遂に、怒りのイベルタルがハイリヒ王国へとやって来た。迎撃しようとするハジメ達の前に現れたのは、イベルタルと対の存在であるポケモン、ゼルネアス。彼女はハジメ達へと思念を飛ばす。
『神の欠片を集めし者達よ』
ゼルネアスとハジメの目が合う。その時、命を司る彼女はハジメの魂を見た瞬間、彼の正体を悟った。
『(ッ! この人間……。既に一度、命を終えている。二度目の人生を授かった者ですか)』
「えっと……初めまして」
『初めまして。私の名はゼルネアス。本来ならばハルツィナの奥地にて、貴方達を待っているところでした』
「「「「えっ!?」」」」
なんと、ゼルネアスはハルツィナ樹海にある大迷宮にて、試練を与える存在だったらしい。ところが、事態は急変。あまりにも早いイベルタルの目覚めに、大迷宮から出てきたのだと言う。
『先程イベルタルにも思念を送ってみたのですが……拒否されてしまいました。よほど強い怒りに呑まれているのでしょう。……秩序の番人が来るまで、今しばらく掛かります。力を貸して欲しいのです』
イベルタル、ゼルネアスと並んだ以上、秩序の番人と呼ばれる存在にハジメはすぐピンと来た。
「元よりそのつもりです! むしろジガルデも来るなら心強い!」
「でも、まずは此処から引き離した方が良いかも。見て!」
香織が指さした先。そこには、路地裏に潜んでいたであろうコラッタ等のポケモンが、イベルタルの気配に恐怖し逃げ惑う姿があった。同じく逃げようとしていた人間たちからすれば、街中に突如ポケモンが現れたことになる。それによって酷いパニック状態になっていた。
「くっ……! ジガルデが来るまで持ちこたえるんだ!」
今回の件で、王国の人間達はポケモンをより敵視するかもしれない。そう考えると歯軋りしたくなるが、無理やり抑え込んで、イベルタルとの戦いへと思考を切り替えた。
「サイホーン、“ロックブラスト”!」
ハジメ達を邪魔者とみなしたのか、イベルタルは距離を詰めてくる。そこへサイホーンの“ロックブラスト”が襲い掛かるが、イベルタルは大きく翼を羽ばたかせた。その瞬間に空気の刃が作られ、岩を粉砕する。イベルタルによる“エアスラッシュ”だ。
「ゴルーグ、“いわなだれ”!」
「アブソル、同じく“いわなだれ”です!」
ユエとシアも指示を出し、イベルタルに攻撃を仕掛ける。流石に上から降り注ぐ岩には対処できなかったのか、打ち落とされそうになる。
『グ、ウウ、オオオオオ!!』
だが伝説のポケモンと呼ばれしイベルタルは、只では倒れない。思念からでも伝わる程の強い怒りの咆哮を上げながら一気に高度を取り、そのままドラゴンのエネルギーを纏い、“ドラゴンダイブ”でゴルーグとアブソルに突っ込んできた。
『やらせません! ハァッ!!』
ゼルネアスによる“リフレクター”。ゲームでは物理ダメージを軽減する技だが、ゼルネアスが現実で放つと、もはやバリアと言っても良い。5枚貼られたバリアの内2枚が割られたが、何とか攻撃を防ぐことが出来た。
「“いわなだれ”だ!」
「グオオオオン!!」
ハジメが指示を出し、再びイベルタルに岩が降り注ぐ。だが相手もすぐに反応し、“あくのはどう”を放つことで岩を粉砕。さらに口を開け、赤黒いエネルギーを収束する。
「(あれは……まさか!)」
『っ! ハァァァ!!』
「みんな、私の後ろに隠れて!」
“デスウイング”が放たれた瞬間、ゼルネアスは“ムーンフォース”を発動。相手の攻撃を察した香織は瞬時に結界を展開し、余波からハジメ達を守ろうとする。
「(凄いパワー……! だけどあの光線は駄目! あんなのを受けたら、みんなは……!)」
破壊のエネルギーとフェアリーのエネルギーとがぶつかり合い、大きな爆発を起こす。それと同時に香織の結界も破壊され、ハジメ達は吹き飛ばされる。
「ぐううっ! 空を飛んでる以上、戦法が縛られる……!」
「ハジメ。防壁の上じゃ足場も限られてる。壁から降りよう!」
「賛成です! 向こうは私たちに釘付けですし、少しは高度を下げてくれるかもしれません!」
土埃にまみれながらも、すぐに作戦会議を立てるハジメとユエとシア。それを見た香織の胸の中には、劣等感のようなものがあった。
「(せめて、もっと癒しの力が強ければ、役に立てるのに……!)」
ハジメ達はすぐに防壁を降りる。イベルタルは逃がさないと言わんばかりに咆哮を上げると、彼らを追った。
感想にてジガルデの登場を望む声がありましたが、もう暫くお待ちください。
ジガルデが遅いのではありません。怒りによってイベルタルの攻撃が激しいから、場面がどんどん進んじゃうんです……!