なお、一番のモチベ低下理由は、休みが少なくポケモン映画祭に行けないことです。
グリューエン大火山へやって来たハジメ達。だが、火山の麓に足を踏み入れた瞬間、砂漠よりも気温が上がったように感じた。
「暑いよぉ……」
「ハジメ、ミュウを連れてこなくて正解だったな」
「だねぇ……」
ハジメに香織に幸利、シアにユエが暑さにグッタリしている。ところがティオは平然としていた。
「妾には適温じゃのぉ」
「流石ティオ。竜人族だからか」
「最も、溶岩に落ちればどうなるかは分からぬが。……ハジメよ! 敵じゃ!」
ティオの声にハッとした瞬間、空から鳥の鳴き声が響いた。
それは、まさに「火の鳥」と呼ぶに相応しい存在だった。全身が燃え盛っているにも関わらず苦しむ様子は無く、その目付きは鋭い。
火の鳥というまさにファンタジー世界に居そうな生き物の登場に、香織たちは驚く。だがハジメは驚きながらもその名を叫んだ。
「ファイヤーだって!? 大迷宮に挑む前に戦うなんて……!」
ファイヤーから放たれる威圧。それが、ハジメを無意識にモンスターボールへ手を伸ばさせていた。
「行くぞ、サイホーン!」
「グァァァァウ!!」
ファイヤーに負けじと、サイホーンは咆哮を上げる。
「“ロックブラスト”!」
先手必勝と言わんばかりに攻撃を仕掛けるハジメとサイホーン。だがファイヤーは避けもせず、何か力を溜めている。それはファイヤーの体から発せられる光によって、ハジメにも警戒心を抱かせていた。天職である魔物学の効果によって、その技を看破する。
「“ゴッドバード”か! サイホーン、僕と技を合わせるよ!」
「グラァ!」
サイホーンは地面に力を流し込み、ハジメはいつも行う錬成のように手を合わせる。エネルギーを溜め終えたファイヤーが、眩い光を放ちながら猛スピードで突っ込んできた。
「“ストーンエッジ”!!」
岩石の刃がファイヤーに向かって次々と放たれるが、効果抜群にも関わらずファイヤーは突っ込んでくる。その突撃は、タイプ相性や体重の差があるにも関わらず、サイホーンを大きく後退させるほどの威力であった。その余波でハジメも吹き飛ばされる。
「が、ぁぁ!」
「ハジメ君!」
香織が急いで駆け寄り、治癒魔法を掛ける。傷が癒えるのを実感しながらも、ハジメはファイヤーを睨んでいた。
「さすが伝説……!」
ファイヤーはまだ余裕なのか、ハジメを見下ろしながらゆっくりと羽ばたいている。
「クァァァァン!!」
その瞬間、周囲の気温が一気に上昇した。ファイヤーがその翼を大きく羽ばたかせると、その風は目に見える程に赤くなる。“ねっぷう”は技の1つに過ぎないが、本来のポケモン世界で『夏の神』と呼ばれる存在によるその技は、恐ろしい熱量を含んでいた。
「ハジメ、あぶねえ! ガルーラぁ!」
「ゴルーグ!」
「アブソル!」
「「「“まもる”!!」」」
幸利、ユエ、シアのポケモンによる三重の半透明な壁がハジメ達を覆った。更に香織が詠唱をすることで、防いでもなお襲ってくる熱によるダメージを軽減した。ティオも、扇子を軽く振るうことで風を操作し、“ねっぷう”を別の場所へ逸らしたのだった。
「クァァァ!!」
今度は“エアスラッシュ”。風の刃がハジメ達を襲う。“まもる”が解除された瞬間を狙っての攻撃だった。巨体のゴルーグが身を挺して庇う。
「“メガトンパンチ”!」
ユエの声で、ゴルーグは襲ってくる風の刃を振り切って、技を放つために静止しているファイヤーを拳で捉える。その時、相手はゲームで見せない動きを見せた。
「ゴルッ!?」
