ミュウとマナフィが別れたその日の夜。ミュウがレミアに連れられて寝室へと向かった後、ハジメは今後の予定について話し合っていた。
「……明日には、ここを発とうと思うんだ」
「アルセウスが生み出した他の神様達が怒ってるんだもんね……」
「時間、空間、反物質の神か。そんな連中が怒り狂ってこの世界に現れたら、滅亡すら生温そうだな……」
ミュウが寝た後にハジメが語ったのは、グラードンとカイオーガから告げられた『三神の怒り』についてだった。地球に居た頃からポケモンについて教えてもらっていた香織と幸利は顔を青ざめ、ユエとシアとティオのトータス組はアルセウスの神話を改めて教えられた事で、同様に顔が青くなった。
ハジメ達の優先事項は、プレートを集めてアルセウスを蘇らせ、三神の怒りを落ち着かせること。だからこそプレートの眠る大迷宮へと急がなければならない。
「でもハジメさん。ミュウちゃんは、どうするんですか……?」
「…………僕は、母親と一緒に居た方が良いと思うんだ」
「そもそも、ミュウを連れていた理由は母親に会わせることじゃったからのぉ」
「つまり、ミュウとはお別れ……?」
ユエだけでなく、シアもティオも、彼女の事を妹のように思って可愛がっていたため、寂しそうな顔をする。
だがトータス3人組は皆、家族との離別というものを経験している。だからこそ、ミュウには母親と共に暮らした方が良いと思ってもいるのだ。
「僕だって辛いよ。けど、ここから先はもっと険しくなる。そこにミュウを巻き込むわけには、そしてレミアさんを悲しませる訳にはいかない」
それに同意できるのか、全員が俯いて黙り込んでしまった。
「………………」
そしてドアの隙間からその様子を見ていた影は、トテトテと寝室へ戻っていった。
翌朝。エリセンの門で、レミアとミュウとハジメ達は向かい合っていた。
「ごめんなさい、ハジメさん。今日出発することを聞いてしまったみたいで……」
「聞かれちゃってたかぁ……」
ハジメの足にしがみつき、離れようとしないミュウ。レミアは申し訳なさそうにしているが、ハジメの方はそこまで気にしていなかった。昨日に続いて今日も別れがあると寂しく思うのは、仕方の無いことだからだ。
「ミュウ……君はお母さんと一緒に……」
「また会えるの……」
「っ!」
「ミュウは、ハジメお兄ちゃん達の事を忘れないの! ずっと、ずーっと思い出なの!」
「ミュウ……!」
「だから……また……会えるのぉ……!」
大粒の涙を流すミュウに、ハジメも涙を流しながら抱き締める。レミアや香織たちも涙を流しており、幸利に至っては片手で自分の目を覆いながら上を向くも、溢れる涙を止められない。
「やる事が終わったら……絶対に来るからね、ミュウ!」
「約束なの!」
2人は指切りげんまんをする。終わった後も強く指は結んだままだったが、やがてゆっくりと離した。2人の距離もだんだんと離れていく。
「いってらっしゃいなのー!」
「っ! 行ってきます、ミュウ!」
目尻に涙がまだ残ってるが、笑顔で大きく手を振って見送るミュウ。ハジメ達も手を振りながら、来た道を戻るようにアンカジ公国へと向かっていった。
ミュウとも別れ、歩き始めるハジメ達。次回はちょっとした閑話を投稿予定です。