ポケットモンスター トータス【本編完結】   作:G大佐

72 / 146
エリセン編、突入です。


海上都市エリセン

 ミュウの故郷エリセンに到着したハジメ達。早速母親と感動の再会!……とはならなかった。

 

「だから、僕たちはミュウを保護してるのであって……!」

 

「黙れ! あの子を人質に他の娘まで奪うつもりか!」

 

 降伏するように両手を上げながら説明するハジメと、彼の話を聞く耳も持たずに槍を突きつける海人族の青年達。

 エリセンに入ろうとした瞬間に、門番がミュウの姿を見て、あろうことかハジメ達がミュウを拐ったと思い込んで槍を突きつけたのだ。

 

「奴隷の兎人族め! ミュウちゃんを離せ!」

 

「違います! 私は奴隷じゃないですし、この子をお母さんのもとへ届けに来たんですってば!」

 

 海人族もシアの事を格下だと思ってるのか、強気な態度で槍を突きつけてくる。彼女はというとミュウを傷付けないようにと全身で庇っていた。

 

 喧々諤々(けんけんがくがく)。終わらない口論に誰もが苛ついていたのだが、一番イライラしていたのは、ミュウであった。

 

「むぅ~……!」

 

 自分を助けてくれた優しい人たち。お兄ちゃんお姉ちゃんと慕っている人たちが悪者扱いされることに、ミュウは納得してなかった。

 

 

「喧嘩はめっ!なのーーー!」

 

 ミュウの大声によって止まる喧騒。驚いたように彼女を見る海人兵とハジメ達。

 プリプリと怒るミュウは兵士達のもとへ近づく。

 

「ハジメ兄ちゃんもシアお姉ちゃんも、ミュウを助けてくれたの! お兄ちゃん達を苛めるお兄さんたちは、嫌いなのっ!」

 

「「「ガーン!!」」」

 

 少女からの「嫌い」発言にショックを受ける兵士たち。ハジメ達も内心同情はしていた。許すかどうかは別として。

 その後、王国から派遣されたであろう人間族の隊長、サルザが来たことでようやく口論は収まった。

 

 

 

 

 

 サルザからミュウの母親レミアの現状を聞きつつ、エリセンを歩くハジメ達。母親に会いたいからか、早く早くとミュウはハジメの手を引いていた。

 そんな時、人だかりを見掛けた。何やら騒がしい。

 

「レミア、落ち着くんだ! その足で無茶だ!」

 

「私たちがミュウちゃんを連れてくるから!」

 

「嫌よ! ミュウが帰ってきてるなら、私が迎えに行かないと!」

 

 人混みの隙間から見えたのは、ミュウが成長したら多分あぁなるのだろうと思わせる程の美女。彼女を見た途端、ミュウはステテテー!と走り出した。

 

「ママー!」

 

「っ! ミュウ!」

 

 母が駆け寄るよりも先に抱きつくミュウ。レミアは娘が帰ってきたのだと実感すると、もう離さないと言わんばかりに抱きしめた。その目にはうっすらと涙すら浮かべている。

 だがミュウは、ロングスカートから覗くレミアの足の痛々しさに気がついた。

 

「ママ、足! 怪我してるの!?」

 

「香織」

 

「うん。ごめんなさい、ちょっと失礼します」

 

 ハジメの一声で、すぐにレミアの足を診る香織。道中サルザから聞いた話では、ミュウを拐った犯人はレミアに対して、歩けなくなる程の大怪我を負わせたのだという。

 

「酷い……! だけどゆっくりと治癒魔法かけて、ハジメ君が作った薬を塗れば、歩けるようになるかも」

 

「海人族達がピリピリしていたのは、彼女の事もあったんだ。申し訳ない、ハジメ殿」

 

「大丈夫ですよサルザさん。ミュウを拐った連中は、僕がボッコボコにしましたから」

 

 海人族がピリピリしていた理由を教え謝罪したサルザ。ハジメは全員を安心させるために、人身売買組織を壊滅させたことを教えたのだが、なぜかドン引きされてしまった。

 

「ねぇ幸利。サルザさんとか他の人たちが引いてるんだけど、何で?」

 

「血管浮かび上がるほどの握り拳見せながら、笑顔で『ボコボコにした』って言ったらそりゃ引くだろうよ」

 

 幸利のツッコミに首を傾げるハジメ。その様子に、先程まで槍を突きつけていた海人族の兵士は、彼を怒らせないようにしようと心に誓ったのだった。

 

 

 

 

 

 シアが肩を貸す形で歩くレミア。彼女の家に到着すと、ミュウは嬉しそうにモンスターボールを取り出した。

 

「ママ、ママ! ミュウね、お友達が出来たの!」

 

「あらまぁ、そうなの? でもそのボールは……?」

 

「おいで、マナフィ~!」

 

「フィ~!!」

 

 ミュウがマナフィを呼び出す。この時、様子を見ようと押し掛けてた近所の住人たちも居たのだが、レミアを含んだ海人族達が驚いたように姿勢を崩した。

 

「まぁミュウ! どうやって海の王子に……!」

 

「怖い人に捕まった時に、卵を見つけたの。その卵から生まれたの~!」

 

 レミアは驚いたようにミュウとマナフィを交互に見て、他の海人族たちは信じられないと言いたそうな顔をしている。

 

「(ハジメよ。やけに海人族が驚いておるな)」

 

「(マナフィは、海の王子と呼ばれるポケモンだからね。何かしら関係があると思ったけれど……)」

 

 小さな声で話しかけるティオに答えるが、それにしても海人族のリアクションが大きい。

 

「まさかミュウちゃんが、海の王子を連れていたなんて……!」

 

「おい、誰か長老呼んでこい!」

 

 まさかここまで騒ぎが大きくなるとは思わず、流石のハジメ達も戸惑う。

 

「えっと、レミアさん? どうして皆さんはこんなに騒いでるのです?」

 

「私たちの村には、様々な伝説があります。その中には海の王子の伝説もあるのですが……。その伝説の中に、私たちの先祖と海の王子に関する伝説があるのです。詳しくは長老様が説明してくださると思います」

 

「サルザさんとかは良いんですか?」

 

「私はエリセンに派遣されて長いからな。最初は色々思うこともあったが、今はエリセンの一員として過ごしてる」

 

 なるほどと頷くハジメ。長老と呼ばれる人物が来るまで待たせて貰うことになったが、気になるものを見つけた。

 

「(あれ? あの木彫りって……)」

 

 そこには、4()()()()()()()()()()()が、祀られるように置かれていた。

 




さてさて、エリセンで祀られてるポケモンとは?
まあ、4体という事と、木彫りって事で分かる方々も居るとは思いますが……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。