再び放たれる“ねっぷう”。だが先程のが広範囲の技ならば、今放っているのは単体を対象とした高威力の技である。凄まじい熱量は、今までどんな攻撃も受け止めてきたゴルーグの体を焦がし、拳の威力を低減させる。
「ゴルーグ、下がって! “破断”!」
ユエが水属性魔法によるレーザーを放つ。限界まで圧縮した水はそう簡単には蒸発せず、ファイヤーに命中した。
「当たったのに……怯む素振りすら無いなんて!」
「ユエさん、ゴルーグを戻してください! 香織さんが治療します!」
「回復役は任せて!」
「ん、お願い!」
ゴルーグと入れ替わるように、今度はアブソルが前に出る。
「アブソル、“かげぶんしん”で撹乱です!」
「アブッ!」
瞬時に現れる分身たち。ファイヤーは面倒くさそうに再び“エアスラッシュ”を放とうとする。
だが、それはシアの能力である未来視が見切っていた。更に近くにあった大岩を、腕と足に身体強化を掛けた状態で持ち上げ、ファイヤー目掛けて放り投げた。
「どっ、りゃあぁぁぁ!」
「!?」
風の刃は大岩に防がれ、岩は砕け散る。その大きな欠片にアブソルは“でんこうせっか”で飛び移り、ファイヤーとの距離を詰めていく。
「そのまま“つじぎり”!」
「アァァブ!」
「ッ!」
だが、ファイヤーはすぐに“つばさでうつ”攻撃でアブソルを地面に叩き落とした。燃え盛る強靭な翼による攻撃は、アブソルに大ダメージを与えた。
交代するように幸利とガルーラが前に出る。
「シア、交代だ! 行くぜガルーラ!」
「ガルァァ!」
「まずは動きを止めてやる! 影縫いを食らいやがれ!」
自身の魔法をアレンジして生み出した『影縫い』は、文字通り相手の影を地面に縫い付けて動きを封じる技だ。空は晴れており、地面に影が出来てる以上通じると思って魔法を発動した。
ところが、ファイヤーは自分の動きに違和感を持って眉をしかめた後、自身の炎で魔法を無理やり解いてしまった。
「なっ!? くそ、ガルーラ! “がんせきふうじ”だ!」
「ガルッ!」
ファイヤーの真上に岩が降り注ぐ。“ねっぷう”で粉砕された。
「“はかいこうせん”!」
強力な光線が発射されたが、それも容易く避けられた。“つばさでうつ”攻撃をするためか、急降下してくる。
「近付いてきたな! “かみなりパンチ”だ!」
「ガルアァ!」
ガルーラの拳がファイヤーを捉える。だが炎を纏ったファイヤーは拳に込められた電気エネルギーとぶつかり合い、倒れることはなかった。
そこへハジメが援護に駆けつける。
「バサギリ、“がんせきアックス”!」
「バルァァァァ!!」
「ッ!!」
横からの攻撃に、ファイヤーが目を見開いた頃には吹き飛ばされていた。
「……………………」
見れば、治療を終えたゴルーグとアブソルも復活している。この場に居る全員が、ファイヤーとの戦いを諦めていなかった。
「……ピィィィィ!!」
「っ、待てよ!」
空へ向けて飛び立っていくファイヤーに、幸利は逃がさないと魔法を向けようとした。
「幸利、もう良いよ。……終わったんだ」
「終わり?」
「ファイヤーの目が、優しいものになってた。たぶん僕たちを試してたんじゃないかな」
「お試しであそこまでやるの……?」
幸利や香織は、初めての伝説ポケモンとの戦いに腰が抜けた。また同じく伝説との戦いが初めてなティオも、座り込みはしなかったが冷や汗をかいていた。
「その火山の奥には、また別の試練があると言うことじゃな……」
視線の先にある大迷宮の入り口。まるで「神の力が欲しくばここまで来い」と言ってるような、そんな雰囲気を醸し出していた。
軽く終わらせるつもりが、皆さんがあまりにも「睨み付けるさん」と呼ぶもんですから、気付いたら一話丸々使ってました。