ハジメが見つけた4体のポケモンの木彫り。それは、いわゆるカプ族と呼ばれるポケモンだった。
カプ・コケコ、カプ・テテフ、カプ・ブルル、カプ・レヒレ。これ等が該当する。
前世では、アローラ地方と呼ばれる南国の島々の守り神であるという設定があった。どうやらトータスにおいては、海人族がひっそりと崇めているようだ。
ハジメが、トータスの人々のポケモンへの思いを考え直していると、老人がミュウとレミアの家に入ってきた。
「失礼するぞ」
「長老さまー!」
「おぉミュウよ。よく無事に帰ってきたなぁ。ハジメ殿、でしたかな? レミアの娘を助けてくれて感謝しますぞ」
ミュウの頭を撫でる、仙人を思わせるような髭が特徴的な海人族の老人。彼こそが、エリセンを治める長老のようだ。彼はハジメ達に頭を下げる。
「お連れの方々もミュウを、そして海の王子も守ってくださりありがとうございます」
「長老さん。あなた方がマナフィの事を知ってると言うことは……」
「……聞く者は出来る限り少ない方が良いですな。ほれ皆の衆! 仕事も放って何しとる!」
聞き耳を立てようとしていた海人族たちを一喝して解散させると、ドアを閉め、窓も閉めた。
そして、長老との会談が始まる。
事の顛末を聞いた長老は、忌々しげに顔を歪めた。
「まさか奴隷狩りをしてた者が、海の王子の卵を手にしていたとは……」
「連中からすれば、単なる金儲けのために獲ったのでしょうけども」
「マナフィは、『海の迷宮』への道を知る唯一の存在。そこに眠る、神の力の欠片を手にしていたらどうなっていたか……」
「(海の迷宮……やっぱりそこにプレートがあるのか)」
長老の話によれば、マナフィは卵から孵ると『海の迷宮』へと向かうのだという。海人族にとって海の迷宮は、先祖代々守り続けている神聖な場所。その道を知るマナフィも、特別な存在なのだという。
「長老さん。僕たちはミュウをレミアさんの下へ帰すために来てますが、それだけではありません。各地の迷宮に眠る物を探しているんです」
「何と……。まぁ、ミュウとマナフィを助けてくれた事に加えて、レミアの足を治してくれる恩もあるからなぁ……。しかしあそこは海人族の聖地……うぅむ……」
「どうか、海の迷宮について知ってることを教えてくれませんか? 行き方だけでも良いんです」
正座をして対面しているハジメと長老。ユエにシア、幸利と香織とティオも同じようにしている。レミアは無理のないように椅子に座らせ、ミュウは彼女の膝の上に居た。
お願いしますとハジメが頭を下げると、香織達も頭を下げた。その様子に困った顔を浮かべる長老だったが、そこへレミアが助け船を出した。
「長老さま。この方達ならば、迷宮に辿り着けるのでは無いでしょうか。
「ふーむ……、確かにな……。ハジメ殿、お連れの皆様も頭を上げてくだされ。判りました。では、お教えしましょう」
こうして長老から話されたのは、迷宮への行き方だった。海の迷宮には、2つの行き方があるらしい。
1つ目は、エリセンの港から真っ直ぐと向かった沖合にある渦潮の中心部。そこへ潜り込むことで迷宮への入り口が現れるとのことだった。ただし、迷宮の名は伊達ではなく、迷路のようになっている。海人族の泳ぎ自慢が何度か挑戦したことがあるそうだが、
2つ目は、皆既月食の時にしか現れない特別な島に行くこと。迷宮の創設者が島全体に魔法を掛けたことで、そのようになったらしい。島の内部には遺跡があり、そこにある魔方陣が、迷宮の内部へ繋がっているとの事。ただし、それはあくまで口伝であり、本当に迷宮内部に繋がっているかは長老も分からないそうだ。
「1つ目なら時期を問わずにいつでも行けるが、その代わりに内部への到達が難しい。2つ目ならば確実に内部へ行けるだろうが、時期を待たなければならない、か……」
「どうしよう、ハジメ君。潜水道具とか無いけど……」
「ハジメ、クラフト能力で作れるか?」
「たぶん厳しいんじゃないかな。構造とか分かってないと、途中で壊れて空気が漏れたら命に関わるし……」
潜水艦という手も考えたが、やはり構造を知らなければ作れない。そのため2つ目の行き方を選ばざるを得ない。そこでティオがレミアに確認した。
「先ほど、『時期も近い』と言っておったな。その皆既月食はいつじゃ?」
「明後日あたりになるかと」
「意外と近かったんですねぇ……」
「ハジメは運が良い」
明日は準備期間にすることで、話は纏まった。
「そう言えば、泊まるところはどうしようか?」
「ミュウの恩人ですし、良ければ我が家にどうぞ」
「賛成なのー! ママ、ハジメお兄ちゃん達のお話はすっごいのー!」
「これでは断れぬのう、ハジメ?」
「あはは、よろしくお願いします……」
大迷宮への行き方を、BWおよびBW2の海底遺跡と、劇場版でのアクーシャへの行き方とに分けました。