今回は久しぶりにも関わらず、短いしシリアスです。
グリューエン火山の大迷宮を突破し、無事にアルセウスのプレート「ひのたまプレート」を手にしたハジメ。
だが、迷宮の最奥に眠るグラードンよりプレートを通じて伝えられたのは、シンオウ三神の怒りが蓄積されているという内容だった。
出来る限り早く、解放者達が奪還したプレートを回収し、力を失ったアルセウスを復活させなければならない。ハジメはそう決意した。
解放者が残してくれた転移の魔方陣で、大迷宮を抜け出したハジメ達。次に向かうは、ミュウの故郷であるエリセンだ。その為にも、アンカジ公国で留守番をさせているミュウを迎えに行かなければならない。
そうして公国へと戻り宮殿へミュウを迎えに行くと、彼女もハジメ達に気付いたのかトテトテと走ってきた。
「ハジメお兄ちゃん~!」
「ミュウ~!」
笑顔で駆け寄ってくるミュウを、ハジメは両腕を広げて受け止める姿勢になる。そのまま抱きついてきた所で、優しく背中を撫でた。
「お帰りなさいなの!」
「ただいま、ミュウ。マナフィもお留守番ご苦労様」
「マナァ!」
ミュウの頭の上に、たれパ〇ダのように乗っかっているマナフィにも声をかける。ミュウとマナフィの笑顔に、周りの使用人たちもホッコリしていた。
「ランズィさん。ミュウとマナフィを預かってくれてありがとうございます」
「なに、娘も年下の彼女と接して色々成長したことだろう。次はエリセンに?」
「はい。ミュウを母親のもとへ帰さないといけないし、海の大迷宮についても知りたいですから」
「火山の迷宮から帰ってきたばかりなのに、もう次の迷宮か。少々気が早いのではないか?」
「ま、まぁ、休憩も挟むので大丈夫ですよ!」
「そうか? ならば良いのだが……」
ランズィ達に礼を言うと、ハジメ達はミュウの故郷エリセンへと向かうのだった。
その道中。砂漠を超えて再び木々の生える地帯へと足を踏み入れたハジメ達。今は夜になった為、近くの川辺にテントを立てて野宿する事にした。
夕飯を食べ終えて、眠くなるまで談笑でもしようかと言う時に、歌声が聞こえてきた。
「~♪ ~~♪」
「綺麗な声……」
「マナフィが歌ってるのか」
川の真ん中にある岩場をステージに、夜空へ向けて歌うマナフィ。その様子を全員のポケモンだけではなく、ヘイガニやドジョッチなど、水辺のポケモン達も聞き惚れている。
ハジメはその光景を見ながら、出来る限り目を逸らし続けていた現実を思う。
「(マナフィが居ると言うことは、もしかして存在しているのか? アクーシャが……)」
海の神殿アクーシャ。劇場版ポケットモンスターに出てくる神殿で、水の民と呼ばれる一族が作ったと言われている。
仮に存在するのだとしたら、次の大迷宮は其処になるかもしれない。だがそれは、あることを意味していた。
「(マナフィは、海に住むポケモン達のリーダーになるために、海へと帰らなければならない。それはつまり……ミュウと別れないといけない)」
マナフィの歌声に拍手を送る少女。その笑顔を見て、この現実を教えた方が良いのか。ハジメは葛藤するのだった。
次回より、エリセン編に入ります。