 視線の先にある大迷宮の入り口。まるで「神の力が欲しくばここまで来い」と言ってるような、そんな雰囲気を醸し出していた。




軽く終わらせるつもりが、皆さんがあまりにも「睨み付けるさん」と呼ぶもんですから、気付いたら一話丸々使ってました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。